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ViaBTCは今年5月に設立された中国の新興マイニングプールであり、ビットコインコアプロジェクトが主導するSegwitを拒否し、BitcoinUnlimited(BU)の採用を宣言、BUクライアントを現在まで稼働し続けている。同社は新興ながら、既にビットコインのマイニングパワー全体の7%近くのハッシュレート(PoWに必要な計算力の単位)を占める規模にまで成長し、その頭角を表してきた。

ヤン氏の主張は、ビットコインをオンチェーンでスケーリングさせるべきというものだ。将来的に確保しなければならない「大きなブロック」の解決策として、マイナーがブロックによる投票でそのサイズを決めるBitcoinUnlimitedは、最も良い選択肢だという。ヤン氏によれば、将来的にSegwitを導入する可能性はあるものの、現状においては「大きなブロック」を得ることを重要視しているようだ。(大きなブロック=10分おきに”採掘”されるブロックの容量を、現在の1MBよりも大きくしたブロックのこと)

鍵はAntminerとF2Poolか

BUクライアントを採用しているマイニングプールの数は少なく、ViaBTCとBitcoin.com、そしてSlushの3社だけだ。中国最大手のマイニングファーム4社(DiscusFish、AntMiner、BTCC、BW)は、BUクライアントを採用せずコアクライアントを稼働させている状況だ。

この理由についてヤン氏は、「彼らはコアを稼働させているが、”大きなブロック”に反対したわけではなく、フォークを心配しているに過ぎない」と答えている。ヤン氏はAntMinerとF2PoolによるBUクライアントの採用がBitcoinUnlimitedの台頭における最も重要な鍵になると述べ、またAntMinerとF2Poolはヤン氏に対して「BUクライアントを採用する予定」であることを伝えていると語った。

なぜ、ヤン氏がここまでBitcoinUnlimitedに拘るのか。その理由は、単なるビットコイン・ギークからマイニングファームの運営者となり、ヤン氏自身が産業と密接に関わり始めたことにありそうだ。

私は当初、(ブロックサイズを引き上げる)オンチェーン・ソリューションに賛成してはいなかった。誰かが素晴らしい案で解決してくれると考えていた。しかし実際にビジネスを始め問題に触れるにつれ、それがうまくいかないことがわかった。大きなプールとして、私には責任がある。

2015年8月、ギャビン・アンドレセン氏とマイク・ハーン氏によって発表されたBitcoin XTは、2年ごとにブロックサイズを倍増させていくアグレッシブな計画だったため、誰の支持も得られず失敗に終わった。また、その後に「ささやかな」スケーリング・ソリューションとして登場した、ブロックサイズを2MBに引き上げるBitcoin Classicはそのささやかさゆえに、スケーラビリティを解決するには力不足な方法だった。

BitcoinUnlimitedは、「マイナーの総意」でブロックサイズを決定するため、一見すると、コアがトップダウンでブロックサイズを決定するよりも分散的かもしれない。ヤン氏の考えの中には、そうした「コアの中央集権化」に対する疑念もあるのだろう。

中国国内のプールの多くは、コアへの信用を失いBitcoinUnlimitedに心が移りつつある。彼らがコアクライアントを動かしていたのは、コアが譲歩することを期待していたからだ。しかし、コアは一切譲歩しようとしない。中国におけるビットコイン事業は、人民元による大量の投資家で成り立っている。彼らは、スケーラビリティもビットコインの仕組みも気にしていない。採掘の収益でマイニングASICを買う、その繰り返しだ。

ViaBTCがユーザーに解放しているプールはネットワーク全体の7%ものハッシュレートを抱えているが、ViaBTC自身が持つ割合は少ない。ヤン氏によれば、その殆どは中国国内の個人マイナーであり、他の先進国に比べると極めて安価な水力発電による電力でコストを抑えているとのことだ。それ故に、中国は非常に大きなマイニングパワー(ハッシュレート)を抱えられるというわけだ。参入ハードルは、他国に比べるとかなり低いと言えそうだ。

BitcoinUnlimitedの脅威

BitcoinUnlimitedを採用することで起こりうる問題についてはどうだろうか? 最も簡単に思いつきそうなのは、中国のマイニングプールに大部分を寡占されている状況を、彼らがBUクライアントを採用することでさらに分権化(Decentralized)が脅かされることだ。

コアのクライアントが無視され、BitcoinUnlimitedが採用されネットワークに受け入れられてしまうことは、単にマイナー主導でブロックサイズを変更できるということだけでは終わらない。実際に起こるのは、「マイナーが任意にコードを改変し、それをビットコイン全体の総意としてしまう」ことだ。こうなってしまうと、コアとマイナー、ユーザー、事業者のパワーバランスが大きく崩れ、ネットワークの中央集権化を助長する可能性も考慮しなければならない。

また、21, Inc.などマイニングの中央集権化に対抗するためのソリューションを開発している企業もあるが、現在マイナーの多くは中国に集中しているため、「マイナーによる任意のコードの改変」を許してしまえば国家による規制が大きなリスク要因ともなりうる。しかし、ヤン氏はこうした事柄について、「むしろビットコインのポジションが大きく改善する」と楽観的な見方をしているようだ。

中国政府がビットコインやブロックチェーン・テクノロジーに対してポジティブな見方をしていることは、ビットコインにとって良い傾向だと考えている。このままビットコインなどのテクノロジーへの理解が勧めば、ビットコインのより大きな宣伝と採用につながるだろう。


reddit.com/r/btc

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この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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