LINEで送る
Pocket

teach-ico

ICOの概要の第1回では、ICOの概要と、投資家に渡されるトークン、仮想通貨の分類として、以下のパターンを示した。第2回では、各パターンについて、詳細を解説していく。

なお、ICOの法定位置付け、該当性については、まだまだ不明瞭で当局のスタンスも明確化していないため、必ず専門の弁護士への照会、場合によっては金融庁Fintechサポートデスクへ照会頂きたい。

※本記事は現状での著者の個人的見解であり、今後内容、解釈を変更する可能性があります。

分類 内容
通貨型(不特定流通型) * Bitcoinのような不特定多数に支払手段として流通することを想定した、仮想通貨法でいう1号、2号仮想通貨に該当するもの
通貨型(特定範囲流通型) * 事業者のサービス内でだけ支払手段として流通するもの(仮想通貨法の1号、2号仮想通貨に非該当)
* サービス内であれば利用者間での支払いも可能
* 利用しても消費して消えずに流通し続ける通貨的性質
権利型(特定範囲流通) * 事業者のサービス内でだけで流通する“サービスが受けられる権利”で、支払手段ではない
* サービス内で、利用者間での交換も想定
* サービス内で、利用者自身による権利発行も想定
* 特典が受けられる権利を購入するもので、サービス内外で金銭、仮想通貨への払い戻し、交換が行われると、仮想通貨法の規制を受ける可能性も
購入券型 * 購入型クラウドファンディングに近い
* 事業者のサービス内でだけ支払手段として利用可能
* 利用者間での支払いには利用しない
* 利用分は消費され消える
寄付型 * 寄付型のクラウドファンディングに近しく、投資ではなく贈与となる。
* 対価として投資家に渡される仮想通貨、トークンは“返礼品”との位置付け
利益分配権型 * 投資家型(匿名組合出資)クラウドファンディングに近い
* 保有数量に応じて、事業者が展開するサービスから上がる利益の分配を受けられる
* 企業支配権があれば投資家型(株式)クラウドファンディングに近くなる

1 通貨型(不特定流通型)

ICOが大きく注目を集めているのは、このタイプで実際に巨額を集めている事例が海外で出てきているからであり、Ethereumが代表事例となる。

Ethereumは、開発費などの捻出のために、リリース前にBitcoinを払い込むと、仮想通貨Etherが対価として得られる「プリセール」が実施され、結果約15億円程度の資金調達となった。特に投資家に対してはEther以外の特典などは付与されなかった。プロジェクトは、その後Ethereumの開発を順調に進め、実際に投資家はEtherを得ることができた。EtherはBitcoinに並ぶ仮想通貨・ブロックチェーン業界の中心として認知を広げ価格が上昇、また、世界各地の仮想通貨交換所で活発な取引が行われ、投資家はEtherの売却により大きな利益を得ることができた。

この事例を参考に、仮想通貨を新規開発・発行する場合は、「プリセール」として、発行量のうち一部を事前に投資家に販売し(残りはマイニングを通し発行されるのが一般的)、その資金を開発に充てることが多く行われるようになった。投資家も、BitcoinやEther等の仮想通貨の急激な値上がりを目にし、新規仮想通貨を割安に購入できる機会として、プリセールに多額の資金が集まる状況となっている。狭義のICOはこのように、仮想通貨の新規開発用の資金調達を、既に流通している仮想通貨の払込みで行うことと言える。

(1)通貨型(不特定流通型)の仕組み

画像1
画像2

(2)発行者側のメリット

発行者側のメリットは以下のような点になり、現状は投資家からのモニタリングが効かないなど、投資家保護の枠組みが弱い状況にある。

発行者側のメリット
投資家には仮想通貨を渡すだけでよく、その他特典の提供や、株のように利益分配が不要
投資家には会社の所有権などは渡さないため、投資家から口を出されない、また、プロジェクトの進捗などの情報開示義務もない
仮想通貨の人気が出ず、価格が低迷しても発行者側はプリセールの購入者への責任はない
一般的に新規発行の仮想通貨は、一定割合をプリセールで投資家に販売、さらに一定割合を開発グループが事前確保、残りはマイニング作業を通し発行、というように、開発グループもある程度の量を保有しているケースが多い。

このため、仮想通貨の普及が進み、価格が上昇すれば、開発者は直接自分らが保有していた仮想通貨を交換所で売却し、追加開発資金を確保することができる。まさに通貨発行益を得られるということになる。

(3)投資家が気を付けるポイント

現状投資家保護の枠組みが弱いため、投資家は以下のような点をしっかりと確認したうえで投資を行うべきと考えられる。

ポイント 解説
発行される仮想通貨の利用用途は明確か * そもそも仮想通貨を必要としないプロジェクトでも投資資金目的に仮想通貨を発行することもあり、投資家が受け取った仮想通貨は、どのような用途に使えるのかを考えるべき。
* 仮想通貨は株ではないため、プロジェクトが大きく成長し発行者が利益を得ても、それの分配を受けられるわけではない。
* 仮想通貨の利用者が増えれば比例して仮想通貨の価格が必ず上がるわけでもない。プロジェクトで仮想通貨がどのような位置付けなのか、どう使われていくのかをしっかり把握し、どのような要因で価格が上がるのかを検討すべき。
* 投資家が必要とするサービスに利用可能な仮想通貨であれば、割安で購入できればよく、価格が高く上がる必要はない考えもある。
既存の仮想通貨との差別化点は明確か * 既に多数の仮想通貨が登場しており、その中でどのような特徴があるのか、市場で価格の付く仮想通貨になれるかを検討する必要。
* すべて独自に開発する仮想通貨ではなく、EthereumやNEM、Hyperledgerなどのプラットフォームを用い簡単に発行できる仮想通貨の仕組みを利用する場合は、技術面での特徴が乏しいため、利用用途、サービス内容の精査が重要になる。
技術仕様の解説(ホワイトペーパー)が公開され、ネット上で専門家により相応の評価が得られているか * ホワイトペーパーが出ていなければ、十分な実現技術がない状態で、資金調達のために革新性をアピールしているだけということもあり注意を要する。
* プラットフォームを用い発行される仮想通貨はホワイトペーパーがない場合があるので、利用用途、サービス内容の精査がポイントになる。
仮想通貨・ブロックチェーン業界での評判は? 投資家には技術面の理解のハードルは高いため、業界内の技術系や法律系の人がどのような評価をしているか確認することは意味が大きい。投資サイドの人の声は、購入バイアスがかかっているので聞かない方がいいであろう。
(日本では)認定仮想通貨と登録仮想通貨交換所で取り扱い可能になる見込みがあるか * 日本では、認定仮想通貨になり、かつ登録仮想通貨交換所で取り扱い可能にならないと、市場取引ができない。
* 市場売却での投資資金回収を予定している場合は、どのような根拠でこの要件をクリアするつもりなのかを具体的に確認する必要がある。
* 資金調達時の投資家向け説明での、「要件はクリアできる見込みです」のような言葉だけを信用してはならない。

(4)日本の法律での留意点

日本で「仮想通貨」(通貨型(不特定流通型))を発行するICOを行う場合は、資金決済法(仮想通貨法)の対象に該当し、ICO前に、事前に、当局に認定仮想通貨として認めてもらうこと、払込み仮想通貨と新規発行仮想通貨の「交換」を、不特定の投資家との間で行うことから、ICO実施者は、仮想通貨事業者の登録を受ける必要があると考えられている。

開発資金を調達するためのICOを行うために、この要件をクリアすることは相当ハードルが高いと思われ、日本でのこのタイプのICOの事例は非常に少なくなるものと考えられる。逆に、日本でこのタイプのICOを行おうとしていれば、投資家は慎重に投資を検討した方がよいであろう。

発行者が投資を募る場合に、「必ず価格が上がる」のような断定的な判断の提供や、虚偽の説明を行うことは、消費者契約法などで問題となる。

論点 予想
ICOを行うには、実施事業者が、登録仮想通貨交換業者になり、また、発行する仮想通貨を、当局に登録事業者が取扱い可能として認定してもらう必要があるか 払込み仮想通貨と、対価で投資家に発行する仮想通貨の「交換」になるため、必要となる可能性が高い。
資金調達の募集は出資法上問題があるのか 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われるので、現状は問題とはならない可能性。なお、今後投資家保護の観点で、何らかの規制対応が行われる可能性があるのでは
資金調達の募集に第一種、もしくは第二種金融商品取引業登録は必要か 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われ、仮想通貨は現状金商法対象外なので、不要となる可能性。

なお、利益の分配を目的としていないため、ファンド規制も対象とはならない可能性。

(5)日本から海外のICOに参加すること

日本の個人が海外の通貨型(不特定流通型)のICOに参加することに制限はない。

海外のICOに参加し、そこで発行される仮想通貨がEthereumのように世界中に広がり、やがて日本でも認定仮想通貨になり、登録仮想通貨交換所で取り扱い可能になれば、日本の交換所で売却でき、大きな利益を得ることも可能となる。

通貨型(不特定流通型)のICO参加事例はこちらの方が多くなるであろう。ただし、海外のICO案件でも、上記の投資する場合の留意点はしっかり確認した方がよい。海外案件への個人的な投資は完全に自己責任である。

2 通貨型(特定範囲流通型)

通貨型(不特定流通型)との違いは、不特定範囲での流通ではなく、発行企業のサービス内でのみ利用可能な仮想通貨である点となる(仮想通貨法での1号、2号仮想通貨に非該当の仮想通貨)。また、購入券型は、サービスの利用時に消費されてなくなるのに対し、通貨型(特定範囲流通型)は、再利用が可能なこと(償還されない)、提供されるサービスの範囲内で利用者同士での支払手段としての交換が可能なことが違いとなる。

Bitcoinのような通貨型(不特定流通型)にすると、発行企業の管理が及ばなくなる可能性もあるため、自社サービスと提携企業、およびそこへの参加利用者の範囲内だけで流通させたい用途の仮想通貨ということになる。

なお、利用しても、消費されて消えずに流通する通貨型の場合は、「トークン」ではなく「仮想通貨」(≠資金決済法の1号、2号仮想通貨)と呼ぶ方整理が良いのではなかろうか。提供されるサービスの範囲内での利用者同士での交換とは、例えば、別の利用者がゲーム内で入手したアイテムの販売を、同じゲーム内で行う場合に、その支払手段として利用できるような、利用者もサービス内でお店を開けるような状況が想定される。

利用者同士での交換に利用できる点が既存のクラウドファンディングとは違う点となる。他の利用者と、仮想通貨と、金銭や別のサービス外の仮想通貨との交換を行うと、「サービス外換金」となり、仮想通貨交換業対象となる可能性があるので留意が必要。

画像3
画像4

(1)法的な位置付け

日本では、通貨型(不特定流通型)であれば、仮想通貨法の規定する1号、2号仮想通貨に該当すると考えられるが、“特定”範囲流通型の場合は、1号、2号仮想通貨には該当しないものの、支払手段としての性質から、電子マネーやポイントに該当する可能性もある。

論点 予想
ICOを行うには、実施事業者が、登録仮想通貨交換業者になり、また、発行する仮想通貨を、当局に登録事業者が取扱い可能として認定してもらう必要があるか * 対価で投資家に発行する仮想通貨・トークンは、利用範囲が限定されているので、仮想通貨法の対象外となる可能性。
* 利用者範囲が拡大すると、利用範囲が「不特定」とみなされる可能性
資金調達の募集は出資法上問題があるのか 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われるので、現状は問題とはならない可能性。なお、今後投資家保護の観点で、何らかの規制対応が行われる可能性があるのでは。
資金調達の募集に第一種、もしくは第二種金融商品取引業登録は必要か 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われ、仮想通貨は現状金商法対象外なので、不要となる可能性。

なお、利益の分配を目的としていないため、ファンド規制も対象とはならない可能性。

電子マネー(前払支払手段)に該当するか 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われるが、支払手段としての明確な位置付け、対価を得て発行される点などから、電子マネーとみなされる可能性がある。
資金移動業が必要になるか 利用者間での支払いに利用可能であれば、必要とされる可能性がある。
企業ポイントとなる可能性 * 資金調達支援の特典として、ポイントを発行しているとすれば、企業ポイントやゲーム内ポイントとみなせる可能性。この場合利用者同士の支払いに使える点の法的解釈が課題となる。
* 対価をもって発行される点から、ポイントとみなせない可能性もある。

(2)投資家が気を付けるポイント

ポイント 解説
発行される仮想通貨の利用用途は明確か そもそも仮想通貨を必要としないプロジェクトでも投資資金目的に仮想通貨を発行することもあり、投資家が受け取った仮想通貨は、発行企業が展開予定の事業において、どのように利用可能なのかをしっかりと確認すべき。
発行企業のサービス外に持ち出せない、換金できないことを明確にしているか このタイプは、発行企業のサービス内での利用、サービス内での利用者同士での支払にしか利用できず、金銭や他のサービス外仮想通貨に交換はできない。つまり、仮想通貨が値上がりし換金で大きな利益を得ることはできないということであり、発行企業のサービスを利用することを前提に投資するべきであろう。
発行企業の信用リスクを検討する * 発行企業のサービス内でしか利用できないとは、発行企業が倒産すれば、利用できる場所がなくなり、無価値になる可能性が高い。相応の金額を投資するのであれば、発行企業の信用リスクは大きな判断材料になる。
* 償還が想定されないため、サービスの提供持続可能性も検討事項となる
発行者が、発行される仮想通貨・トークンの法的位置付けを明確化しているか このタイプの仮想通貨、トークンはどのような法的位置付けになるのかケースバイケースでの判断が必要になると考えられ、発行者自身が弁護士意見書をとるなど、認識の明確化をしておかないと、後から法的に高コストな対応が求められるなど、事業の先行きが不透明になるリスクがある。

3 権利型(特定範囲流通)

支払手段としての仮想通貨・トークンではなく、サービスの範囲内で、特典などを受けられる「権利」を、仮想通貨・トークンが示すものとなる。

保有する仮想通貨・トークンの数量により、受けられる特典のランクが変わることなどが考えられる。

また、サービス内で各種特典が受けられる権利を、利用者間で交換することや、サービス内で利用者が自分の提供する特典が受けられる権利を発行し、他の利用者がそれを購入したり、他の権利との交換で入手することも想定される。

特典が受けられる権利の購入は、支払方法として、金銭、1号/2号仮想通貨、サービス内の他の権利との交換、が考えられる。1号/2号仮想通貨で購入ができる点は、サービス内でだけ利用可能な物品(権利)を1号/2号仮想通貨で買っているだけなので、仮想通貨交換業には該当しない可能性がある。

権利の交換については、提供されるサービス内でのみ完結しており、金銭や1号/2号仮想通貨への払い戻しや、サービス外に持ち出して利用できなければ、特典が受けられる権利が、仮想通貨法の対象となる1号/2号仮想通貨とみなされる可能性は低いと考えられる(この点は非常に不明瞭なので注意が必要)。

画像5
画像6

(1)法的な位置付け

論点 予想
ICOを行うには、実施事業者が、登録仮想通貨交換業者になり、また、発行する仮想通貨を、当局に登録事業者が取扱い可能として認定してもらう必要があるか 対価で投資家に発行する仮想通貨・トークンは、支払手段ではなく特典を受ける権利として利用範囲が限定されており、かつ金銭やサービス外の他の仮想通貨との交換が想定されていない場合は、仮想通貨法の対象外の可能性。(実際どう解釈されるかは不透明)
資金調達の募集は出資法上問題があるのか * 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われるので、現状は問題とはならない可能性
* 購入型クラウドファンディングに近しく対象外となる可能性
資金調達の募集に第一種、もしくは第二種金融商品取引業登録は必要か * 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われ、仮想通貨は現状金商法対象外なので、不要となる可能性。
* 購入型クラウドファンディングに近しく金融商品取引法の規制対象外とされる可能性
* 利益の分配を目的としていないため、ファンド規制も対象とはならない可能性
電子マネー(前払支払手段)に該当するか 対価を得てトークン、仮想通貨が発行されるが、支払手段ではない位置付けであれば、購入型クラウドファンディングに近いため、特定商取引法の表示義務対応等で済む可能性。
資金移動業が必要になるか 電子マネーに該当せず、支払手段ではない位置付けであれば、不要になると考えられる

(2)投資家が気を付けるポイント

ポイント 解説
発行されるトークン・仮想通貨の利用用途は明確か * 支払手段ではなく、特典を受ける権利であることが明確化されているか。
* 特典の意義が見いだせないようなサービスであれば、そもそも何のためにICOの対価としてトークン、仮想通貨を発行するのか検討が必要。
* 発行企業のサービス外に持ち出せない、換金できないことを明確にしているか
* 他の利用者への権利譲渡ができる場合は仕組みが明確か
発行企業のサービス内での利用、交換に限定され、1号/2号仮想通貨との交換ができないことが明確になっているか。1号/2号仮想通貨との交換を行う場合は、仮想通貨法の登録要件をどのようにクリアするのか。
発行企業の信用リスクを検討する 発行企業のサービス内でしか利用できないとは、発行企業が倒産すれば、利用できる場所がなくなり、無価値になる可能性が高い。相応の金額を投資するのであれば、発行企業の信用リスクは大きな判断材料になる。またサービスの持続可能性も検討事項。
発行される仮想通貨・トークンの法的位置付け、規約での会員の権利の明確化などがなされているか 新しい仕組みのため、法的解釈が非常に曖昧な状況であり、今後の規制動向、その対応案、リスクが明確に説明されているか。
特典の質の維持が規約などで確保されているか * 規約上特典内容、提供頻度、質の確保などが明確化されていないと、特典が提供されない可能性もある。
* 特典の質が低い、特典を受けるための時間や場所が限定され、使い勝手が悪い可能性

4 購入券型

資金調達での、仮想通貨の払込みの対価に、発行企業でのサービス、物品購入にだけ使えるトークン、仮想通貨が付与されるもの。

購入型クラウドファンディングに近いが、物品を直接投資家に渡すわけではなく、事業者の商品を購入できる仮想通貨、トークンを投資家に渡すものとなる。

トークン、仮想通貨は、事業者のサービス内でだけ購入時の対価として利用可能で、利用者間での支払い利用は想定しない。また、利用した分は消費され消えるため転々とした流通も想定しない。

既存のクラウドファンディングとの違いがあるとすれば、ブロックチェーンの技術を利用することで、トークン、仮想通貨を他の利用者に、二重譲渡問題などを防いだ形で簡易に譲渡できる点となる。

譲渡の対価は、サービス内での物品購入に利用用途が限定されることから、合理的な物品価格になると考えられるが、レアな物品が購入できるのであれば、チケットの転売程度の価格変動はあるかもしれない。チケット譲渡マッチングサービスのようなものをサービス提供者が合わせて提供することも想定される。

画像7
画像8

(1)法的な位置付け

論点 予想
ICOを行うには、実施事業者が、登録仮想通貨交換業者になり、また、発行する仮想通貨を、当局に登録事業者が取扱い可能として認定してもらう必要があるか 対価で投資家に発行する仮想通貨・トークンは、利用範囲が限定され、広く流通することが想定されていないため、仮想通貨法の対象外となる可能性。
資金調達の募集は出資法上問題があるのか * 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われるので、現状は問題とはならない可能性
* 購入型クラウドファンディングに近しく対象外となる可能性
資金調達の募集に第一種、もしくは第二種金融商品取引業登録は必要か * 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われ、仮想通貨は現状金商法対象外なので、不要となる可能性。
* 購入型クラウドファンディングに近しく金融商品取引法の規制対象外とされる可能性
* 利益の分配を目的としていないため、ファンド規制も対象とはならない可能性
電子マネー(前払支払手段)に該当するか 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われるが、支払手段の性質、対価を得て、トークン、仮想通貨が発行されるため、電子マネーとみなされる可能性がある。一方、購入型クラウドファンディングに近いため、特定商取引法の表示義務対応等で済む可能性も。
資金移動業が必要になるか 電子マネーに該当しない場合で、利用者間での支払いが想定されていないのであれば不要になると考えられる。

(2)投資家が気を付けるポイント

ポイント 解説
発行されるトークン・仮想通貨の利用用途は明確か 資金調達に参加することで、割安に商品・サービスが購入できるのか、定価で後から買うのと変わらないのか、先に購入申し込みをすることのメリットは何かを確認する。
* 発行企業のサービス外に持ち出せない、換金できないことを明確にしているか
* 他の利用者への権利譲渡ができる場合は仕組みが明確か
サービス内での利用に限定されるが、チケットの転売のように、他の利用者へ権利を譲渡できる仕組みも可能。譲渡時に他の仮想通貨に交換できると、仮想通貨交換業の登録が必要になる可能性がある。サービスの人気が高まれば、チケット転売のように利益を得ることも可能であるが、あくまで発行企業のサービスを利用することを前提に投資するべきであろう。
発行企業の信用リスク、開発予定商品の開発リスクを検討する 発行企業のサービス内でしか利用できないとは、発行企業が倒産すれば、利用できる場所がなくなり、無価値になる可能性が高い。また、開発が遅延し、商品がリリースされない可能性もある。
発行される仮想通貨・トークンの法的位置付けを明確化しているか 位置付けを明確化しないで、不特定の範囲で流通可能な仮想通貨を付与するような誤認説明を行い、価格上昇目当ての投資を募るような発行者には注意が必要

5 寄付型

寄付型のクラウドファンディングに近しく、投資ではなく贈与となる。対価を求めるようなものではないが、“返礼品”として、投資家には仮想通貨、トークンが発行され渡されることが想定される。

あくまで“返礼品”としての仮想通貨、トークンなので、価値が上がり売却益を狙うようなものではない。仮想通貨、トークンは、コレクターアイテム的な位置付けや、イベントなどでお土産が貰える、報告会に無料で参加できる、などの用途になるであろう。

なお、寄付型として、税務上優遇措置が受けられるかは不明。調達資金に課税される可能性もある。寄付型クラウドファンディングが少ない点からも、大きく件数が増えることは少ないのではないか。

画像9
画像10

(1)法的な位置付け

論点 予想
ICOを行うには、実施事業者が、登録仮想通貨交換業者になり、また、発行する仮想通貨を、当局に登録事業者が取扱い可能として認定してもらう必要があるか 対価で投資家に発行する仮想通貨・トークンは、“返礼品”であり、また、利用範囲が限定され、かつ流通することが想定されていないため、仮想通貨法の対象外となる可能性。
資金調達の募集は出資法上問題があるのか 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われるので、現状は問題とはならない可能性。
* 寄付型クラウドファンディングに近しく対象外となる可能性。
資金調達の募集に第一種、もしくは第二種金融商品取引業登録は必要か * 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われ、仮想通貨は現状金商法対象外なので、不要となる可能性。
* 寄付型クラウドファンディングに近しく金融商品取引法の規制対象外とされる可能性
* 利益の分配を目的としていないため、ファンド規制も対象とはならない可能性。
電子マネー(前払支払手段)に該当するか * “返礼品”であり、該当しない可能性
* 支払手段ではないため該当しない可能性
* 寄付型クラウドファンディングに準じ特段の法規制は受けない可能性

(2)投資家が気を付けるポイント

ポイント 解説
発行されるトークン・仮想通貨の位置付けが明確か 寄付のお礼であり、投資リターンを得るようなものではないこと、換金性や利用用途が乏しいことが説明されているか

6 利益分配権型

利益分配権型は、投資家型(匿名組合出資)クラウドファンディングに近いものとなる。

事業からの利益分配権だけであれば、投資家型(匿名組合出資)クラウドファンディング、企業支配権もついた株式形態であれば、投資家型(株式)クラウドファンディングに準じた対応を検討すればよいと考えられる。

投資家が資金調達の対価として仮想通貨を払い込むと、金額に応じて、利益分配権のついた仮想通貨、トークンが渡される。この仮想通貨、トークンの数量に応じて、事業からの利益の分配を受けられるが、利益の分配方法は、現金(金銭)以外に、Bitcoin等の市場売買可能な1号/2号仮想通貨での支払いも考えられ、その場合、投資家は配当として受け取ったBitcoin等を交換所で市場売却し利益を確定させることになる。また、新規に発行される仮想通貨、トークン自体が配当金として追加分配されることも考えられるが、その場合、換金性が乏しければ、Exit手段がなくなるので注意が必要。

仮想通貨、トークンについては、認定仮想通貨になり、かつ登録交換事業者での取り扱い可能になれば、交換所での市場売買も可能になる。

償還の有無については、設定次第と考えられるが、償還期限がないと匿名組合出資ではなく株式型とみなされる可能性もある。

画像11
画像12

(1)法的な位置付け

利益分配を明示して資金調達を行うため、ファンド投資規制の適用を受けるものと考えられる。

論点 予想
ICOを行うには、実施事業者が、登録仮想通貨交換業者になり、また、発行する仮想通貨を、当局に登録事業者が取扱い可能として認定してもらう必要があるか * 対価で投資家に発行する仮想通貨・トークンは、利用範囲が限定され、かつ広く流通することが想定されていないため、仮想通貨法の対象外となる可能性。
* 分配金が同じ仮想通貨で支払われ、投資家がそれを市場換金してExitする仕組みを想定するのであれば、仮想通貨法の対象として登録を受ける必要。
資金調達の募集は出資法上問題があるのか 投資家の払込みは金銭ではなく、仮想通貨で行われるので、現状は問題とはならない可能性。なお、今後投資家保護の観点で、何らかの規制対応が行われる可能性があるのでは。
ファンド規制対象になるのか * 企業支配権がなく、事業への指示はできない、利益の分配を受けるだけの出資として、匿名組合契約によるみなし有価証券に該当する可能性。この場合、募集には第二種金商品取引業登録が必要(株式型では第一種)。
* 投資家型(匿名組合出資)クラウドファンディングに準じた対応が必要になる可能性が高い。

(2)投資家が気を付けるポイント

ポイント 解説
どのような権利があるのか明確化が必要 出資持分となるが、匿名組合出資のように利益分配権だけで、事業内容や経営に対し、指示をする権利や、運営状況をモニタリングする権利がないことが想定される。このため、発行側は自由度が高い反面、投資家保護が弱くなる。不適切な事業運営や利益が出ても配当を実施しない場合の対応などが規約上定められているか確認が重要となる。
* 発行企業のサービス外に持ち出せるか、他の利用者への権利譲渡ができるか明確になっているか 市場売却するには、認定仮想通貨となり、登録交換所で取り扱い可能になる必要がある。また、他の投資家に譲渡を行う場合なんらかの法的な制約などがないか、明確化が必要。
利益分配の方法は明確か 利益分配金の支払い方法は、金銭か、他の1号/2号仮想通貨か、プロジェクトで発行される仮想通貨なのかを確認する必要。金銭以外であれば、金銭への換金に高い手数料がかかったり、換金手段が乏しい場合がある。
発行企業の信用リスクやサービスが収益を出せる事業性を持つか検討する 発行企業が倒産する場合だけでなく、サービスが発展しないで利益が出ず配当が行われない場合もあり、対象企業・事業の精査が必要となる
法的位置付け、規約での投資家の権利の明確化などがなされているか ファンド投資規制に該当する可能性が高く、法的な位置付けと規約内容の十分な精査が必要になる。

この記事を書いた人

後藤 あつし
大手金融機関における市場リスク管理、信用リスク管理、流動性リスク管理、バーゼル規制対応等の長年の経験を有する。ビットコインおよびその技術であるブロックチェーンについては初期の頃から金融イノベーションに繋がる可能性を感じ調査・研究を行うとともに、主に金融の側面から関連事業者・団体への助言、各所記事や資料等の作成サポート、BTCNへの寄稿なども行なっている。

連絡先 gotoa123tアットマークyahoo.co.jp