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最近は国内でもビットコインでの支払いを受け付ける店舗が急速に増えつつある。しかし行きつけの店やコンビニで日々自由に使えるといったレベルには程遠い。近い将来、日本円のようにどこででもビットコインが受け入れられるようになれば、仮想通貨も本当に身近なものになるのに、と思っている方も多いはずだ。

実はその未来が、既に現実のものとなっていることをご存知だろうか。しかも仮想通貨の強みを生かし、我々の予想を超えた進化を遂げつつある。今日は、仮想通貨を使えるビットコイン・デビットカードの中でも、先頭を走るTenXカードについてみていこう。

仮想通貨デビットカード

見た目は一般的な銀行のデビットカードと変わらないが、ビットコインなどの仮想通貨を円など法定通貨に変換してから支払うため、ビットコインを受け付けない店舗でも使えるのが特徴だ。大きく2種類のタイプに分かれる。

数年前から登場しているのが「プリペイド型」。事前に仮想通貨を円に換えてカードにチャージしておくタイプで、チャージする時のレートで円に換金される。WireXやXapoなど海外発のビットコイン・デビットカードや国内のバンドルカード、マネパカードなど種類は多い。

もうひとつは、仮想通貨のウォレットにカードが紐ついていて、購入時にウォレットから引き落とされるタイプ。プリペイド型と大きく異なるのは、商品購入時まで仮想通貨のままで保持され、円への換金が購入時点のレートでなされる点だ。日本の銀行が発行するのデビットカードで海外旅行中に買い物をすると、購入時の外貨レートで日本円が銀行口座から引き落とされるのと同じ原理。

前述した「プリペイド型」と異なり一般的なデビットカードと同じ仕組みだと言える。TenXはこのタイプで実用化され国内で利用できる唯一のカードとなるため仮想通貨を使う瞬間まで持っておきたい人にはうってつけだ。

TenXカードを使ってみる

まずウォレットのアプリをダウンロードして(現在Androidのみ、8月中にWebAppとiOSに対応)仮想通貨を入金し、引き落とす仮想通貨を選択しておく。現在はビットコインのみだが、まもなくイーサリアム系(ETH及びERC20トークン)を加え、追ってDashなど11通貨に対応する。物理カードはアプリを通して注文できる。

買い物にはカードを持っていくだけ。普段通りカードをマシンに入れて、必要なら暗証番号を押すだけで、使い勝手は通常のデビットカードと全く変わらない。店舗側もまさか仮想通貨で払っているとは思わないだろうし、その場でスマホのアプリを起動すれば、引き落とし通貨を変えたり、リアルタイムに残高やレートを確認することもできる(以下の画像は都内のコンビニでの決済画面 TenXインフルエンサーCryptoChick氏による)。今後NFCにも対応し、スマホをかざすだけでカードがなくても決済できるようになるとのことだ。

ファミリーマートでの使用例 引用元:Twitter [Crypto Chick @CCassets](https://twitter.com/CCassets)

ファミリーマートでの使用例 引用元:CryptoChick

手数料はプリペイド型よりも有利となる。まず通常1−3%のチャージ費用がかからない。基本的にかかるのは初回のカード発行手数料だけだ。換金時には、複数の取引所を比較し一番有利なレートを採用し、カード手数料も取らない。限度額は初めは2千ドル(約22万円)に制限されているが、本人認証をすれば増額できる。

ICOで90億円を調達

TenXはシンガポール拠点のスタートアップである。今年6月にICOを実施し、開始7分ほどで8千万ドル(90億円近く)を調達したことで話題となった。独自トークン「PAY」は既に大手取引所に上場されている。2016年にPayPalインキュベーターが輩出し、複数のベンチャーキャピタリストからの資金援助を受けこれまで開発を続けてきた。ベータ版は今年初めからシンガポール住民でテストを重ね、全世界への展開が始まった6月に、満を辞してICOを開始したというわけだ。調達した資金は、半分はカード決済の流動性を確保するために保有し、残りはプロダクト開発を加速させるために活用する。

海外でも威力を発揮

ところで日本円のデビット・クレジットカードがあるのに、わざわざ仮想通貨のデビットカードで支払うメリットはあるのだろうか? TenXカードは利用額の0.1%をPAYトークンで還元(配布)する。また全世界での利用額の0.5%を、PAYトークン保有者にその保有割合に応じてETHで還元する。株主となって配当を受け取るイメージだ。カードが世界で多く使われるほど、またPAYを多く保有するユーザーほど報酬も多くなる。

また、意外にも仮想通貨が大きな威力を発揮するのは海外だ。日本円のカードを海外で使うと、為替レートが不明瞭な上に、カード会社が3%前後の手数料を取るため非常に割高になってしまう。しかしTenXカードは最も有利なレートを使用し、決済手数料も取らない。また、3ドル程の手数料を支払えばATMでの出金も国内外問わず可能だ(国によってはATM自体が手数料を追加で取る場合もある)。もともと送金や両替などの手数料を格段に安くできるのが仮想通貨の売りでもある。海外で使用するには最強のカードの一つとなりそうだ。

順風満帆に見えるが、前途が薔薇色とは限らない。手数料をほとんど取っていないが、これは利益よりも顧客ベース拡大を優先しているからだろう。その間の運転資金はICO調達分から工面し、利益の出せるプロダクトの開発を急ぐ必要がある。もともとVISAやMastercardにとって特に旨味のある話ではなく、今後普及が進めば反対に脅威と映るかもしれない(WireXは実際Mastercardから提携を解消され、VISAに鞍替えせざるを得なかった)。儲かるとなれば資金力や顧客数で勝る大手が参入してくることもありうるだろう。

TenXに勝算はあるのか。今年末のローンチを目指すクロスチェーン決済ネットワーク「COMIT」は、様々な仮想通貨やブロックチェーン・アセットを自在につなぎ合わせるプロトコルだ。ウォレット内での通貨間の両替が可能となり、取引所の機能も持つことになる。来年以降には銀行ライセンスを取得し、ETF、デリバティブなどの投資商品にも参入する計画。今はカード決済にフォーカスしているが、彼らが目指すのは、未来のブロックチェーン銀行なのかもしれない。

TenXホームページより

TenXホームページより

近い将来、我々は仮想通貨で給料を受け取り、仮想通貨で買い物をし、仮想通貨建てで投資をすることになるかもしれない。その時に既存の銀行は変革に対応できているのか。TenXはそんな時代の覇者となっているのか。一枚のデビットカードで封切られた戦いはまだ始まったばかりだ。

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