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2014年はインターネット上の基盤技術として、本当の意味でのビットコインの技術、そしてブロックチェインの技術への注目が高まった有意な年であった。筆者自身はMt.Goxの経営破綻で初めてビットコインを知った遅めのアダプターだが、日本発の暗号通貨Monacoinの利用を通じ、暗号通貨の破格な送金手数料やブロックチェインの透明性、通貨の枠を超えた破壊的な金融テクノロジーへの応用可能性に関しては、今後間違いなく金融インフラにビットコインのテクノロジーが利用されるであろうと確信している。

CoinDeskは、四半期ごとにビットコインの状況についてのレポートを作成し、公開している。今回のレポートでは2015年初めということもあり、2014年の総括とこれからの展望について、詳細なデータに裏付けられた綿密な予測がなされている。CoinDeskによれば、2014年は「ビットコインのふたつのストーリー」として見ることが出来るという。

一つ目のストーリーは、大規模なベンチャー投資が継続して行われ、また、ビットコインが世界的なビッグネーム(マイクロソフト、デル、エクスペディアなど)を筆頭としてビットコイン決済の採用が順調に拡大していることだ。二つ目は、中国政府の反応、そして2月のMt.Gox経営破綻による致命的なイメージ低下によりビットコインの価格に壊滅的なダメージを与え、2014年初めの951.39ドルから309.87ドルへと、67%の急落を見せたことである。

 

CoinDeskもまた例外ではなく、2014年、そして2015年もビットコインは着実な成長を見せると判断している。

slide1

ビットコイン価格の売り圧力は、恐らくマイニング産業の淘汰や取引所の破綻・統合によるものであるとCoinDeskは分析している。Paypalやマイクロソフトの決済採用にもチャートが反応しなかったのは、通常の株式市場と比較し単一企業の参入がそれほど大きな影響を及ぼさず、例えれば、単にコンビニの支払いに新しく決済手段が増えたことと同じだからだ。

 

取引規模の拡大

しかしながら、こういったビッグネームの参入や採用店舗の拡大が進むことで、ビットコインが着実に参加者を増やし続けているという事実は重要だ。ビットコインの取引額規模(取引所内ではなく、ブロックチェイン上で行われる個人間を含めた取引)は、2013年の利用実績から57%の増加を見せている。

figure2

これはYコンビネータのパートナーであるダルトン・コールドウェル氏も注目していたチャートだ。コールドウェル氏によれば、ビットコインの普及率及び成長率は、このチャートのトレンドと共に成長していくという。このチャートはビットコインの取引数と、価格を掛けあわせたものだ。価格が低迷していても、取引数が増加すれば全体としての取引規模は変化しない。むしろ、ビットコインの取引数は2014年1月には4万トランザクションだったのに対し、2014年12月には10万トランザクションとなっており、実に2.5倍の取引が個人間で行われるようになっていることを明示するものだ。

 

投資規模は前年比342%に成長

第四四半期(Q4)には、これまでで最大の1億3000ドルの資金調達ラウンドを見ることが出来た。Blockchain.infoは3050万ドルという、ビットコイン関連企業では最大の資金調達が実施され、マイニング事業を中心に進めるBitFuryの2000万ドル、そして楽天が投資に参加した決済サービスBitnetもQ4に行われたラウンドである。Bitreserveというビットコインの透明性に裏付けられた新しい形の金融サービスは、クラウドファンディングで950万ドルの資金調達を行っている。

参考:累計4億ドル、価格の低迷にも関わらず何故ビットコイン業界には投資が集まるのか

また、興味深いものとして、これまでビットコインの決済や取引、マイニングなどビットコイン・エコシステムの上に立つアプリケーションへの投資が目立っていたが、Q4においてはBlockstreamという、ブロックチェイン(ビットコインの基盤技術)の機能拡張を目指し基盤インフラを構築する企業への投資が、LinkedIn創業者のリード・ホフマンによりなされている。

figure3

ビットコイン関連企業への新規投資は、2013年にはアメリカ、カナダ、イギリス、中国などの8カ国のみだったが、2014年に入ってからは日本を含め18カ国にまで成長した。今後更に投資規模、技術範囲共に拡大を続けるものと思われる。

 

成長予測

Eコマース

現在マーチャントの殆どはBitPayとCoinbaseと契約しており、合計で8万以上のマーチャントがビットコイン決済を採用している。CoinDeskの分析では、このままの成長率を維持できれば2015年末までに14万の店舗がビットコイン決済を採用するようになると予測している(スライド45p)。もちろん、その間に状況が変化し、なんらかの革新があればより大きな成長を見せる可能性もある。

ビットコインウォレット数

ビットコインウォレットは一人でいくつでも持てるため、ユーザー数と正比例するわけではない。実際筆者もウェブウォレットを含めれば9個のビットコインアドレス(他の暗号通貨を含めれば20を超える)を管理しているが、しかしながら現在ビットコインウォレットアドレスは800万存在し、CoinDeskは今年末までに1200万を超えると予測している(スライド49p)。

ビットコインATM

ビットコインATMは毎月20~30台程新規設置されており、CoinDeskは今年末までに750台に達すると予測している(スライド52p)。日本国内でもビットコインATMは3台設置されている。ビットコインATMレーダーなどのサイトで設置場所が確認できるため、興味がある方は調べてみるといいかもしれない。

 

規制と税

ビットコインへの規制はニューヨーク金融サービス局(NYDFS)のベン・ロースキーが牽引するBitLicenseへの注目度が非常に高い。まだまだ調整が必要なものの、ビットコインコミュニティはこのライセンス制度に関して少なからず歓迎ムードにある。また、マスターカードウェスタンユニオンはBitLicenseに対し、ビットコインビジネスを締め付ける方向での抗議文を提出している。

また、フィンランドやオランダ、イギリスではビットコインの個人間取引に対しては課税しないなど、ヨーロッパを中心にビットコインと共存する方向へと歩み始めている。中国は依然としてビットコインのビジネス利用を禁止しているが、最近の会議でビットコインの地域通貨としての利用可能性を示唆する場面もあった。

日本においては自民党IT戦略特命委員会により、事業者団体による自主規制を求めるとの声明が出されており、昨年10月にbitFlyer社を中心とするJADAが発足した。

ビットコインは金融インフラとなりうる可能性を秘めており、特にアフリカなどの現金、現物主義の国での利用に大きな関心を集めている。また、アフリカ諸国ではビットコインの規制は依然として行われておらず、もしかすると今後アフリカに拠点を置くビットコイン関連企業が増加する可能性があるとCoinDeskは分析する。

参考:元イーサリアムCEOが語る、「未来のための分散化」の本当の意義


2015年は、ビットコインにとってどのような年になるのでしょうか?これからもビットコインの世界の物語をBTCNはお届けしていきたいと思います。

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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