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推定50億円相当の資産がハッカーに盗まれた歴史的事件を受け、資産の不正移動をなかったことにするハードフォークを行なったイーサリアム・プロジェクトに早くも競合が現れた。その名も、イーサリアム・クラシックだ。

イーサリアムのハードフォークは日本時間7月20日10:27に敢行。ほぼすべてのマイナーが新クライアントに移行し、ハードフォークは完全に成功を収めたかのように思えた。本事件の大元となったプロジェクト「The DAO」を開発したSlock.itファウンダー兼CTOのクリストフ・イェンチ氏は、その30分後に「What an accomplishment!」(偉業だ!)と題したブログを公表。(参考リンク

事件から極めて短時間でコミュニティ全体を取りまとめ、解決のための道筋を数十名の開発者が協力し、コードを実装することで示したことを褒め称えると共に、ハッカーの「”コードが法”ならば私はそれに従ったまで」という言い分に反論し、「コミュニティが法である」とまで語っている。

しかし、状況は一変した。

イーサリアムの取引高で世界最大の規模を誇る暗号通貨専門取引所「Poloniex」がイーサリアム・クラシックを取り入れたことで、ハードフォーク以前のイーサが取引可能になったのだ。同取引所においては、現在イーサリアム(通貨コード:ETH)とイーサリアム・クラシック(通貨コード:ETC)のいずれも取引可能であり、それぞれが同取引所において最も人気のある取引ペアとなっている。

イーサリアム・クラシックは非中央集権型の思想を最重要視し、ブロックチェーンの不可逆性、ひいてはスマートコントラクトの非可逆性を追い求めロシア人の開発者Bit Novostiらを筆頭に急遽立ち上げられたプロジェクトだ。「ブロックチェーンは誰にでも開かれており、何らかの利害関係に影響を受けず中立であり、絶対に不変である。」ビットコインから生まれたそのような分散思想を純粋に受継いだ彼らは、自身らを「Decentralists」と呼び、7月12日に「A Crypto-Decentralist Manifesto」を発足している。(参考リンク

これを受けた反クラシック派マイナーのひとりであり、世界最大級のイーサリアムマイニングプールBW.comを運営するチャンドラー・グオ氏は「イーサリアムがPoWからPoSに移行するにはハードフォークが必須だ」と述べ、「98GH/sのハッシュレートでクラシックに対し51%攻撃を仕掛ける」と脅迫の姿勢も見せた。

しかしながら一方で、Poloniexがイーサリアム・クラシックを採用したことで、クラシックのハッシュレートが10倍に上昇しグオ氏の思惑はうまく機能しなくなった。fork.ethstats.netを参照すると、現在3800GH/s対310GH/sとおよそ13分の1にまで回復。また、coinmarketcapを参照すると、クラシックの時価総額はおよそ57億円、8位の座に浮上していることもわかる。Bitcoinmagazineのジャーナリストであるアーロン・ヴァン・ヴィルダム氏は「イーサリアム・クラシックを笑えたことは、誰もが昨日までのことだと感じていることだろう」とコメントし、イーサリアムが現在極めて危険な状況にあることを示唆した。

イーサリアムのハードフォークに対して「偉業だ」と喜ぶ人々が多数いる一方で、当初イーサリアムが目指したはずの非中央集権型コンピュータというビジョンが捨て去られたことに嘆く人々はいまだに多い。ゾルト・フェルソルディ氏、イーサリアムコアの開発者の一人は「ブロックチェーンの本質的価値」に焦点を当てたブログを執筆している。

フェルソルディ氏によれば、ブロックチェーンの本質的価値は「ヒトによる合意形成」ではなく「機械による合意形成」であり、それ故に、不変性や分散型の合意形成が成立すると主張する。

「我々は、イーサリアムに”ソーシャルコントラクト”(社会基盤的契約)が存在すると信じていたが、突然それは失われた。我々の理解では一部の人々がそれを破壊し、人々の理解では我々が破壊しているのだと思う。」

既に、イーサリアム・クラシックとイーサリアムの間には対立が起こっており、開発者としてはやりにくい状況が続くだろう。Poloniexを筆頭に、香港のエクスチェンジBitMEXと暗号通貨のインスタント交換サービスShapeshiftは既にクラシックの採用をアナウンス(後者は検討段階)。また、ビットコインで最大のハッシュレートを抱えるF2Poolもイーサリアム・クラシックのマイニングを始めることを発表した。

追記:香港のビットコイン取引所Bitfinexもクラシックの導入を開始するとの噂

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この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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