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さて、本日は昨日の続きの後編として、今年1年間の相場がどのように推移する可能性があるか、筆者が着目する視点を中心に、個人的な見解をまとめてみたいと思います。

◼︎2017年の見通し

総じて弱気 

時期 ターゲット  イメージ
1〜3月 600$ 一時的に1000$を超えるものの、トランプ政権の誕生により人民元安トレンドが踊り場を迎え、ビットコインを支えてきたマネーフローに変化が訪れる。加えて、中国当局のビットコイン取引規制が加わり、それが契機となり急落。
4〜6月 800$ 1〜3月の急落の反動からやや反転し、戻りを試す
7〜12月 500$ segwitの失敗により、スケーラビリティに対する失望、非中央ガバナンスの困難さが露呈し、さらに下値を模索する展開へ

はじめに断っておくが、筆者は長期的なビットコインの発展には(希望を込めて)楽観しているが、今年は不安な材料が多く、さらなる発展のための試練の年と考える。

長期的な成功のためには、一足飛び、一直線での成長はありえず、その成長過程で、幾度かの危機的状況を乗り越え、強化のプロセスを経なければならない。(apple社がそうであったように)

執筆時点(2017年1月2日)でのビットコインの時価総額は約1.9兆円程度であるが、ビットコインをDAOというある種の企業体と考えた場合、社員数:約5500名(ノード数)、売上:約1224億円/年(年間新規採掘104.5万BTC×@11.7万円)、営業利益/年:非開示で不明(ただし黒字なのは確か)という企業の時価総額が約1.9兆円で評価されている、と考えると良いと思う。

ビットコインの場合、インフラであることや、株主と顧客は同義であり、利益の享受はマイナーと利用者にあるなど、現在の株式の評価軸と同一に計ることはできないが、イメージの参考となろう。

この時価総額は、日本の株式市場で言えば、上位60位程度(7741 HOYA 社員5000名 売上5000億円/年 営業利益1200億円/年)に位置しており、ビットコインは、もはやドメステックな小型株ではなく、グローバルな大型株であり、その維持拡大の為には、グローバル企業にふさわしい体制を整備しなければならない。

企業の発展段階におけるプロセスでは、 

1)  サービスが当たり、売上が急拡大する

2)  内部の体制が規模の拡大に追いつかず水面下で問題が蓄積し始める

3)  内部は気付いているものの、売上が拡大している間は問題は顕在化せず放置される

4)  売上の減少が始まり、内部の問題が露呈し始める

5)  バッドスパイラルに入り、各種問題が飛び火し、拡大する

というサイクルを繰り返していく。

現在のビットコインはまさに3)の状況だと思われ、本質的な問題(スケーラビリティ問題)が放置されているが、売上が拡大(価格が上昇)しているために、皆、見て見ぬ振りをして、問題を先送りにしている。

優れた経営者は、4)が始まる前に2)の段階で対処し、1)に復帰させることができるが、現在のビットコインの状況は、「経営者不在」という特有の体制の難しさもあり、すでに3)に突入しており、間もなく4)5)を経験することになると見る。

 

◼︎論点解説

 マネーフロー 

<人民元安の転換>

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昨日のコラムでも記載したが、昨年のビットコインの相場を引き上げた要因は、ほぼ人民元安による中国の資本流出問題で説明がつく。

これは、USD/BTCとCNY/USDの2015年2月〜2016年12月のチャートであるが、この二つのチャートは、ほぼ完全に連動していることがわかると思う。(相関係数は0.95)

くどいようであるが、今年のビットコインの相場も、人民元がどのように推移するのか、を考えることが第一歩となるわけであるが、トランプ政権が始動(2017年1月20日より)することにより、人民元安のトレンドは一旦の踊り場を迎える可能性が高いように思う。

ご存知の通り、トランプ氏は選挙期間、中国が輸出競争力を高めるため人民元の対ドルレートを操作して低水準に抑えており、結果、米製造業の雇用が犠牲になっているとの主張を繰り返してきた。

トランプ氏が掲げる「政治腐敗の根絶」「雇用不安の解消」「安全・法秩序の回復」のうち、雇用不安の遠因とされている中国の人民元レートには、就任初日から、為替操作国認定、報復関税などの牽制発言がさらに強まる可能性が高い。

<中国ビットコイン規制の可能性>

足元で中国当局が最も頭を悩ましているのが、人民元安に伴う、資本流出だ。

昨年夏場には一旦収束してきたかに見えた外貨準備高は足元で減少速度を速めており、資本流出が加速していることが見てとれるわけだが、最近の当局の規制強化の動きを見ると、すべての要因に対策を講じる断固たる姿勢が見て取れる。

現在、中国において、ビットコイン取引が規制の対象になっておらず、これがビットコイン相場をけん引してきたとみられるが、価格上昇により、その存在が目立ってきたこともあり、規制対象になるのも時間の問題か。

これを予感させる出来事が、昨年11月4日に起こっている。

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図の○は、未確認の情報として、中国当局がビットコインを用いた送金の制限に向けて動き始めている、とメディアが伝えたことが理由で、1日で10%以上の下落をしたシーンであるが、この情報は、現在の当局の姿勢を見ると、あながち噂話と流すことはできない。

噂レベルで1日10%の下落の動きであるので、現在のように高値圏で実現した場合、相場には多大なマイナスの影響が出ると思われる。

 

 ビットコイン固有

<ネットワークの限界>

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ビットコインは世界的に利用者が増大している。

図は、ビットコインの1日あたりの取引件数であるが、利用者の増大に伴い、その取引件数も増大に一途をたどっている。

ビットコインネットワークの1日あたりの処理限界は、7件/秒×60秒×60分×24時間=604,800件と推定され、現在既に約50%程度の占有がされている状況になっているが、このペースで行けば、今年末には40万件/日を突破してくる可能性が高く、今年内に「具体的な」進展がない場合、ビットコインのネットワークは破綻の危機を迎える可能性が高まる。

もはや状況は、待ったなし、といったところだ。

<ガバナンスの危機>

この処理限界問題に対しては、界隈ではスケーラビリティ問題として、すでに以前から問題視され、解決策も複数出てきている。

この問題の解決には、交通渋滞を例にすると、道路幅の拡張(ブロックサイズの拡大)か、車両の小型化(トランザクションサイズの小型化)しか、方法論がないわけだが、筆者は昨年より、後者のアプローチの一つであるsegwitに着目して、その進展を見守ってきた。

segwitに関しては、すでに解説が多く出ており内容は割愛するが、これは比較的利害衝突が少なく、またトランザクション展性の解決にもつながることもあり、実装は時間の問題であり、市場もこれを好感、価格上昇、というシナリオを描いていた。

昨年は、予想よりも進行は遅れたものの、2016年4月にはプルリクエストが申請され、10月には検証を終えた bitcoin core0.13.1 がリリースされるに至り、現在はliveに向けてのマイナー投票期間、といったステータスにある。

このバージョンがliveになるための制約は、2016ブロックの95%が採用、といったものであるが、驚くべきことに、この採用が一向に進展していない。

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(このコラムを執筆している時点で22%)

平たく言えば、大手マイナー陣営がcore陣営へ反発して採用を見送っていることが原因で、崩壊に向かっていることをわかりつつ、両者が拳銃を突きつけ、我慢比べをしている状態であるが、この現象は、筆者が想像しているよりも、はるかに根が深い問題であると、改めて危機感を強めている。

この、総論賛成、各論反対といった状況がなぜ起こるのかというと、これは現在のビットコインにはその構造上、意思決定するリーダーが不在なことが一つの大きな理由だ。

ビットコインは中央不在のDAOと呼ばれることもあるが、このような利害や思想が衝突する局面では、リーダーがいないことが逆に仇となり、方向が定まらず、烏合の衆状態となってしまう。

筆者は中央不在の良さは認めつつ、足元の状況はこれらの広義のガバナンスに対し、懸念し始めてり、もっとも導入の敷居が低いsegwitがこの状況であれば、この先に控えるスケーラビリティ議論は進展不可能だろうと思う。

これを解決するためには、価格の下落という、ある種のショック療法が必要で、関係者全員が危機に直面することで、再び団結する必要がある。

筆者は、烏合の衆が(価格下落を通じて)生命の危機に直面することで、お互いの関係を見直し、協力関係を再構築、体制を整え、再度拡大フェーズに移行するに至る、というシナリオを描いている。(MITなどの中立機関が先導役を果たす方法も良いとも思う)

 

 テクニカル

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筆者の今年の価格推移イメージを白線で記載した。

2015年8月の人民元切り下げを契機に、ビットコインの相場も一貫して上昇相場を演じており、このコラムを執筆している間にも、相場は強く、キプロス相場(2013年)の高値につら合わせという状況だ。

ここ数年間におけるビットコインの相場は、破線の通り、概ね400$、600$、800$、1000$と約200$ごとに節目が存在しており、昨年もおおよそのその節目を意識する形での推移となった。(筆者も、400$、600$、1000$を意識した)

今年も、おそらく、この200$単位が節目となり、推移をしていくように思う。

チャートの週足オシレーターを見ても、すでに高値圏であることは明らかであり、相場はいつ終了してもおかしくはない位置取りだと考えるが、現時点のような最終局面では、上がるから買う、買うから上がる、というムードになり、天井を予測することは大変難しい。

しかしながら、些細なことをきっかけに、簡単に相場が崩れる可能性が高まっていることだけは確かだと思う。

図をご覧いただくと、2015年8月から、波動論でいうところの典型的な上昇三波動を形成しており、現在は最終局面と判断しているのは、この波動論も根拠の一つ。

下落が始まった場合のいったんの下値めどは75週線(600$)、そして25週線(800$)へ戻り、最終的には200週線(500$)という推移をイメージしている。

200週線(500$)は、筆者が見るに、ほぼマイナーの損益分岐点といったところだ。マイナーはこの価格を維持できるかどうかで存続の判断を下すわけだが、そのラインまで価格が下落することが、マイナーの目を覚まさせる最良の薬となる。

 

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いかがでしたでしょうか。

あまりにも悲観的で、驚かれる読者や、気分を害される読者もいると思います。

正直、外れてほしい、という思いがありますが、楽観の中に、危機の芽が静かに育つことも事実です。

現実を直視し、(現時点では)今年はショートをうまく使いながら、乗り切っていこうと考えています。

この記事を書いた人

独眼流
独眼流
さすらいの仮想通貨トレーダー。株式、FX、ヤフオクまで、トレードできるものならなんでも好物。安く買って、高く売るのが好き。