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昨日、10月21日にニューヨーク金融サービス局(NYDFS)が提案する「BitLicense(ビットライセンス)」へのコメント期間が終了した。

ビットライセンスは、今年の初めにNYDFS最高責任者Ben Lawskyが主導となり起草され、違法行為やアンチ・マネー・ロンダリング(AML)に対処すべく、ビットコイン取り扱い業者を規制するためのライセンス制度だ。ビットライセンスは、7月16日にその内容が公開された。規制内容については、ビットコインを取り扱う様々なユーザーを網羅する21の項目からなるPDF[Link]が公開されているため、誰でも確認可能だ。

2014年1月にNYDFS公聴会ではじめてビットコインに言及し、ビットライセンスを提案して以来、ビットライセンスはビットコイン関連サービス企業や多くのビットコイン支持者に批判され続けてきた。Lawskyはこれを受け、ビットコインのマイナーや一般の開発者にはビットライセンスを適用しないなど規制を緩和したが、それでも多くの懸念は残り、未だ改善を要求されている。

尚、ビットライセンスの効果範囲はニューヨークのみではあるが、業界から注目を受け、初めて制度を構築したことから、これが実現すればビットライセンスを元にした規制が世界中へと波及することは想像に難くないだろう。

Circle CEO Jeremy Allaireのコメント

ビットコイン関連サービスを提供するCircleのCEO、Jeremy Allaireは、ビットライセンスが産業の発展のための重要なマイルストーンであるとしながらも、しかしながらいくつかの懸念があり、規制内容の緩和が必要だと述べた。

同氏は、ビットコインの革新的な「資金移動手段」としての機能を規制してはならないと主張した。インターネットを媒介とするグローバル社会において、ビットコインが革新的だと言われる理由のひとつは、資金移動の容易さであり、その点を規制してしまえばビットコインの価値は激減してしまうということだ。

また、同氏はビットコイン事業者への金融規制について、リスクベースの段階的なアプローチを取ることを要求した。ひとつは、ビットコイン・スタートアップの負担が大きすぎることだ。一挙に金融規制を敷いてしまうと、資金力のないスタートアップは行動を制限されてしまうため、金融機関がそれぞれ信用リスク・カウンターパーティリスク・コンプライアンスリスクとリスクベースのアップローチを取っているように、ビットコイン事業者に対しても同様のアプローチを取るべきだと主張している。

更に、コンプライアンス要件については、大幅な改善が必要だと述べた。同氏によると、提案されたアンチ・マネー・ロンダリングに関しては不必要であり、非現実的だという。理由として、アンチ・マネー・ロンダリングに関するNYDFSのアプローチはあまりに多くの自由裁量の上に立っており、仮想通貨事業という新たなビジネスに適用するには問題が多く残っていると語る。

Coin Centerのコメント

Coin Centerは仮想通貨技術が直面する規制や政府対応に焦点を当てた、ビットコインコミュニティの声を反映し、規制当局と折衝するための非営利の団体だ。彼らは、消費者保護の観点から、仮想通貨ビジネス活動(VCBA)の効果範囲を修正し、不必要に多くの個人情報を収集しないよう改善することを要求した。

VCBAとは、次の5項目からなる活動を示すものである:

  1. 仮想通貨を送信するために受け取る、または受け取るために送信する
  2. 他人のため、仮想通貨を制御、管理、保持、保管、確保する
  3. 消費者ビジネスとして、仮想通貨を売買する
  4. 仮想通貨をフィアット通貨や他の価値へ交換、フィアット通貨や他の価値を仮想通貨へ交換、あるいは仮想通貨の形態をするものとのやり取り、を含む通貨交換サービス
  5. 仮想通貨の制御、管理、発行

これに対しCoin Centerは、VCBAより個人ユーザー、補佐的なサービス、仮想通貨の発行を除外することを提案した。また、取引におけるすべての個人情報、アドレスの記録を要求しないようにすることや、個人情報を隠したい仮想通貨ユーザーを許容することを加え、仮想通貨ユーザーの匿名性を求める声を反映したものとなっている。

ビットライセンスが未来を決める

Ben Lawskyはこれまで様々な提案を却下してきたが、マイナーや開発者がビットライセンスの効果範囲から除外されるなど、正当な根拠のある提案に関しては譲歩し、取り入れる姿勢を保っている。

また、別の側面から見ると、ビットライセンスは今まで規制がなかったことが原因で、参入機会を伺っていた保守的な企業などにとっては待ち望んでいたものであると言える。枠組みが作られることで、銀行などとの交渉が円滑に進むようになるであろうし、違法行為を少なからず牽制することが出来るだろう。規制は必ずしもデメリットばかりがあるわけではなく、産業を健全化させるためにも必要な措置だ。

しかしながら、規制による強力な締め付けは、スタートアップへの負担が増大するだけでなく、サトシ ナカモトが提唱した革新的な暗号通貨技術を凡庸なものにしてしまうことすらあり得る。ビットライセンスの実施如何では、ビットコイン産業を進歩させるどころか、いたずらに参入障壁を生み、成長を阻害し、停滞させてしまうだろう。

NYDFSはインターネットが興隆し、私達の生活を変化させた革新的なプロダクトがインターネットから大量に生み出されたことを思い出すべきだ。コミュニティの声を聞き、自由な参入を促し、皆で育て上げたのがインターネットであったように、ビットコインに関してもそのように見守るのが正しい姿勢なのではないだろうか。

 


 

BitLicense参考資料:
NYDFS: PART 200. VIRTUAL CURRENCIES
Circle blog: Thoughts on the New York BitLicense Proposal
Circle: Re: Proposed Regulations: Title 23, Chapter I, Part 200: Virtual Currencies
Coin Center: Comments to the New York Department of Financial Services
on the Proposed Virtual Currency Regulatory Framework
BitPay: Comments on BitLicense

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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