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「ビットコイン・ネットワークは有機生命体のようだ」と表現するのは、コーネル大学教授のエミン・グン・シアー氏と、Ph.Dのアデム・エフェ・ジェンサー氏だ。

ビットコインのコミュニティはスケーラビリティと呼ばれる、極めて広範なトピックについて数年に渡り議論を重ねてきた。しかし一言でスケーラビリティと言えども、マス・アダプションやネットワークの永続可能性、成長可能性など、定性的な議論に留まることがままある。この2年間常に議論されてきた「大きなブロック」問題は、ビットコインの取引遅延と成長限界の点で意義があるが、「スケーラビリティ」にまつわる議論全体で見ると、氷山の一角にすぎないことは明らかだろう。

そして、その議論すらも、誰にも正しい道筋がわからないまま進められている。

シアー氏とジェンサー氏の共著「State of the Bitcoin Network」は、ビットコイン・ネットワークの「現状」を実際のデータから観測し、正しく把握することを目的に書かれた。筆者らによれば、ネットワーク状態の変化はシステム全体のセキュリティやパフォーマンスに影響するため、仮想的な箱庭をモデル化することに成功すれば、プロトコルの評価が行えるようになるという。

「我々は、実際のネットワークから計測ツールを利用し、ビットコインネットワークの進化を観測してきました。我々の計測ツールは5大陸に分散した17のノードを実行し、ピアの帯域幅、レイテンシー、プロトコルレベルのネットワークトラフィックを収集しています。」

計測には、筆者らが「ミニチュア・ワールド」(Miniature World)と呼ぶビットコイン・ネットワークの箱庭環境(ニューヨーク州イサカに設置されている)を利用し、IPv4・IPv6・Torのピアを監視している。

ネットワークの状態

ビットコインのノードにとって、帯域幅とビットコイン・ネットワークのデータ量の関係は切っても切り離すことができない。

ノードはブロックやトランザクション、メタデータを送信、あるいは受信するために帯域幅を消費する。帯域幅が小さければデータの送受信に時間がかかるため、ビットコイン・ネットワークにおいて、このようなノードは不利を強いられる。

例えば、一部の大きな帯域幅を持ったマイナーが他の過半数のノードにとって大きすぎるデータをネットワーク上で伝播し続け、かつ過半数のマイナーが受け入れない選択肢を持たない場合、一部のマイナーがネットワークを寡占することにつながることになる。

筆者らが収集したデータによれば、ネットワークに接続しているノードのボリュームゾーンは10〜100Mbpsで、これは一般個人やAmazon EC2 Instanceの典型的な帯域幅容量だという。最も小さな帯域幅は5Mbpsで、全体としてみると10%ほどになる。中央値は56Mbpsほどで、一部は300Mbpsで接続していることがわかったとのことだ。

興味深いのは、2016年から比べて2017年にかけて帯域幅の中央値が1.7倍に成長している点だ。ネットワーク上でやり取りされるデータ量が増加しているという事実を鑑みれば想定内とも見て取れるが、筆者らに言わしめても、「70%の増加は高速だ」という。

シアー氏とジェンサー氏は、現実世界のあらゆる事象の計測結果には誤差がありうると前置きしたものの、測定結果は誤差の範囲には収まらないだろうと述べている。

「昨年の測定値と今年の測定値の間には、測定誤差を打ち消すほど、充分に類似しています。つまり、ネットワーク全体が実際にスピードアップしていると考えられるでしょう。」

筆者らはまた、注視すべき点として「古いピア」にも触れた。古いピアとは、筆者らの定義によれば、「古いピア」とはビットコインの最新ブロック高よりも1%遅れているピアを示している。これらのピアはブロックデータを受信し、ブートストラップのプロセスなど、他の健全なピアよりも苦労することになる。

データは、IPv4から接続しているピアのうち2.6%(全体の2.1%)がこの「古いピア」に該当することを示している。

「1つの仮説は、これらのノードの帯域幅がブロックサイズに比べあまりにも小さく、ネットワークに追いついていない可能性です。そのため、常にメインチェーンよりも遅れて進むのです。[…]しかし、これは誤りでした。[…]古いIPv4ノード92個のうち、74を調べ直したところ、そのうち62は同じブロック高で、追いつこうとしていませんでした。つまり、これらのノードはソフトウェアのエラーが起因しているのではないかと考えています。」

こうして「実際のデータ」を用いてビットコイン・ネットワークのヘルスチェックを行なった例は少なく、シアー氏とジェンサー氏による学術的な検証は極めて貴重だ。両氏はブログのポストに加え、スライドも公開している。


Hacking Distributed – State of the bitcoin network
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この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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