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2016年3月4日、ビットコインを法的に定義する新規制法案を含む改正案が閣議決定され、同年4月28日には国会の審議を通過した。これを契機に、国内でも大手企業が続々と参入表明を行うなど、本市場はますます盛り上がりの兆しを見せている。

本連載では、ビットバンクの廣末が聞き手となりビットコインとブロックチェーンの市場に参入表明を行なっている企業、または既に参入している企業にインタビューを行っていく。この領域に取り組む企業が、どのような背景から関心を抱き、市場参入を決めたか。そして、この技術を通じてどのような将来を描いているか。「ビットコイン/ブロックチェーン×事業」をテーマに、仮想通貨に挑む企業の狙いを明らかにしていくーーー。

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第一弾は、株式会社セレス【3696】代表取締役社長の 都木聡 氏です。

セレスは、モッピーモバトクお財布.comなど、スマートフォンのポイントサービスと、モッピージョブという採用報酬型求人サービスを運営している上場企業。アプリのダウンロードや、アフィリエイト広告を通じたショッピングをすることでポイントが付与され、溜まったポイントをiTunesギフトなどの電子マネー、現金、ビットコインに換金できるサービスを展開しています。

また、bitFlyer(ビットフライヤー)との業務提携や、coincheck(コインチェック)、bitbank(ビットバンク)との資本業務提携、Orb(オーブ)への出資など、ビットコイン・ブロックチェーン関連の投資を積極的に行なっている他、2015年10月に発足した一般社団法人FinTech協会の会員にもなっています。ビットコイン・フィンテック関連企業として株式市場の注目も集めているセレスの都木社長にお話を聞きました。


廣末:それでは都木社長、本日はよろしくお願いします。

都木:よろしくお願いします。

廣末:まず、事業紹介をお願いいただけますでしょうか。

都木:我々はモッピーモバトクお財布.comというスマートフォン中心のポイントサービスを運営しています。無料で会員登録していただいて、アプリをダウンロードしたり、ショッピングで買い物をしたり、継続課金サービスに登録すると、ユーザー様にポイントを付与します。ユーザー様は貯まったポイントをiTunesギフトや電子マネー、現金、もしくはビットコインなどさまざまなポイントに交換できるというサービスをやっています。

廣末:今だいたい、どれくらいのユーザーがいらっしゃるのでしょうか。

都木:3サイト合計で、278万人強のアクティブユーザー様がいます。累計では1,000万人以上のユーザー様に使っていただいています。

廣末:すごい。御社には弊社へのご出資もいただいてまして、ビットコイン、仮想通貨関連事業に積極的に取り組んでおられますが、今一度、取り組みの内容をご紹介いただけますでしょうか。

都木:2015年の初めに、まずbitFlyerと事業提携をしております。我々のユーザー様がモッピーで貯まったポイントをリアルタイムにその時のビットコイン相場でbitFlyerのウォレットに交換できるというサービスを、スマートフォンサイトでは国内で初めて開始しました。それに加えて、coincheck、御社bitbankの2社に対して、同様のサービスとともに資本提携も行なっています。それとはまた別軸で、誰でも簡単に仮想通貨が作れるSmartCoinを展開するOrb(オーブ)というブロックチェーンベンチャーにも投資しています。

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[モッピーでポイントをビットコインに交換できる]

廣末:我々から見ると非常に先進的、かつアクティブな取り組みなんですけども、そもそも都木社長がビットコイン、あるいは仮想通貨に積極的に取り組んでらっしゃる背景はどのようなところにあるのでしょうか。

都木:もともと、我々はスマートフォンのポイントサービスをやっておりますので、ポイント自体が、我々が自社発行している仮想通貨であると認識しております。ですので、ビットコインであるとか、クリプトカレンシー(Cryptocurrency)っていわれる仮想通貨っていうものに対しては、やはりスムーズに入っていけるんです。

 ポイントなどの仮想通貨が、イノベーションを起こした結果のモノが、まさにブロックチェーン上で動いているDecentralized(非中央集権的)なビットコインだと考えています。

 そのように認識しておりますので、ビットコインやブロックチェーンに対して我々が事業展開したり投資をしていくというのは、プレイヤーとして最も近しいと考えています。現時点ではポイントをビットコインに交換して、例えば海外送金ができる、決済ができるということですが、それ以外のことも色々とやっていきたいと考えております。

 例えば、我々が会社としてグローバルな広告ビジネスを展開したときに、モッピーポイントがフィリピンなどで使えるイメージはありません。ですが、それがビットコインに置きかわると可能になります。今支払いに利用しているポイントが、グローバルで使えるビットコインに変わるとか。ビットコイン以外にも、他のクリプトカレンシーもあり得るのかなとも思ってますし、いろいろ可能性は感じてますね。

廣末:やはりビットコインなり、仮想通貨っていうのが非常にポイントになると。ポイント自体が擬似仮想通貨。

都木:仮想通貨だと思うんです。今は、ビットコインっていうものがいきなりボーンって生まれた状況だと思います。ですが、やはり、いきなり決済業者ですとか、FX業者がビットコインを手がけるのではなくて、我々仮想通貨(ポイント)の事業者が仮想通貨(ビットコイン)を手がけるというのが非常にスムーズなことであるというように認識してます。

廣末:やはり業界を見ますと、ポイントを積極的にやってらっしゃるところが取り扱いをしたりとか、あるいは研究されたりとか。概ね同じような方向で考えてらっしゃる。おそらく仮想通貨からこういった一種のグローバル決済ができるような通貨に徐々に進化していく。そんな感じでみなさん多分考えてらっしゃるのではないかと。

都木:当然我々が、ポイントサービスとして決済に使えるような進化を遂げるということもあり得ると思うんですけども、ただその1番進んだ将来像がビットコインなんだと思うんですよ。

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廣末:とはいえ、マウントゴックスの問題もあり、社内でビットコインや仮想通貨に取り組むにあたって、深く知らない方たち、特に結構年配の役員の方だとか、社外の方から反対されたりだとか、そうしたことはなかったんですか。

都木:逆に一度もないです。やはりポイントサービス事業者なので、そもそも理解が早いんだと思うんです。

廣末:なるほど。それは素晴らしいですね。やはりまだ法律が定まってない中で、仮想通貨に取り組むっていうのはチャンスでもあり、しかし上場企業にとってはリスクもあるのではないかと思っていまして。

都木:それでいくと、我々はやはりそこに線引きがあって、自社ではまだ取り組んではいないんですよ。あくまでも我々のサービスと提携しているビットコインベンチャーと、サービスを連携してやるというようなかたちをとっているので。直接的にはビットコインを扱ってはいないんですね。

廣末:とすると、法律が定まったら前提条件が整いますので、本格的に自社での事業に取り組みをされるということも念頭にはある。

都木:そうです。ただ、現状国会で審議されている資金決済法だけでは、法的にはグレーなところが残ると考えております。例えば、消費税の問題。本国会でもまだ財務大臣はビットコインの売買に消費税が課税されると明言されていますし、国際送金に関しても仮想通貨について、何かしらの手を加えているかというとそうでもない。そうしたときに、一概に今回の資金決済法の法改正だけで全てがクリアになるという話ではないのかなと。

廣末:おっしゃる通りだと思います。やはり仮想通貨を使って送金のようなことをしようとすると、資金移動業の法律の内容だとか、税務の内容とかもろもろ鑑みると、今の段階では適法にやるのが難しい。

都木:違法と言い切るわけではないんですよね。黒か白かっていう、色的に判断が付きにくいところではあると思うんです。

ソーシャルインパクトとして捉える

廣末:ビットコインに関していろんな捉え方があると思うんですけども、その将来性っていうものに対して都木社長自身はどのように思われてらっしゃるのでしょうか。

都木:一番わかりやすい日本語としては、Netscape(ネットスケープ)をつくられたマーク・アンドリーセンさんの言葉があります。「1975年のパソコンができたときが1つ目の革命である。1993年のインターネットができたときが2つ目の革命である。今回のビットコイン、ブロックチェーンができたことが3つ目の革命であると。」

 やはり、価値のグローバルでのシームレスな移動がビットコインやブロックチェーンによってできるようになったということは、インターネットと同じだけのインパクトがあります。

 技術的に今までクリアできなかったものがクリアできたというのがベースにあり、そこに爆発的な潜在力がある。しかも、世界の人口、60~70億人いるうちの30億人ぐらいの人がアンバンクト、銀行口座を持ってない人達っていうのがいます。

 例えば、フィリピンであれば7割から8割ぐらいの人達が銀行口座を持ってません。でも彼らの殆どはこの先、スマートフォンもしくはモバイル端末を持つであろうことはまず間違いありません。そして、その時ビットコインのような仮想通貨があれば、銀行口座・与信口座のようなものも作ることができる可能性があります。

 そこにできる経済、例えば今までできなかった送金や融資ができる。あるいは、商売で売掛けできるといった与信経済が、ビットコインによって生まれる可能性もある。そういった意味でのソーシャルインパクトっていうのは、やはりすごく強いと思ってるんですよ。

廣末:なるほど。

都木:当然、先ほど言ったアンドリーセンが言ってるような第3のデジタル革命であるということは技術的な部分であるとは思います。ですが、ソーシャルインパクト、社会の必要性という面で、ビットコインや他のクリプトカレンシーには可能性があると考えています。

廣末:識者の中の方には、ビットコインにはいろんな問題があって、ダメだという方もたくさんいるんですけども、それに対して都木社長は結構どちらかというと、真逆でポジティブな立場ですね。やはりこれはインターネット事業を通じてそういう思想になられたのでしょうか。

都木:技術的な部分で改善しなければいけないことはたくさんあるとは思うんですけれども、テクノロジーの進化で解決できる可能性が高いと考えています。逆に、フィリピンとかブラジルのジャングルの中に銀行をつくって、ATMを置いて現金を置けるんですかと。

廣末:置けない。

都木:置けないですよね。ですが、彼らが経済活動をしているんですかっていうと、しているはずですよね。例えば日本人が、我々が当たり前のように享受しているような、普通に送金するとか、クレジットカードで決済をするという。クレジットカードは与信決済ですので、来月払うという行為が、銀行口座を持っていないジャングルに住んでる人達ができるようになるって話なんだと思うんです。そこにはそんなにネガティブな話はなくて、誰もが幸せになりますよね。

廣末:そうですね。

都木:ソーシャルインパクトの強い話だと思うので、社会の必然性と技術の進化というものがマッチしているのかなっていう。

廣末:非常にビットコインマキシマリスト的な発言を聞けて大変うれしい。いろんな方とお話をしていると、都木社長のようにポジティブな派がいる一方、金融とかのエスタブリッシュ系はやっぱりネガティブな方が多くて。

都木:ビットコインってイノベーションなので、既存の金融っていう仕組みであるとか、通貨という仕組みであるとか、SIerのビジネス構造の仕組みとかいうものを破壊していくところでは、当然摩擦が起きますので、それはもう当たり前なのかなと。例えば1990年代後半って、日本のSIerはみんなインターネットなんかだめだよ、イントラネットだよと言ってましたけども、今ではイントラネットって言葉は死語ですよね。

廣末:そうですね。

都木:同じように、いやビットコイン危ないんですよ、それは我々自分で監視しなきゃいけないんですよと。監視ができるプライベート・ブロックチェーンならいいんですよっていうのは、本当にイントラネット的発想だと思ってしまいます。

 やはり、P2Pで、Decentralizedな仕組みであるからこそ、コストが安くって、ハッキングされない、改ざんされない仕組みになるのであって、管理者がいた時点で人為的に改ざんできてしまう。本当、矛盾する話になってきますよね。

 別にブロックチェーンを否定しているわけじゃなくって、やはりビットコインそのものが革新的なことなのかなと。

廣末:全く同意見でございます。最初に都木社長とお会いしてから既にどれくらいですか。

都木:15年ぐらいですかね。

廣末:15年ぐらいですね。こういうかたちでご一緒できて本当に僕もうれしいなと思います。

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イノベーションの急流に挑む

廣末:御社はビットコイン、あるいは仮想通貨関連企業への投資に関して、上場企業の中ではかなり積極的に取り組んでいらっしゃる会社さんじゃないかと思うんですけど、投資を行なっていく上で、どういった戦略や狙いがあるのでしょうか。もし、よろしければお聞きしたいのですが。

都木:やはり技術が急速に進んでいく世界なので、半年前と半年後だと全く景色が変わってきます。当然、去年の今頃と今現在では、まったく景色が違いますよね。そこに対しては我々、インターネットの世界も経験していますので、いかに早く取り組んでいくかというところが必要であると考えています。去年の今頃、ビットコインの取引高で円ベースがドルベースを抜くなんて考えもしなかったですよね。

廣末:なるほど。

都木:ただし、法規制があるので、我々が取れるリスクと取れないリスクもある。そこをブロックチェーンとかビットコインを運営しているベンチャー企業に対して投資をすることによって、その両方を取り込める。早くやりつつも、リスクをマネジメントするということをやっています。ただ、何でもかんでもやっているということではなく、同じ志を持ったベンチャー企業に対して、我々のプラットフォームを活かしていただいたり、ビットコインに交換したいユーザー様のニーズを創るというところにフォーカスを置いています。そういった意味で、今後も出資も含めての業務提携はドンドンしていきたいと考えています。

廣末:御社はFinTech協会に入られてますが、ここではどんな取り組みをされていらっしゃるのでしょうか。

都木:先ほども言った法規制です。法規制について、やはり我々としても、例えば金融庁さんとか、経産省さんとかに窓口を作り、情報をどうやって入れていくのかっていうのは課題だと思っています。ですので、そこは1社単独でやるよりは、協会にはいってやっていくというのがいいのかなあと思います。

廣末:例えばビットコインではマネーロンダリング系の話が出てきてるんですけども、ポイントではそういう話はないのでしょうか。ビットコインに変えられるってことになると、ポイントを経由してマネーロンダリングだとかっていわれる可能性も結構あるんじゃないかなと思うんですけど。

都木:ビットコインの取引所やウォレットサービスに口座を持ってるユーザー様に対してポイント交換しますが、取引所で口座を作る時点でマネーロンダリングの問題はクリアされてるっていう前提だと考えています。

廣末:本人確認。とすると、提携先のビットコイン企業側がKYC(本人確認)をちゃんとやっていればいいということでしょうか。

都木:やってるか、やってないかというよりも、我々のようなポイントサービスでは現金でポイントを買うことができないのでKYCの問題って、あまり問題にならないですよね。

都木:また我々が、例えばポイント交換をするときには必ずSMS認証(携帯番号認証)をいれてますので、通信キャリアのKYCを通ってるユーザー様であると判断します。通信キャリアは必ずやってますよね。で、交換した先が銀行口座であれば銀行でKYCしてますし、ビットコイン取引所のビットバンクでもKYCしてますよねっていう話なんだと思います。

廣末:あんまり問題にならないのか。

都木:いままでで問題になったことがないですね。ポイントは。

廣末:ありがとうございます。では最後に、御社の将来展望についてお聞かせください。

都木:今ほとんどすべての人は、コンビニに行くにも、食事をするにも、服を買うにも、遊びに行くときに必ずスマートフォンを持ち歩いてます。ということは、そこでポイントが使えたらやっぱり便利ですよね。

 例えば、服を買いにいくときに、お店に入ったらiBeaconに反応して来店ポイントが貯まる。コンビニで買い物をして、その数パーセント分決済ポイントが貯まるとかっていうことができるとすごく便利ですよね。我々はO2O(オー・ツー・オー)っていう言い方をしてますけど、やはりオンラインとオフライン、我々のユーザー様と店舗をバリアブルにつなげることができると、我々もユーザー様もハッピーですし、送客してもらった店舗さんもハッピー。そこで売られているものが売れれば、商品を提供してる会社もハッピーですよね。

 なので、O2Oのサービスをビジネス化していくということを考えています。方向感としては、オフラインの企業に提供できるもの。おそらく送客サービスのような、スマートフォンをつかったマーケティングサービスを提供していきたいというのが1つ。

 もう1つは、スマートフォンを使った決済です。ビットコインは決済の部分でやはり非常に有効だと思ってますし、決済だけじゃなく、ビットコインのような仮想通貨を活用したスマートフォンマーケティングの分野に、これからも力を入れていきたいと思っています。

廣末:なるほど。これからIoT(モノのインターネット)を含め、O2Oのネットとリアルがより親密になる中で、ビットコインなんかの仮想通貨もその媒体として積極的に活用されていく。

都木:そうです。ビットコインで決済をするときって、パソコンで決済をするわけじゃないですよね。基本的にはスマートフォンを使ってリアル店舗で決済をするというものが大きな流れになると思うんです。

 世界中の誰もがスマートフォンを肌身離さず持って、いつでもどこでもインターネット環境につながる世界が訪れるとして、我々のポイントのようなかたちでユーザー様がそこで決済できるとか、あるところに行くとポイントが貯まるようなコンタクトポイントを、企業さんと提供していけると、我々のビジョンとしてある、「インターネットマーケティングを通じて豊かな世界を実現する」っていう、本当に豊かな世界になるのではないかと考えています。そういうことができたらなあって思って事業展開をしてます。

廣末:私がいうのも僭越ですけれども、御社のように社会信用のある上場企業がチャレンジしてくださるのは、全体としてプラスだと思っておりますので、本当に大いに期待したいところだと思います。本日はありがとうございました。


株式会社セレス

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この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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