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「仮想通貨元年」とも言われる2017年。利用者が急増する中、仮想通貨規制の波が世界で広がりつつある。折しも日本では4月から仮想通貨法が施行され、今月からは売買にかかる消費税が非課税となった。しかし、非中央集権をコンセプトとするビットコインは、中央集権の象徴である国家の規制とはもともと相反する産物のはずだ。

なぜそれでも世界は仮想通貨を規制するのか?今回から数回にわたり海外の最新動向を規制や課税の観点からリポートする。世界を知れば、日本の未来も見えるかもしれない。

韓国、仮想通貨法案を検討する中、大手取引所がハッキング被害

ビットコイン取引高で世界第4位(CryptoCompare.com調べ)の仮想通貨大国だが、今まで政府の規制は皆無に等しかった。それに加え、昨今の市場の急成長に企業や利用者の危機管理意識が追いつかず、詐欺やハッキングが頻発。これはまずいと、与党民主党の朴用鎭(パク・ヨンジン)氏は電子金融取引法の改正を先月末から検討し始め、年内の施行を目指すこととなった[1]。内容はまだ定まってはいないが、取引所は認可制となり、最低限の資本金の確保や、口座開設時の身元確認徹底(KYC)、マネーロンダリング防止(AML)などの義務を負うことになると予想される。

ところが、そんな韓国政府の動きをあざ笑うかのように今月3日、韓国最大の仮想通貨取引所Bithumbがハッキングされたとのニュースが飛び込んできた[2]。韓国の取引所のハッキングは今年でもう2件目だ。被害の全貌は明かされていないが、顧客の3%にあたる口座から数十億ウォン(数億円)が盗み出されたとの情報もある。

盗難の原因は、従業員のパソコンから顧客の電話番号やメールアドレスの流出によるもの。ハッカー側は取得した個人情報を使ってBithumbの顧客に対して個別に連絡し、取引所の運営者と偽りパスワードを入手、口座にアクセスしたと思われる。今年2月あたりから被害は始まっていた模様だ。Bithumb側は各被害者に10万ウォン(約1万円)の支払いとその他の被害補償を約束したものの、関係者の怒りは収まっていない。

タイ政府、中銀にビットコイン規制の緩和を指示

タイは意外にも、東南アジアの中で仮想通貨の浸透度が低い国の一つだ。中央銀行であるタイ銀行はもともと2013年に、法整備の欠如などを理由にビットコインを違法としていたが、その後2014年にタイバーツとの取引だけに限って認めたという経緯があり、国内の企業はまだまだ仮想通貨の導入に消極的だ。

仮想通貨の法的位置づけは未だに曖昧なままだが、ソムキット副首相はタイ銀行に対し先月、フィンテック分野での国の競争力を削ぐような厳しい規制を緩和するよう指示した[3]。国内産業の活性化を促し、シンガポールに次ぐ東南アジア第2の金融センターになることを目指す。

これを受けてタイ銀行のウィーラタイ総裁は、仮想通貨のボラティリティが高いことや、まだ国民の理解度が低いことなども勘案し、適切な範囲内での規制を考えていくと述べた。また、日本のようにビットコインを法的な「支払い手段」の一つとして位置付けるべきかも検討すると話した。

世界中から外貨が集まる観光立国タイは、SNSを通じたネット通販利用率が世界一であり、スマホの普及率も高く[4]、規制が緩和された際の潜在力は高い。

なお国際送金サービスを手がける日本のSBIレミット社は、タイのサイアム商業銀行と提携し、リップル社のブロックチェーン技術を活用した日本−タイ間の即時送金サービスを先月30日から開始している[5]。

インド、ビットコイン合法化で混乱を収拾できるか

インドのビットコイン事情は混迷を極めている。発端は昨年11月、インド政府が突如高額紙幣の無効化と新札交換を通達したことに始まる。ほとんどが現金決済のインド経済は大混乱、ATMには長蛇の列ができた。理由は偽札や不正蓄財を一掃するためだったが、この事件によって皮肉にも、足が付きにくい現金代わりの通貨としてビットコインが急激に注目され始めた。利用者は今年春までに250%増加した。

インド政府や中央銀行(インド準備銀行)はこれまでビットコインを違法であるとしてきた。匿名性が高く犯罪に利用される恐れが高いにもかかわらず、法的根拠がないので処罰が難しいからだ。しかし利用者急増を受け、今年4月から仮想通貨規制の是非を問う官民合同の諮問委員会を設置。7月末までに報告書をまとめる予定だが、先月20日の報道によると、どうやら合法化し規制する方向になりそうだ[6]。

インド政府の介入は国民にとって朗報かもしれない。IT立国インドでは、ブロックチェーン技術を習得した優秀な若者が育ちつつある一方、仮想通貨関連の詐欺やネズミ講が手の施しようがないほどに蔓延している。

ボリウッド・スターの名を勝手に利用し、数ヶ月以内に20万人から80億円以上を集めた事例もある。今月初めには、こうした詐欺の被害者が、騙した側を報復のために誘拐し、身代金をビットコインで要求する(20BTC、約560万円)といった事件まで起きている[7]。

国民性に合った規制を模索

日本と同様の法案を検討する韓国。反対に競争力のため規制緩和するタイ。犯罪が野放しで法整備が急務のインド。各国が自国の内状と国民のリテラシーに沿った規制を模索している様子が浮かび上がってきた。

課税問題に関しては、日本でも不透明なところが多いが、アジアはまだまだ税金を議論する段階までは至ってはないところが多そうだ。

次回は欧州編。今回は深刻な話が多かったが、次回はもう少し明るい話題をリポートできたらと思っている。


[1] The Korea Herald
[2] CoinDesk
[3] Bitcoin.com
[4] 日本経済新聞
[5] SBI Remit
[6] CoinTelegraph
[7] The Indian Express

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