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ブロックチェーンとは何かについて、その技術あるいは概念を見る人によって捉え方はそれぞれだ。そして殆どの人にとって、ブロックチェーンが何であるかはどうでもよく、ブロックチェーンと呼ばれるコンセプトによって日々の業務がいかに改善されるか、日常の生活がいかに豊かで安全になるかが知りたいというのが本音なのではないかと思われる。

米シンクタンクのConsumers’ Researchが最近発表した「Bretton Woods 2015 White Paper」は、そうした「ブロックチェーン・テクノロジー」を活用する上で、どのようなゴールを定義しビジネスを作り上げていくかを考察するためのマインドマップ形成に役立つ、97ページにおよぶ内容で解説している。ここでは、その一部を紹介したい。

※掲題のブレトンウッズとは、1944年、世界大恐慌と第2次世界大戦の煽りを受け、疲弊しきった世界経済の安定化を図るべく通貨価値を安定させるための国際協定「ブレトンウッズ協定」のことを指す。

ゴール

ブロックチェーンの技術を実社会に適用する上で、包括的に考えるべき観点<ゴール>は以下の5つの要素に分けられる:

  1. 効率化
    経営管理や承認、金融トランザクション、あるいはセトルメントなどのコストを下げ、時間を節約し、エラーを最小化し、消費や余剰人員を抑え、顧客満足度を上げ、情報の非対称性を是正し、信用を積み立てるシステムを構築可能である
  2. 消費者のアクセス、プライバシー、保証、選択権の提供
    規制や法外なコストなど、既に存在する障壁によって消費者の選択肢が狭められている現状がある。こうした技術は消費者に対して商品やサービスのバリエーションを提供可能である
  3. 透明性
    中央管理は、不正やエラー、記録の改ざんなどに対するボトルネックを生みやすい。公開台帳は、情報や記録の透明性を向上させ、そうした利益相反を防ぐことが可能である
  4. 中央管理者分散による直接的な自己統治
    中央管理機関が分散化することで、個人や集団それぞれが自治能力を高め、単一組織の支配から免れることが出来る。こうした社会構造は、そのシステム自体の破綻リスクを抑えることも可能である。AugurやOmbudsmanなどは、ソーシャルコミュニティのクラウド情報を活用し、ユーザーによる直接的かつ強固な自己統治が可能である
  5. 個々のエンパワーメント
    人々は地理的、資源的、整備されていない金融インフラ、あるいは政府構造的なシステム、プロセスによって不便を強いられていることがある。こうした不自由は個々人にエンパワーメントをもたらさらないばかりか、あらゆる可能性を制限してしまう。金融、情報、資源などをP2Pによるコミュニケーションで自由にすることで、例えばアフガニスタンに住む女性が世界中の金融資本にアクセスできるようになる

ブロックチェーン1.0、2.0、3.0

ブロックチェーンには3つのレベルがある:

  • ブロックチェーン1.0
    通貨とパブリックレジャー、プロトコルによって構成される、原初的なブロックチェーン
  • ブロックチェーン2.0
    通貨の上位レイヤーに金融サービス(ローン、住宅ローン、証券、債権、先物、デリバティブ)、あるいはリーガルサービス(権利証書、譲渡証書、エスクロー、遺言、個人情報、契約)を載せる
  • ブロックチェーン3.0
    通貨、金融サービス、リーガルサービスの上位レイヤーに、非金融サービス(サプライチェーン、ID、手続き、知的財産)を載せる

blockchain-level

ここでポイントとなるのは、ムーブメントを起こす「キープレイヤー」と、技術の普及に至るフェーズで必要な「状態」だ。Consumers’ Researchは、ブロックチェーン・アプリケーションの多くが開発の初期段階にあり、技術の採用を進めるも遅らせるも、規制を含めた多くの要因に左右されることになると分析した。

キープレイヤー

  • エンドユーザー:技術によって恩恵を得る直接的な人々
  • サービス・プロバイダ:技術を使って恩恵をもたらす企業や組織
  • 規制当局:仮想通貨やブロックチェーン技術の利用のルールを作る人々、政府
  • ベンチャーキャピタリスト:金銭的、技術的支援によって開発支援を行う企業体
  • 旧来の機関:ノンバンク系の台頭によって従来のビジネスが脅かされている金融機関
  • バッドアクター:詐欺や不正、欺瞞によって自己利益の確保を企てる人々
  • 代理人:異なる業界をつなぐための橋渡しを行う法律家、ロビイストなど

状態

  • 調査:R&Dの段階であり、ブロックチェーン技術の可能性を探る
  • 初期実装:技術可能性をユースケースに落とし込み、パイロットアプリを作成
  • 完全実装:B2B、B2Cの商用アプリを開発し、いくつかの企業と取引し製品として使用する
  • マス・アダプション:一般に広く知られ広く使われている状態。国際的に知られ、一部では旧来的な企業を凌ぐほどに

各ブロックチェーン・レベルにおける利用機会

以下にはブロックチェーンのレイヤーごとの機能と利用機会、それぞれが目指すべきゴールと、キーとなるプレイヤーを一覧化している。キープレイヤーおよびゴールは、左から右にかけて、論文の中で重要とされている順番で並べている。

Blockchain 1.0

  • トランザクション・ストリーミング&交換の改善
    価値のトークン化と、セトルメント機構の自動化による資本流動化が期待できる
    Key Players: エンドユーザー、サービスプロバイダ、規制当局、VCs、金融機関、バッドアクター、代理人
    Goals: 効率化、個々のエンパワーメント、直接的な自己統治能力、透明性、消費者の選択肢
  • 自己規制・自己統治機構
    絶対的な透明性は、監視を健全化し実質的な消費者保護を強化する自己調節機構である
    Key Players: N/A
    Goals: N/A
  • インターネットベースのマイクロトランザクション
    1%未満の手数料で取引可能な暗号通貨は、インターネットの支払いを自由にする
    Key Players: エンドユーザー、サービスプロバイダ、規制当局
    Goals: 効率化、個々のエンパワーメント、消費者の選択肢
  • 金融システムへのアクセスの拡大
    少なくとも25億人以上いるunbankedのためのグローバル金融ネットワーク
    Key Players: サービス・プロバイダ、VCs、圧倒的な数のエンドユーザー
    Goals: 個々のエンパワーメント、消費者の選択肢、直接的な自己統治能力

Blockchain 2.0

  • スマートコントラクト
    リーガル、金融両方の需要を満たし、2.0から3.0に至るために必須の機能である
    Key Players: すべての利害関係者
    Goals: 効率化、個々のエンパワーメント、自己統治能力、透明性、消費者の選択肢
  • ID発行
    中央機関によらない市民番号ないしは身分証明は、後進国の子どもたちを救う可能性がある
    Key Players: エンドユーザー、サービスプロバイダ、規制当局、VCs、金融機関、代理人
    Goals: 個々のエンパワーメント、消費者の選択肢、透明性、(効率化)
  • スマート資産/所有権証明
    10兆ドルを超えるDead Capitalを、ブロックチェーンによって流動化する
    Key Players: エンドユーザー、規制当局、サービスプロバイダ
    Goals: 個々のエンパワーメント、効率化、透明性
  • トークン化を通じた資産の流動化
    例えば乗用車などは、その生涯の95%を駐車場で過ごす。サイドチェーンなどがこの項目に入る
    Key Players: エンドユーザー、サービス・プロバイダ、規制当局
    Goals: 消費者の選択肢、透明性、効率化(self-auditingによる)

Blockchain 3.0

  • リソース配分とガバナンスの透明性の向上
    過度の検閲や秘密主義、汚職は組織を腐らせる。公開台帳による透明化は組織の価値を高める
    Key Players: エンドユーザー、サービスプロバイダ、規制当局、金融機関、代理人
    Goals: 効率化、個々のエンパワーメント、自己統治能力、透明性、消費者の選択
  • 相互監視を通じた公共の利益の管理・供給
    個々人や集団行動による公共の利益の侵害は、物理、仮想問わず分散型のガバナンスによって実現できる
    Key Players: サービス・プロバイダ、代理人、規制当局、エンドユーザー
    Goals: 自己統治能力、個々のエンパワーメント、効率化、透明性、消費者の選択肢
  • ビットコインとブロックチェーンの法的確立
    インターネットが犯罪に使われようと犯罪ツールではないことと同じように、ビットコインやブロックチェーンは安全であると働きかけなければならない。これがなくして、パブリックかつパーミッションレスなブロックチェーン3.0はなしえない。

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この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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