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金融犯罪執行ネットワーク(FinCEN)は、10月27日にビットコインの決済処理サービス・交換サービス事業をマネーサービス事業(MSB)として、米国の法律の下で管理可能とする指針を新たにリリースした[R001][R002]。この指針によると、提供するプラットフォーム上で売手と買手のマッチングを行う交換所形式の事業者や、ビットコインでの決済を受け入れドルや円に変換する決済処理事業者も資金移動業者と見做される可能性がある。

FinCENは過去、昨年3月18日にも仮想通貨に対するスタンスを明らかにするため、仮想通貨がお金の一種であり、本物の通貨のように扱われるべきであるという指針を示している。また、ビットコイン決済処理サービスや取引所を運営する企業は資金移動業者と見做し、原則的にはFinCENの規制の下で免除理由を明らかにし、免除が適用されない限りは資金移動業として扱うことを明示していた。

これを受け、ビットコインの決済処理サービスを提供するBitPayは指針に対し、FinCENの資金移動業の規定として6つの免除要項より、2つの項目を挙げ免除されることとなった経緯がある。

BitPayが挙げた免除要項:
1. 債権者又は販売者の合意による、清算・支払システムを介して商品やサービス、及び請求書の決済または購入を容易にするための処理業務
2. 資金の送金と受理を行う者が資金移動サービスではなく、サービスの提供、又は商品の販売にのみ必要とされる資金の転送を行うこと

アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)は、2008年に支払処理サービス業や決済執行業の分類を行うためのルールを作成しており、明確にこれらを資金移動業者ではないと述べている。

しかしながら、昨年末に2つの企業よりFinCENへと送られた文書への公式回答としてリリースされたFinCENの新たな指針では、これらの理由のみでは免除が適用出来ないことが明らかとなった。FinCENによると、免除に必要な基本的な条件が3つあると述べており、更に、特定ビジネスにおける支払処理サービスへの免除基準として、「それらの会社は、銀行秘密法(BSA)のみに準拠した金融機関が提供する清算・決済システムを介して動作しなければならない」と述べた(有名な例ではクレジットカード決済処理事業がある)。恐らく多くのビットコイン決済処理サービスはこれをクリアしないため、資金移動業としての規制を受ける可能性がある。

免除に必要な3つの条件:
1. 資金移動コンポーネントは、資金の移動機能そのものとは異なるサービス又は商品提供の一部でなければならない
2. 免除は、資金移動とは異なるサービス又は商品提供に従事する者のみが主張できる
3. 資金移動コンポーネントは、サービス又は商品提供と一体化していなければならない

その結果、指針ではビットコイン決済処理サービスや交換サービスは資金移動業者としてFinCENに登録し、FinCENの規定する様々なリスク基準の下、「通貨取引レポートの提出」「疑わしい活動の報告」「証券売却に関する記録・管理」を徹底し、「資金移転ルール」を遵守しなければならないと結論づけている。

これにより、米国におけるビットコイン事業者へは、ニューヨーク金融サービス局(NYDFS)が7月16日に公開したビットコイン事業者のライセンス制度「BitLicense」に続き、FinCENの公式見解として、二つ目の明確な規制実施基準が設けられたことになる。BitLicenseは10月21日にコメント期間が終了したばかりであり規制内容は確定していないが、FinCENの指針では米国内の2つの企業に対し決済処理サービスとして免除を認めないことを示し、前例が出来る形となった。

この「前例」が各国政府へと波及することは間違いなく、対応を注意深く見守る必要がある。日本においては、今年3月に自民党IT戦略特命委員会による「ビットコインのガイドライン」が提示され、また、10月23日に日本価値記録事業者協会(Japan Authority of Digital Asset : JADA)が発足し、自主規制のガイドラインを敷いたことを発表した。このことから日本政府は即座に方向転換を行うとは思わないが、米国でのビットコイン規制を受けて、今後どのように対応するのかに注目したいところである。

なお、この声明に対し大手仮想通貨ニュースサイトCoinDeskではFinCENに取材し、以下のようなコメントを得ている。

しかしFinCENはCoinDeskに対し、これは個別事業者に対するもので、幅広く適用することは想定していないと述べた。FinCENは事業者側に、事業者が資金移動業者として登録すべきか直接照会するよう言っており、その中で、個別事業者側から説明を受けた内容を元に判断を出したもので、これは業界全体に対するものではないとしている。

このことから、今回の声明が個別事業者の事例としての話を超え、業界全体に影響を与えるのか否か、今後大きな議論となりそうだ。

 


参考文献:
FIN-2014-R001: Request for Administrative Ruling on the Application of FinCEN’s Regulations to a Virtual Currency Trading Platform
FIN-2014-R002: Request for Administrative Ruling on the Application of FinCEN’s Regulations to a Virtual Currency Payment System
FIN-2013-G001: Application of FinCEN’s Regulations to Persons Administering, Exchanging, or Using Virtual Currencies

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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