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ビットコインキャッシュ(以下BitcoinCash/BCC、Bcash/BCHなど諸説ある)が採掘されたブロックの一覧を見ていると、ブロック478,617を先週末に採掘したマイナーが不思議なコメントを残しているのに気付く。

実際の下の画像をご覧いただくのが一番だが、要するにBitcoinCashに賛同しない旨を、スラングを用いて強烈に主張していたのだ。ここで疑問が生じる。それほどBitcoinCashを嫌うのに、なぜわざわざ採掘に参加したのだろうか? この記事では、この一件がなぜ起きたのかを検証することで、マイナーの行動原理とBitcoinCashの今後について考察することにしよう。

coindance

coindanceより

マイナーの利益とは

はじめに、マイナーの行動を理解する上で一番重要なポイント、つまりマイナーが採掘でどのように利益を得ているのかを再確認したい。ビットコインなどプルーフ・オブ・ワーク(POW)と呼ばれるアルゴリズムを採用する仮想通貨では、マイナーは膨大に電気代のかかる演算作業を経て新しいブロックを生成し、報酬をコインでもらう。ビットコインの場合、採掘報酬と手数料報酬を合わせた約14 BTCが各ブロックの報酬となる。報酬は採掘するコイン建てで支払われるため、BitcoinCashの採掘の場合は約14 BCCとなる。

演算作業の難易度(ディフィカルティ)は、ビットコインではブロックが約10分おきに生成されるように2016ブロックごとに自動調整される。

難易度調整の新ルール

8月1日のハードフォーク直後、BTCとBCC(BitcoinCash)の採掘難易度は同じだったが、BCCの市場価値はBTCの20−40%だった。つまりBCCを採掘したマイナーは、同じ労力でBTCを採掘したマイナーの20−40%の報酬しかもらえなくなったことになる。これではいずれBCCを掘るマイナーはいなくなる。そこで今回のハードフォークには、次のようなルールがあらかじめ追加されていた。「過去12時間以内に採掘されたブロックが6個未満であれば、次のブロックから難易度(演算にかかる時間)を20%下げる」というものだ。電気代が20%安くて済むため、マイナーにとって採掘するメリットが大きくなる。

そして不思議な現象が起きた。今月2日から3日にかけて、ブロック478,571がしばらく生成されず、13時間後にやっと採掘されたのだ。その結果、その後6ブロック連続で採掘難易度が下方修正され、BCCの難易度はBTCの4分の1近く(26%)まで下がった。どうやら13時間のギャップが突然空いたのは、BitcoinCash派のマイナーが難易度を下げるルールを有効化させるため、故意にブロックを掘らなかったのではないかと推測されている。

それでもBTCの採掘の方がまだまだ魅力的だ。なぜならBitcoinCashの価値は現在BTCの10%程に落ちたため、4倍の電気代をかけても10倍の報酬を受け取ることができるからだ。しかし、ここでもう一度12時間以上BitcoinCashが採掘されなかったらどうなるだろうか。再び6−8回連続で難易度が下がり、その難易度はBTCの約23−35分の1(4−3%)になる。

そうなると事態は逆転する。BTCで10倍の報酬をもらうよりも、電気代が20分の1未満で済むBitcoinCashを掘る方が断然有利になってしまうのだ。利益重視のマイナーたちは一斉にBTCを掘るのをやめてBitcoinCashを掘り始めるかもしれない。誰も掘らなくなったビットコインは反対に送金が滞り、市場は大混乱に陥る可能性もある。

目的は難易度調整の阻止

これを防ぐにはどうすればいいか。答えは単純明快だ。調整が行われる12時間の間に6ブロックさえ採掘し続ければいいのだ。もしBitcoinCashのマイナーが故意に採掘していないとなれば、BitcoinCashに反対するマイナーが利益を度外視してBCCを掘ることで下方修正を目論むマイナーの思惑を防ぐこともできる。

ここでやっと、冒頭の例のコメント欄が出てくる。あのスラングは赤字覚悟でBCCを掘ったBTC(ビットコイン)派マイナーが、BitcoinCash派のマイナーたちを牽制するために彼らに残したメッセージだったのだ。

油断は禁物

BitcoinCashの難易度が6ブロック連続で調整された後も、マイナーがブロックを採掘するのに時折数時間かかっており、6日と8日にも合計3回の調整が行われた。その結果、現在ではBitcoinCashの難易度はBTCの13%にまで落ちている。Coin Danceによると、現在はBTCを掘る方がわずか33%だけおトクとのことだ。

coindanceより

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なお9日には、BTC側において2016ブロック毎の定期的な難易度調整が予定されており、BTCの難易度は反対に約7%上昇する見込みだ。BitcoinCashの今後の値上がりによっては、近い将来BitcoinCashの方がBTCよりもマイナーにとって若干収益性が高くなる可能性もある。

ハードフォーク当初、BCCを公式に掘っていたのはBitcoinCashを主導する中国のマイニングプール・取引所のViaBTCだけだった。その後、中国系の一部のマイナーが参加したようだが、8割以上のブロックがいまだ匿名のマイナーにより採掘されている。噂では、これは世界最大のマイニングプールでありJihan Wu氏率いるBitmainではないかともいわれている。Bitmainは公式にはBitcoinCashへの関与を否定しているものの、関連が強く疑われている。ここ数日は匿名のマイナーの割合が増え続けており、最近のブロックでは9割以上が匿名である。業界最大手の同社や同調する勢力がハッシュパワー(演算能力の総計)をBitcoinCashにより多く振り分けようと狙っているのかもしれない。

BitcoinCash支持派やBitmainにとっても、仮想通貨の大黒柱であるビットコインを潰すことは得策ではない。ただし上記の戦術は、たとえ実行に移さなくても、今後の交渉を有利にするためのカードとして有効だ。したがって、現在BitcoinCashの価値がBTCの10%程度だからといって、BitcoinCashを侮るのはまだまだ危険だろう。


coindesk
CoinDance

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