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記事番号 011

ビットコインの特徴を把握するには、円やドルなどの「法貨」、楽天EdyやSuicaなどの「電子マネー」、そしてTポイントなどの「ポイント」と比較することがわかりやすい。

ここでは、それぞれの主な違いをまとめている。

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最もビットコインが他と大きく異なる点は、発行者がいないことである。電子マネーは発行者が存在することが大前提で法的手当てが行われているため(資金決済法)、現状ビットコインは電子マネーではないという整理とならざるを得ない。

資金決済法では、電子マネーは破綻時に利用者を保護するために、発行企業に発行残高の1/2以上の金額を保証金として供託することを義務付けている。実際に発行企業が破綻し電子マネーが使用不能になった場合は、この供託金と企業の残余財産から各利用者へ還付が行われることになるが、供託金が1/2しかないため利用者が損失を被る可能性もある。

一方ビットコインは発行企業が存在しないため、発行企業の信用リスクは存在しないことになるが、ハッキングなどで残高などが大規模に改変されるなど、ビットコインが使用不能になった場合は(現状は想定し難いが)、利用者は保有額が損失となる。また、近年日本ではポイントが非常に増加しているが、ポイントは根拠法が無く法的な位置付けが曖昧であり、発行企業が一方的に還元率を改悪するなどの事例も相次いでいる。利用者にとっては電子マネーとポイントの区別が曖昧にもなりつつあり、今後ポイントは電子マネーのように資金決済法に類似した枠組みで規制される可能性もある。

一方ビットコインは発行者がいないため、資金決済法にある供託金の義務付けよる利用者救済スキームが適用できない。このため電子マネー類似の規制ではなく、自己責任での利用を柱とし、個別サービス・事業者単位などでの利用者保護が求められることになると予想される。

次に利用環境などを比較してみる。

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ビットコインは譲渡可能であり、使用しても消えることはなく、同じコインが世界中を転々と流通して使用されていく。この点は円やドルなどの通貨と非常によく似た性質を持っている。

一方電子マネーとポイントは発行企業の負債という位置付けであり、発行を受けた人だけが使用でき、使用すると発行された残高は消える(前受金と負債の消去、売上の計上)ことになる。払い戻しという点では、ビットコインは発行者がいないため、発行者に対する払い戻し請求ができず、第三者に譲渡することで換金を行うことになる。

一方電子マネーは払い戻しを認めると、前払い金ではなく預り金となり、預り金規制を受ける可能性があるため、原則払い戻しは認めない運用となっている。現状のポイントは発行企業が割引サービスとして提供している位置付けのため、現金に払い戻しを行うかは発行企業の裁量次第であるが、基本的にそのようなサービスを行うケースは稀のようである。


 

それぞれの特徴を比較してみると、ビットコインは電子マネーというよりも、円やドルという通貨に似た性質を持っていることがわかる。自由に譲渡可能で世界中で利用可能という点は、特に途上国など自国通貨の流動性が低い国の事業者には魅力的な特徴であろう。

そして発行者がいないという点がビットコインの大きな特徴となる。発行者がいないためどのように利用者保護を図っていくかが規制を考える上での大きなポイントになるだろう。現状ではビットコインのシステム自体が破綻することはあまり想定されないが、Mt.Gox交換所の事例のように個別事業・サービスが破綻した場合に、発行者がいない、国内だけに留まらないという特徴を踏まえた上で、どのように利用者保護のあり方を整えるかはなかなか難しい。

一定程度の普及規模までは自己責任での利用という形で対応できると考えられるが、大規模に普及した場合には、ビットコイン全体に対して保護スキームを作るというよりも、例えば事業者グループで利用者保護スキームを作ることや、管理体制のよくない事業者を判別するための認定マーク制度の導入を行うなど、事業者・サービス単位での対策を行っていくことになると考えられる。

 

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資料 – ビットコインについて

この記事を書いた人

後藤 あつし
大手金融機関における市場リスク管理、信用リスク管理、流動性リスク管理、バーゼル規制対応等の長年の経験を有する。ビットコインおよびその技術であるブロックチェーンについては初期の頃から金融イノベーションに繋がる可能性を感じ調査・研究を行うとともに、主に金融の側面から関連事業者・団体への助言、各所記事や資料等の作成サポート、BTCNへの寄稿なども行なっている。

連絡先 gotoa123tアットマークyahoo.co.jp