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欧州市場証券監督局(ESMA)は、金融界における分散型台帳技術(DLT)のルーリングを目的に、今年の6月から金融市場関係者とアドボカシーからの意見を求めていた。ESMAは、DLTが金融に多大な影響をもたらす可能性を秘めているものの、そこには機会だけではなく多くのリスクも内包していると考えているようだ。

これに対する反応はまちまちだ。国際取引所連合(WFE)は、証券市場に適用することで大きな恩恵に預かれる可能性がある技術としてDLTを見る一方で、市場機能としての仲介人の一部を排除するなど、今までのやり方を大きく変える変化をもたらすべきではないと解答している。オーストラリア証券取引所やUBS、アメリカの証券保管振替機関(DTCC)などは、DLTを活用することでクリアリングハウスのような決済機構を不要のものとし、リアルタイム決済ができると考えている。

「DLTは業界に多大な利益をもたらすが、リスクについても考慮すべきだ。信頼でき、中立な第三者機関の存在がいてこそ市場が慎重に管理され、健全に機能するということを忘れてはならない。」

WFEは、DLTを用いて電子化された証券に関する懸念も指摘している。持ち分を超え支払不能になる、あるいは破産した場合に保護を受けられるか。こうしたケースにおいて、DLT証券が法的な位置づけが確立されていることは必須条件となる。

他方で、米コロンビアに本拠を置く非営利団体コインセンターは、ビットコインのようなパーミッションレス・ブロックチェーンが証券市場で利用できないとするESMAの前提理解に反論を示していることも興味深い。

パーミッションドよりもパーミッションレスが安全

ESMAが「Permissionless」で「Open」なブロックチェーンを否定する理由は「秘匿性」「効率性」「安全性」の3点だ。コインセンターも、現在あるパーミッションレス・ブロックチェーン自体が処理速度の面で管理者のあるパーミッションド・ブロックチェーンに劣ることは認めている。

一方で、それがパーミッションレス・ブロックチェーンの「特徴」かといえば、そうではないとコインセンターは主張する。例えば、ビットコインは10分間で3000トランザクション程度しか処理することができない。しかし、現在ある合意アルゴリズムの限界という論点はあれど、承認速度を抜きにすれば、イーサリアムにも実質的な限界はない。この何年かで根本的な改善が見られているからだ。また、ライトニングネットワークのような技術は、最新の決済システムよりも高いベンチマークを叩き出している。

また、コインセンターはコンソーシアム・ブロックチェーンのセキュリティにも言及し、パーミッションレス・ブロックチェーンに到底及ばないセキュリティだと指摘した。コンソーシアム・ブロックチェーンでは、特定の管理者がコンソーシアムに参加できる組織を決定できる。ここで一般的に用いられている合意アルゴリズムは、コンソーシアムのノードがランダムなまとまりに区分され、多数決で順番に合意していくというものだ。もしノードの参加を制御する管理者が不正を働けば、このパワーバランスは崩れ特定の参加者に有利な状況を作ることも可能になる。参加者同士が共謀しても同様だ。

ブロックチェーン技術はまだまだ発展途上であり、先日日本取引所グループ(JPX)が公開したワーキングペーパーにおいても、多くの課題が残された結果となった。しかし、パブリック/プライベート問わず技術は進化しており、現在の状況だけを見て結論を下すにはまだ早いだろう。コインセンターは次のように締めくくった。

「私たちは、ESMAがオープンなブロックチェーンを検討から除外することを避けるため、この問題を提起しました。この技術には、金融市場で利用することができないなどというファンダメンタルは決してありません。」


ESMA Discussion Paper
coincenter

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この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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