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ビットコイン財団のチーフサイエンティストを務めるGavin Andresenは、最大ブロックサイズを毎年50パーセント引き上げることで、ビットコインネットワークの許容トランザクション数を増加させる計画をポストした。

この提案が現実のものとなれば、現在ビットコインが抱える -毎秒6-7回しか取引の処理を行うことができない- 問題(ビザ・スケール問題)を解決できるだろう。ネットワークのスケーラビリティ向上は、ビットコインが広まる上で避けられない問題だ。Andresenは、グローバル決済としてのビットコインの長期的な生存のために必要であると結論付けながらも、これらのハードフォークにはリスクを取る必要があり、時間がかかると述べた。

トランザクション増加による許容限界

number-of-transactions-graphビットコインのネットワークでは現在、毎日7~8万の取引が行われている。取引量は昨年末のバブルでのスパイクを除きほぼ停滞しているが、これはオフブロックチェイン(ビットコインネットワーク外)での取引が増加しているためであり、実際の取引量は見た目以上に増加している。

1メガバイトのブロックサイズの許容限界、7取引/秒(tps)しか処理できない現在のビットコインの仕様は、明らかにユーザーの潜在的な需要を満たしておらず、決して十分とは言えない。Andresenはスケーラビリティの問題に対し、次の価格バブルが起こった時に顕在化する可能性があることを示唆した。

“My best guess is that we’ll run into the 1 megabyte block size limit during the next price bubble, and that is one of the reasons I’ve been spending time working on implementing floating transaction fees for Bitcoin Core. Most users would rather pay a few cents more in transaction fees rather than waiting hours or days (or never!) for their transactions to confirm because the network is running into the hard-coded blocksize limit.”
[訳] 推測では、次の価格バブルの際に1メガバイトのブロックサイズ制限に遭遇するでしょう。これは、私がビットコインコアに流動的な取引手数料を実装しようと時間を費やしてきた理由のひとつです。ほとんどのユーザーは、ハードコーディングされたブロックサイズ制限が実行されることで、トランザクションの承認に数時間あるいは数日(あるいは一生!)待たされるよりも、むしろ数セント多く払う方がいいのです。

また、Andresenはこのハードフォークを行わなければいけない理由を、ビットコインの最大発行上限が2100万枚でないとならない理由になぞらえ、ビットコインの分散的な思想のための合理性を述べている。

“I think the maximum block size must be increased for the same reason the limit of 21 million coins must NEVER be increased: because people were told that the system would scale up to handle lots of transactions, just as they were told that there will only ever be 21 million bitcoins.”
[訳] 2100万枚のコインが絶対に増加してはいけないことと同じ理由で、最大ブロックサイズは増加しなければならないと思います。なぜならば、2100万枚のビットコインが唯一だと人々が言うように、システムが大量の取引を処理するためにスケールアップが行われるだろうと言われているからです。

ファイルサイズも無視できない

また、ビットコインの諸問題として、初期のダウンロード時間の増加についても言及している。ビットコインのクライアントをインストールする場合、すべての取引履歴をインデックスし、ダウンロードするために膨大な時間を費やす羽目になる。そのファイルサイズは20GB以上にもなり、平均的な家庭用PCではHDDの圧迫に苦しむことになる。

しかし、これらの問題に関しても様々な提案が行われており、少しずつ解決に向かっているようだ。Andresenは、”未来は明るい”と述べつつ、ビットコインクライアントの将来像を描いた。

1. これまでと同じようにピアに接続する
2. そのピアから、最も適切なチェーンのヘッダーをダウンロードする (数十メガバイトで、数分程度かかるだろう)
3. 合理的なブロックチェインを再編成し、処理するため充分なブロックをダウンロード (充分に(数百)必要。1時間程度)
4. UTXOセットのピアを要求し、ブロックチェインで行われたコミットメントに対し確認する
5. また、ディスク容量が不足している場合は、ディスクから古いブロックを削除することもできる

現状、クライアントをダウンロードし使えるようになるまで丸一日以上掛かるのに比べると、極めて使いやすくなるのではないだろうか。新規参入者にとって(もちろん既存ユーザーにとっても)、ビットコインクライアントの重さは堪え難いものであり、参入障壁となっていたことは間違いないだろう。もちろん、Blockchainのようなウェブウォレットを使うという選択肢もあるが、ウェブ上にビットコインを保管しておきたくない人にとっては自身のPCに保管できるローカルクライアントは必須である。

これらの解決策は、未だ議論の最中であり合意が得られておらず、時間がかかるだろうとAndresenは述べた。

その未来は

“There is a clear path to scaling up the network to handle several thousand transactions per second (“Visa scale”). Getting there won’t be trivial, because writing solid, secure code takes time and because getting consensus is hard. Fortunately technological progress marches on, and Nielsen’s Law of Internet Bandwidth and Moore’s Law make scaling up easier as time passes.”
[訳] 毎秒数千のトランザクション(VISAの規模)を処理するためのネットワーク拡大へのはっきりした道があります。堅牢で、安全なコードを書くことには時間がかかり、合意を得ることも難しいため、実装に至るのは簡単ではないでしょう。幸い、インターネット帯域に関するニールセンの法則、およびムーアの法則によって技術進歩は進んでおり、時間の経過とともにより簡単にスケールアップすることができるでしょう。

Andresenはこの計画には時間がかかり、簡単ではないことを認めているが、時間が解決すると述べた。そして、実装が成功し、年間50パーセントのブロックサイズ拡張を行うことができれば、一日に4億の取引を処理する分散ネットワークを実現するという。更に彼は続けて、12年後には世界中の人々が1日に5-6回(充分すぎる量)の取引を行っても安全なスケーラビリティを実現すると述べた。

これはまさに、ビットコインをクレジットカードに替わる決済技術として、世界へ浸透させるためには不可欠な計画だと感じる。最後にAndresenは、”20年後には、すべての現金がビットコインに置き換わったとしても、検証ノードへトランザクションを配信することに問題はない”と締めくくった。

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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