LINEで送る
Pocket

ddi-kouhen

Hori: それでは、引き続きイスラエルのスタートアップ動向についてお聞きしたいと思います。ブロックチェーン上でサービスを提供しているスタートアップとして、例えばライド・シェアリングなどを提供しているLa’Zooz、オンラインストレージのStorj、コンピューティングを提供しているZENNETなどのトレンドなどはご存じですか?

インタビュアー:堀口純一(Hori) ZEROBILLBANK LTD.共同創業者兼CEO
日本IBMに12年間勤務した後、IBM Singaporeに転籍。2014年11月までの3年間、日系企業のASEAN展開や機能集約支援に携わる。その後、イスラエルに渡り、2015年2月、ZEROBILLBANK LTD.を創業。コミュニティー通貨のやりとりで生まれる、新たな価値の創出を実現するプラットフォーム構築を目指す。

 

前編:Deep Dive Israel vol.1 – カラードコインとアテンション・エコノミー、分散化SNS

Ayal: はい、ZENNETとTau-Chainですね

Hori: Tau-Chain?

Ayal: はい。ZENNETの開発者のOhad Asorさんは今、Tau-Chainと呼ばれるプロトコルを開発しようとしています。
http://www.idni.org/tauchain

Ofer: D-Appのトレンドですね、Tau-Chainはとても面白いコンセプトだと思います。ちょっと説明するのが難しいのですが、ブロックチェーン上に仮想的なPeer-to-peer環境を作り、知識やルール、コードの再利用も可能にするようなあらゆる機能を提供することを狙っているようです。

Ayal: インターネットを、「Phonetic Internet(音声記号的なインターネット)」で再構成する。コンセプトのひとつです。

Hori: Phonetic?

Ayal: Phonetic Internet。つまり、NameCoinのような感じ。いや、もう少し幅が広いイメージで、ブロックチェーンを想像してみてください。

Hori: ふむふむ

Ayal: 例えば、ブロックチェーン上にURLリンクを登録できます。

Hori: URLリンクを保存ですね。

Ayal: 一度登録されると、URLリンクは変更できませんよね?ブロックチェーンなので。

Ayal: そして、どんなURLリンクかがわかるようになる。つまり、このURLリンクは、実質的にあなたが作成した正しいURLリンクだということがわかり、ユーザーたちは、そのブロックチェーン上の仮想環境に作られたURLリンク上に、自分のコンピューターリソースを立ち上げることができるようになります。また、そこに他のアクション、例えば、第三者が作成する演算やプログラムを動かすためのコードも乗せることが可能なので、自分が意図した通りのコンピューティング環境を構築できるのです。

Ofer: つまりは、ブロックチェーン上にスーパーコンピューターを作るイメージです。あなたがほしいものすべてをまかなうスーパーコンピューターサービス、アプリケーションといったところでしょうか。

Hori: アプリケーションも!

Ofer: また、Tau-Chainではコードの再利用も可能になることから、ブロックチェーン上にあるGitHubの大きい版を思っていただいてもいいですね。

Hori: GitHubの大きい版ですか。

スクリーンショット 2015-08-06 19.07.22

Ofer: 例えば、1,2,3というようなやりたいことがあるとしたら、Tau-Chainのネットワークはそれを実現するコードがどこにあるかがわかっていて、そのコードがすでにネットワーク上に存在していれば、いくらで購入できるのかという情報を提供してくれます。例えば、あなたが新しいプログラムを書き始めたとき、ネットワーク上の他者がすでにそのプログラムのある部分を考えているのであれば、それを使えるチャンスを提供するなど。

Hori: ネットワーク上に、誰が開発したコードで、どこにあり、いくらで提供できるのかという情報が自動的に届く… それで、Tau-Chainはブロックチェーン上のGithubということなんですね。

Ayal: そうです。まぁ、我々も完全に理解している訳ではありませんが笑

[laughter]

Ofer: Tau-Chainは複雑なアイディアで、私も詳細を把握していない中でお話することは恐縮ですが、いろんなことができそうな予感はしますよ。

Hori: しかし、こんな新しい取り組みがイスラエルで始まっていようとは、驚きです。

Ayal: 最近では、BitratedというサービスがRedditでも注目を集めていましたね。マルチシグをはじめて実装したNadavという技術者が作ったサービスで、それを大規模にスケールさせました。
https://www.bitrated.com/

Hori: おお、マルチシグ。

Ayal: 例えば、お買い物のシーンを想像してみてください。Ayalがバザールマーケットを提供していたとして、今のビットコインのやりとりでは、ユーザーであるHoriには何のコンシューマープロテクションが無い状態なので、AyalはHoriから簡単にお金を受け取れてしまいますよね。ただしHori側から見ると本当にきちんとしたプロダクトやサービスが提供されるかがわからないため、Oferがエスクロー機能を持つ第三者の仲裁役が必要になったりします。

Hori: Bitratedは、このアービトラージのプラットフォームを提供する感じですね?

Ayal: そうですね。仲裁者であるOferがOKと言わない限り、Ayalもお金を受けることが出来ない仕組みが、Bitratedが提供するマルチシグになります。

Hori: まさに、ビットコインのやりとりに対するエスクロー機能になりますね。

Ayal: そのとおり。分散型のエスクローです。

Hori: ただブロックチェーン上にあるやりとりで、誰が誰に送ったという情報はどのように認識されるのでしょうか?

Ayal: Bitrated上にいるすべてのユーザーは、VI APIという機能を利用し、関連メンバーそれぞれでコントラクトを締結しています。このコントラクトは3つの側面、Ayalが送り主、Horiが受け取り主、そしてOferが仲裁者と定義することができます。

Ayal: そして仲裁者であるOferは仲裁の条件を決めることができます。例えば、彼がこの取引の手数料を1%取ると言えばその通りになるし、全く要らないと言えば要らない、また5%を取ると言えば、そうなります。そしてAyalが提供したプロダクトやサービスに満足いかなかった場合は、HoriとOferの間で相談し、Ayalはお金をもらうことができず、1%をOferが手数料として引いて、Horiの手元にお金が戻るような仕組みとなります。

Hori: このサービスは既に稼働しているんですよね?

Ayal: はい、もちろん!ぜひBitratedのサイトに行ってみてください。

Hori: 後で詳細を確認しますね。

Ofer: 使うときは、ぜひOferのプロファイルを精査いただき、仲裁者に選定くださいね。笑

Hori:

Bitratedでも活動しているOferさん https://www.bitrated.com/oferrotem

Bitratedでも活動しているOferさん https://www.bitrated.com/oferrotem

Ayal: 少々付け加えることとして、スクリプト言語を使うことで、マルチシグやそのた新しいプロトコルを使うことなく、ビットコインに新しい機能を付け加えることができます。例えば何かの情報をブロックチェーンの上に登録しようとしたり、HashlockやTimelockといった機能ももちろん実装することもできますし、Cross-Chain swapという機能を使って、ビットコイン上にある種のコントラクトを構築することも可能です。

Hori: Cross-chain swapですか?Sidechainのようなものでしょうかね?

Ayal: まあ、Sidechainに近いものではあります。というよりも、Cross-chainはSidechainの上で利用するような仕組みです。

Ayal: 私とHoriの間で、ビットコインとドージコインを交換するようなトランザクションを作る場面を考えてみましょう。ただ、注意したいのはお互いに知らないもの同士だということ。この時、私たちは片方がドージコインを受け取った時にはじめてもう片方がビットコインを受け取れる、といったトランザクションを作ることができます。これはTrueかFalseのみで、成立しなければお金が移動したり失われたりすることはありません。Cross-chainは、これをビットコインのブロックチェーン、ドージコインのブロックチェーンと、複数のブロックチェーンにまたがって出来るようにした考え方です。なんとなく理解できましたか?

Hori: なんとか…、Cross−Chainを提供するようなスタートアップがあるのですか?

Ayal: いやいや、

Ofer: Hori自身でできますよ。

Ayal: このようなことは、ビットコインのスクリプト言語で実装できるんです。Horiでもこんなサービスを提供するWeb Serviceなんかは簡単にできちゃうと思いますよ笑

Hori: いやぁ…、おそらく弊社デベロッパーなら実現できると思いますが、私はついていくのがやっとです。

Ayal: ま、何はともあれ、我々としても、イスラエルの最新動向をいろいろな観点からお伝えできて大変うれしいですね。またイスラエルでは定期的にビットコインのハッカソンを実施してます。

Ofer: もう4回ほど実施しましたっけ?

Hori: どんなテーマにフォーカスしたハッカソンなんですか?何か新しいアイディアは生まれましたか?

Ayal: ハッカソンからですと、La’Zoozが最初ですかね。

Hori: お、La’Zoozですか!

Ofer: 確かその前の、2013年春のハッカソンが最初だったのでは?そうそう、その時はLa’Zoozではなく、Buy-The-Wayが優勝したんですよ。
http://www.buytheway.co.il/

Hori: Buy-The-Wayですか?

Ofer: そうです、Buy-The-Way。私は準優勝でした笑

Hori: おおー、Oferさんが準優勝!

Ofer: いやいや、2チームしか参加しなかったのでww 彼らが優勝で、我々が最下位笑

Ayal: そうでしたそうでした。ただ2回目のハッカソンでは、もうすでにレベルの違う物になっていて、優勝がLaZ’ooz。彼らはテキサス行きのチケットを得て、500K$ほどの賞金がかかったハッカソンに参加しました。彼らは、結局準優勝で、MasterCoin上の環境で、200K$ほどの賞金を手にしたはずですね。もう少し賞金があっても良かったと思いますが…
http://lazooz.org/

Ofer: ですね

Hori: ですよねw

Hori: それで今、La’Zoozはどのような状況でしょうか? Ride-sharingのプラットフォームだったと思いますが。イスラエルではすでにサービス提供されてますか?

Ayal: いえ、彼らのアイディアはもう少し複雑ですね。私としてはあまり複雑にしてほしくないのですが。今、2つの問題があると思います。一つはUberも抱えている規制の問題。2つめはBootstrapの問題ですね。つまりサービス提供をするにあたって、多くのユーザーが必要だということです。

Ayal: La’ZoozはP2PにおけるRide Sharingのサービスなので、例えば私が朝の通勤時にRide Sharingをお願いしようとするならば、受け側も多くのユーザーが登録していることが必要になります。つまりLa’Zoozはまだそこまでユーザーが集まっていない状態ということです。彼らは今、彼らのCoinを発行、それがアーリーアダプターにとって、ビットコインのように、何らかの利益をもたらすことを考えているのだと思います。もっとユーザーが集まり、早くクリティカルマスを超えてほしいものです。

Hori: そうですね、確かにクリティカルマス到達するまでユーザーを増やす必要がありますよね。そういえば、イスラエルにおけるビットコインやブロックチェーンの規制ってどんな感じでしょうか?

Ofer: そうですね、特にオフィシャルな規制はまだ無いと思いますよ。政府なども検討してはいると思いますが、我々も特に具体的なものは聞いてませんし。

Ayal: 中央銀行やマネーロンダリング。みんなビットコインは危険なものだという声は聞こえてきますが、むしろ危険というよりも、プロではないユーザーにとっては、少々疑わしいものでしかないのではないでしょうか。みなさんも、ビットコインは誰も保証してくれるモノではないので、もちろん各国による保証もありませんし、十分に気を付ける必要がありますね。

Ofer: Horiもビットコイン保険なんていうものには入ってないでしょうしね笑

Hori: 笑。そういえば、2日前にBitcoin Embassyにきたときに、小学生がATMでビットコインを購入してましたが、これってOkなんですか?

Ayal: もちろん!イスラエルでは、規制がないと言うことは法的にOKということとイコールですので。

[laughter]

Ayal: お、そろそろ時間ですね。次回の友達ですが、今日紹介したスタートアップであれば、基本的には誰でも紹介できますので、どなたにインタビューしたいかを後で教えてくださいね。調整してみますので。

Bitcoin Embassyの中で。左から、Ofer Rotemさん、Ayal Yona Segeyさん。

Bitcoin Embassyの中で。左から、Ofer Rotemさん、Ayal Yona Segeyさん。

Hori: そうですか! 今日は本当にありがとうございました!

Samurai Demo Day@Google Campusでピッチする ZEROBILLBANK LTD.  Co-founder and CEO, Junichi Horiguchi (堀口純一)

Samurai Demo [email protected] Campusでピッチする
ZEROBILLBANK LTD. Co-founder and CEO, Junichi Horiguchi (堀口純一)

(取材・文 堀口純一)

  • ビットコインニュースを毎日お届け!

  • BTCN公式アカウントをフォロー

    follow us in feedly
シェアする

この記事を書いた人

堀口純一from Co-founder and CEO of ZEROBILLBANK LTD.
Website : http://zerobillbank.com/
Blog : http://blog.zerobillbank.co/

見えない世界をデザインし、まだ気づいていない価値を再定義、世の中をHappyにするプラットフォームを立ち上げるべく、世界最高の頭脳とネットワークを持つユダヤ人が集まるイスラエルで起業。Internet of Moneyの最先端を追い続けます!