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記事番号 017

ここではビットコインで何ができるのか?なぜビットコインなのか?という点について、ビットコインが利用される場面から掘り下げて考えてみたい。whatisbitcoin

目次
1. 非常に安い手数料による決済手段
2. クレジットカード番号を安易に入力したくない場合の代替手段
3. 寄付の手段
4. 現実通貨が不安定な国における代替的な価値保存機能
5. ビットコインの値上がり益や価格変動差益などの投機目的
6. 銀行口座を持てない途上国の人々が金融サービスを享受する窓口

 


1. 非常に安い手数料による決済手段としての利用

現在のビットコイン関連ビジネスはこの点に着目したものが多く、ビットコインの利用面で最も利便性が高い点と言えよう。

既存の銀行送金、クレジットカード決済では割高な手数料が必要となっているが、それらに代わる代替的な決済手段についてはこれまでは話題に上ることも少なく、人々は高い決済・送金手数料を前提として物事を考えてきた。

最近ではスマートフォンを利用したクレジットカード決済の利便性を売りにするサービスも登場してきているが、あくまで裏側で既存のVISAなどの国際ブランドのクレジットカード決済ネットワークを利用する事に変わりはなく、ネットワークへの利用料の支払いがあるため、決済手数料の引き下げには限界がある。中には安い手数料のサービスもあるが、クレジットカード決済ネットワークの利用料負担が大きく、ビジネス的に収益が上がり難い構造になっている。

消費者にはあまり意識されないが、クレジットカード決済の手数料は利用者ではなく、事業者サイドが負担するため、売り上げの数%が徴収されることは中小事業者の経営には厳しく、また、結果として商品価格に転嫁される形で目に見えない負担が消費者にも掛かっているのが現状である。銀行送金やクレジットカード決済が高い手数料を徴収する理由は、参入コストが莫大な独占的事業環境であることに加え、世界中に張り巡らせた非常に複雑な決済・送金データをやり取りするネットワークの維持費用が必要なことが挙げられる。

インターネットとは違い、独自に構築されたデータ通信ネットワークは、小売店の決済端末から、銀行口座からのリアルタイム引き落とし処理(デビッドカードの場合)までを大規模なトラフィックを処理しつつ非常に高い堅確性でつなぎ合わせる必要があるため、掛かるコストは膨大であり、利用者に高い利用料を課すことも致し方ない面もあるだろう。これまで代替的な決済サービスが登場してこなかった理由も、独自にこのような複雑で大規模なネットワークを構築することが事実上不可能であったためである。

最近ではApple Payの低いカード決済手数料が話題となっているが、低い手数料が実現できた要因は、米国で頻発しているカード情報の流出に伴う不正利用について、iPhoneの高度なセキュリティ環境であればその損害を減らせると、カード会社・金融機関がApple側に譲歩した結果と考えられ、クレジットカード決済ネットワークを利用し続けている点で本質的な変化があったわけではない。

一方、ビットコインはようやく既存の銀行、クレジットカード会社の外側にできた、新しい決済・送金ネットワークといえる。ビットコインは独自のネットワークを構築するのではなく、既に世界中に張り巡らされているインターネットを利用する。そのためインフラのコスト負担面で圧倒的に有利となり、世界中のネット接続可能な場所へ、金額に関わらず1送金当たり0.0001ビットコイン(数円~数十円程度)の手数料で送金を行うことができる。またビットコインは送金者から受取者へ直接送金が行われる。資金回収が即時であるため、これまでのカード決済のように翌月まで入金を待つようなことが不要になる点も事業者には魅力となる。

従来インターネットを利用する場合はセキュリティ面で改ざんの恐れが強く、ネット環境を金融取引に利用することは躊躇されてきた。しかし、ビットコインは送金業務の維持管理や取引を隠して保護するのではなく、逆にオープン化し、自由参加の維持管理作業者全員によって、オープン化されている取引を改ざんの恐れが極めて少ない形で確認・履歴保存することで、セキュリティ面での問題をクリアすることに成功した。(詳細はビットコインの仕組みを参照)

ビットコインは、従来の銀行・カード会社のネットワークの外側に、低コストで信頼性の高い世界規模の送受信者が直接繋がる決済・送金ネットワークを作ることに成功し、非常に安い手数料を実現した点で革新的なのである。

決済・送金手段としてビットコインを利用することで、以下のようなことが実現できると言われている。

  1. 振込手数料が数円~数十円程度で済む
  2. 従来手数料負担感の高かった、10円、100円などの少額商品のネット決済が可能になる
  3. 中間業者を介さず、支払者から直接・即時にビットコインを受取れるので、資金回収リスクやチャージバックを劇的に減らすことができる
  4. 24時間即時決済が可能なため、ネット上でその場で購入・決済・サービス提供が可能になり、ビジネスの可能性が広がる
  5. 外国間で非常に安い手数料で決済・送金が可能で、外国向けビジネスの可能性が広がる
  6. 個人や中小企業、新規事業者など、カード会社審査のハードルが高く、カード決済利用が難しかったビジネスにおいて、ネット決済が可能になる

 

2. クレジットカード番号を安易に入力したくない場合の代替手段としての利用

この点も決済に関わる点となる。

クレジットカード決済時は、カード番号、有効期限、セキュリティコードなどを伝える必要があり、特に海外などの信頼性の確認が難しいサイトでのネット決済時などは、利用が躊躇されがちになる。相手に伝えたこれらの情報が流出してしまった場合は、カードの不正利用が可能になってしまい、実際、非常に多くのカードが被害にあっている。

一方、ビットコインは、相手のビットコインアドレス(1Q4G2h9ooipkoUi9AWTnD8EmwaNErbq9ccのようなID)さえ分かれば送金可能な仕組みとなっている。

ビットコインの送金時は、相手には、「どのビットコインアドレスから、幾らのビットコインが、いつ送られてきたのか」のみが伝わるため、取引は以下のような形となる。

  1. まず自分のビットコインアドレスを商店に伝える(通販時などは商品送付先住所等も)
  2. 商店のビットコインアドレス宛に指定された金額を送金する
  3. 商店は即時に顧客のビットコインアドレスから指定金額が送られてきたかを確認
  4. 商品の発送やサービスの提供

※(3)の消込作業を代行するビットコイン決済代行会社も登場してきている

ビットコイン決済では上記のようにビットコインアドレスだけを伝えることになり、またビットコインアドレスだけでは不正利用ができないので(利用には所有者だけが知る秘密鍵情報が必要)、クレジットカード決済に比べ情報流出時の被害が格段に少なくなる。

このように、クレジットカード情報を伝えたくない場合の決済手段としてもビットコインの利便性は高いと言えよう。

 

3. 寄付の手段としての利用

ビットコインは以下の性質を持つため、寄付の手段としての利用も期待されている。

  1. 中間に第三者を経由しないで、直接送金者から受信者へ送金することができる
  2. 金額に関わらず0.0001ビットコイン(数円~数十円程度)の手数料で送金可能
  3. 送金先のビットコインアドレスさえ分かれば送ることが可能
  4. インターネットを介し24時間、世界中どこへでも送れる
  5. 受け取った人はリアルタイムで金額を把握できる

従来の寄付は、一般的に寄付先の銀行口座に対し、銀行送金の形で送るものであったため、振込先口座番号を控え、銀行送金を行うという手間が必要となり、思い立ったその場でちょっと送ってみるという行動がなかなか難しかった。(中にはマージンを徴収する寄付団体もある)

また、手軽さの点では、街頭募金という形もあるものの、募金場所へのアクセスが非常に限定的であった。

一方ビットコインは送金先のアドレスさえ分かれば、いつでも世界中のどこへでも、直接自分のスマートフォンから届けることができる。

災害や戦争などで金融インフラによるアクセスが限定的な場所でも、スマートフォンさえあれば相手が寄付を受取れることは非常に強力なツールになる。実際、テレビカメラに、寄付先のビットコインを映したところ、すぐに世界中から寄付が贈られたという例もでてきている。

そして、寄付といっても、いわゆる被災者等への送金以外の、「投げ銭」的な使い方も考えられている。

これは純粋な寄付というよりも、「コミュニケーション手段としての寄付行為」と言うべきものかもしれないが、以下のようなビットコインの使い方がある。

  1. ネット上にある映像や音楽などのコンテンツに対して、「いいね!」という感覚で、10円などを作者に送る。これはまだ無名のアーティスト等が自分の作ったコンテンツから少額ながらも金銭的報酬を得られる貴重な機会となる
  2. リアルタイム動画配信時に、応援の代わりに10円などを送る、特に一定時間内で目標金額が集まった場合に何かアクションを起こすなどのコミュニケーションツールとして使用できる

このように、ビットコインには従来の寄付の枠組みを広げ、投げ銭的なツールとしての利用も考えられている。

 

4. 現実通貨が不安定な国における代替的な価値保存機能として利用

ビットコインは、発行上限額が決まっている、管理者のいないオープンで自律的なシステムであるため、既存の通貨と違いインフレに対する耐性が強いと考えられている。歴史上、中央銀行は政府からの圧力で大量のマネーを発行し、それにより国債を消化するという財政ファイナンスが行われ、一般庶民はインフレにより苦しめられるという例が非常に多くみられてきた。

現代も中央銀行は政府から形式上独立しているケースが多いものの、リーマンショック後のアメリカでは、中央銀行が巨額のマネーを供給することで、巨大金融機関を救済する例などがあり、通貨の価値はその時々の政府や巨大企業により大きく歪められる可能性が指摘されている。

このような既存の通貨の在り方に対し、リスク回避の1手段としてビットコインの形で資産を保有しようという人々も存在しており、実際キプロス危機や、アルゼンチンの債務不履行問題時などにはビットコイン価格が上昇する事例も起こっている。

政府債務増大によるインフレ問題は、途上国に限らず先進国でも人々が気にかけはじめており、この点からも将来的にビットコインへの関心は高まっていく可能性もある。

 

5. ビットコインの値上がり益や価格変動差益などの投機目的

ビットコインはビジネス面では決済手段としての利用が注目されがちであるが、個人レベルでは、値上がり期待や価格変動の大きさを狙った裁定取引ニーズが相応に大きい。

まず値上がり期待の点では、ビットコインがその仕組み上、発行上限数が決まっているため、普及に従い1コイン当たりの価値が上昇していく傾向がある。そのため、ビットコインを購入後、使用しないで保有したままにしておくニーズが出てくることになる。

しかし、ビットコインにはそもそも価値の裏付けがなく、使う人が増えること、それ自体が価値になっていくものであるため、使われないビットコイン数が増えると、逆にビットコイン自体の価値が下がる結果となる。ビットコインはあくまでも利便性の高い決済・送金手段としての利便性が評価されている面が強く、価値の貯蔵手段としての利用も当然想定されるものの、後者のニーズが強くなりすぎると普及の面ではマイナスになるとの意見も大きい。

もう一つの、裁定取引ニーズについては、現状のビットコイン価格は非常に大きな幅で価格変動をしているため、売買差益を狙ったトレーディングで収益を上げることも可能な状況にある。裁定取引自体は市場に流動性を供給する役目を担うため、株取引同様、その存在意義は大きい。

しかし現状のビットコイン取引市場は以下のような状況のため、トレーディングは逆に価格変動を増幅する要因とも言われている。この点は今後参加者が増えることで市場が安定し、価格変動幅も一定程度の範囲に収まることで解決されるのではないだろうか。

  1. 市場参加者がまだまだ少なく、価格が一方向に振れやすい
  2. 特定国(中国など)にユーザーが偏っており、規制などの噂で市場価格が乱高下する
  3. 世界中のビットコイン交換所の繋がりが弱く、地域ごとに価格が形成されやすい

 

6. 銀行口座を持てない途上国の人々が金融サービスを享受する窓口となる

現状のビットコインの利用方法としては決済手段としての利用が注目を集め、関連ビジネスの起業や大規模な資金調達も相次いでいるが、長期的に非常に大きなインパクトを持ちうるのがこの点となる。

ビットコインはインターネットを決済・送金ネットワークとして利用するため、ネット接続環境があれば、世界中どこででも利用が可能になる。途上国では非常に限られた一部の人しか銀行口座を保有できず、クレジットカードになるとさらに保有割合は下がるなど、日本では当たり前である金融サービスにアクセスできる人が限られているのが現状となる。

そのため、商品を作って売るにしても、消費者との間に決済ブローカーが入るなど、中間マージン支払いの割合が高く、富の蓄積が難しいなどの問題が起こっている。

一方、スマートフォンを中心に、急激にモバイル端末によるネット接続環境は整いつつあり、Google等による廉価な端末の販売計画など、今後途上国では固定回線ではなくモバイル環境によるネット接続が劇的に増加することが予想されている。

このような環境の中、インターネット経由で利用可能なビットコインには、以下のような大きな可能性が期待されている。

  1. 途上国の人が、世界中の人にコンテンツ・商品を売り、中間ブローカーなどを介さずに代金をビットコインの形で直接受け取ることで、富の蓄積を行い、貧困から脱却するきっかけになる
  2. 既存の金融サービスにはアクセスできない人々が、ネットを介した即時決済であるビットコインを利用することで、様々な商取引をネット上で利用可能になる
  3. 安定しない途上国の通貨価値から離れ、世界基準の価値であるビットコインを持つことで、安定した富を形成する機会が得られる

このように、ビットコインは金融の面から途上国の人々の生活を改善するきっかけにもなりうるとして、その社会的意義を評価する意見も多い。

 


ここまででビットコインはどのような目的で利用されるのか、何ができるのかを見てきた。

特に最後の点のように、ビットコインには単なる決済・送金手段を超える意義までもが期待されており、今後世界的にどのような展開となっていくのか、非常に興味が引き付けられる技術であると言えよう。
 

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資料 – ビットコインについて

この記事を書いた人

後藤 あつし
大手金融機関における市場リスク管理、信用リスク管理、流動性リスク管理、バーゼル規制対応等の長年の経験を有する。ビットコインおよびその技術であるブロックチェーンについては初期の頃から金融イノベーションに繋がる可能性を感じ調査・研究を行うとともに、主に金融の側面から関連事業者・団体への助言、各所記事や資料等の作成サポート、BTCNへの寄稿なども行なっている。

連絡先 gotoa123tアットマークyahoo.co.jp