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英中銀(Bank of England)は、信頼できる第三者機関を介さず個人間で直接、安全にお金のやり取りができるビットコインの技術に可能性を見ている。公開された議事録の中では、英中銀は中央銀行によるデジタルマネーの発行可能性についてさまざまな問題点の洗い出し、期待できる効果について議論した様子が見られた。

英中央銀行:One Bank Research Agenda Discussion Paper

ビットコインは分散的に維持管理される基盤技術「ブロックチェイン」により、従来では成し得ないような安全かつ低コスト、即時に完了するインターネット上の取引手段だ。英中銀は、ビットコインのシステムには本質的に経済的不安定さがあるものの、分散的な取引元帳であるブロックチェインに対してはかなり有望視しているようだ。

是非ではなく、できるかできないか

分散的なデジタルマネーの発行について、英中銀は以下のふたつの要素へと分解した。

  1. ブロックチェイン技術に基づくデジタルマネーの発行を検討する論理的根拠があるか
  2. デジタルマネーの発行に際して、経済面、技術面、規制面の課題に対処できるか

中央銀行としてのユースケースには、いくつかの異なった運用方法があると述べられている。第一に、銀行間取引のインフラとしてブロックチェインを使用する方法。これは閉じたシステムではなくオープンなシステムになるため、非銀行系の金融機関もこのネットワークを利用することも可能だという。

第二には主題に掲げられているとおり、決済通貨としてのビットコインと同様に、中央銀行発行のいわゆる法定デジタル通貨として発行する方法だ。しかし、これには財政・通貨の安定に掛かるコストや利益を考慮した上で決断を下さなければならないと述べられている。

それ故に、中央銀行が暗号通貨を発行するにはテクニカルな問題が発生する。つまり、ビットコインは分散的であり、発行主体や政府をもたない世界通貨なのに対し、法定デジタル通貨は政府が管理していかなければならないために、現在ビットコインが採用しているプルーフオブワーク(PoW)による取引検証システムはデメリットとなってしまうことになるからだ。

プルーフオブワークの無駄

PoWはビットコインコミュニティの中にも異を唱えるものが多い仕組みである。どういうことかというと、PoWは「投資を行い膨大な維持費を支払わなければ報酬が得られない」ために、マイニング競争に参加する不特定多数の個人(または組織)がマイニング専用機器へ過剰な投資を行う状況を引き起こしやすい性質をもっているためだ。しかしながらPoWによる「分散的な」検証方法は、PoSなど他の手法に比べると、それでも最も合理的であるという理由で継続して使用されている。

議事録では、このような過剰投資を引き起こす仕組みは国の利益に相反するため、まったく別のプロトコルを開発する必要があると述べられている。それに伴い、中央銀行が分散的なデジタルマネーを発行し運用できるかという論点においては、国の利益と合致した低コストな暗号通貨を開発できるか、という結論に至っている。さらに、AMLやKYCなど、消費者を保護し反社会的勢力を抑圧できるシステムの公的な開発を要することになる。

この議論によるとどうも、デジタルマネーの発行元を中央銀行とするとビットコインどころではないさまざまな障壁が出現しているように見える。これは結局のところブロックチェイン技術を用いた通貨を法定決済通貨として、あまねく流通させるためには天才的なエンジニアの出現に頼るしかないということであり、いさぎよくビットコインを第二の通貨として受け入れ、社会制度を整えたほうがよっぽど低コストだろう。

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
monacoin:MTn7hiNovBHyN7gjtvD1Hh7W96Zmghp41B
bitcoin:1NK8S4ep9ZUZ9H9AmTAfvrCVVAKLbpmi36