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ビットコインを学ぼうとすれば必ず目にする「Decentralized」そして「Decentralization」。普通の生活をしていればまず目にすることがない「分散化」を意味するこれらの単語は、ビットコインの誕生により、多くの議論を呼び起こしながらも普遍的な言葉として浸透しつつある。

数学者であり元イーサリアムCEOの起業家チャールズ・ホスキンソンは、TED Talkの場でビットコインとブロックチェイン技術によって成し得る「分散化する未来」について語った。13分のスピーチの中で、ホスキンソン氏は全く異なる文化、政治的環境に住む二人のペルソナを定義し、二者の境遇を比較しながら、分散化によって引き起こされる様々なメリットを提示した。

”Banked” と “Unbanked”

一般的に、銀行口座と契約書により管理された社会は、現金と口約束だけで成り立っている社会よりも生活レベルが高い。

ホスキンソン氏はまず、二人の仮想人格を定義した。

“「ジェレミー」は、米国で生まれた30歳の男性です。彼は戸籍を持ち、パスポートと運転免許を有しています。彼は大学を卒業し、よく働いています。彼は銀行口座を持っており、家をローンで購入し、保険にも加入しています。”

“「アーメド・ハン」は、アフガニスタンで生まれた44歳か45歳の男性です。彼は戸籍など正式な文書を持っていません。彼は商売を行っているようですが、職歴はよくわかりません。住む場所はありますが、誰の所有する家かはわかりません。彼は銀行口座を持たず、現金だけで暮らしています。貸付などは家族や友人の信用で行われています。もちろん、保険には未加入です。”

ジェレミーは我々の認識においてはごく一般的な人々のイメージだ。一方で、アーメド・ハンは我々の一般常識に照らし合わせると中々想像出来ないが、確かに存在する。

“アーメドのような境遇におかれた人間は30億人以上います。これが、現実です。”

彼らのうち何人かは国を離れ働き、故郷へと送金を行う。先進国の人々は銀行口座を持っているため、比較的安く送金を行うことが出来る一方で、銀行口座を持たない人々は、受け取るために15%の手数料を支払わなければならない。

また、彼らの土地や建物は正式な書類が存在せず、管理者もいない。ペルーの経済学者エルナンド・デ・ソト・ポラー氏によると、彼らの資産を文書化すると、その価値は10兆ドルにも達するという。

 

暗号通貨ですべてを置換する

ホスキンソン氏は、上述の問題を「暗号通貨による三頭制への変更」で解決出来ると語る。暗号通貨の三頭制とは即ち、「ブロックチェイン」「分散的な取引システム」「スマートコントラクト」だ。

彼は語る:

“もしあなたがあなた自身の所有物を記録する場合、そのデータベースは絶対的な安全性を担保するために、分散的であり、耐タンパ性を有している必要がある。”

ブロックチェインはハッシュ関数と公開鍵暗号を用いた単純だが巧妙なテクノロジーであり、タイムスタンプと共にすべての取引を記録可能な、誰でも閲覧出来る公共のデータベースだ。ブロックチェインへの記録には、人間には難しい計算を必要とし、不特定多数のマイナーによって維持されているため、過去の記録を書き換えることはほぼ不可能だ。

故に、ブロックチェインはまさにその目的のために作られたかのように、最適である。

分散的な取引システム、つまり暗号通貨 -ビットコイン- はご存知のとおり、極めて安い手数料で、個人間で直接、24時間送受信できる。もちろん、銀行口座がなくとも使うことが出来る。

スマートコントラクトは、これまで行われてきた紙面による契約を、デジタルで自動的に執行可能なアルゴリズムによって動作するものへと置換する。ホスキンソン氏が以前属していたイーサリアムは、スマートコントラクトを推進し開発を行う第一人者であり、現在最も期待されている分散ネットワークだ。「これは、魔法が実際に起こる領域です」と、ホスキンソン氏は語った。

 

分散化された未来

ブロックチェインは、アーメド・ハンのような境遇にある人々へ、我々が日常的に利用している「銀行」と「契約」の新たなスタイルを提案している。分散化された未来は、世界中の誰もが自分の口座を持ち、自分の所有物であることを証明出来るようになるだろう。

ホスキンソン氏は、キヴァやレンディングクラブ、グラミン銀行を例に挙げ、発展途上国の子どもたちへどのように支援出来るかという気付きを与えた。スマートコントラクトやビットコインを用いれば、もはや子どもたちはいかなる仲介者を介さずに、ありとあらゆる融資を受けられる。これを革新と呼ばずしてなんと呼べばいいのだろうか。世界中の誰からでも、個人的に支援を受けられるのだ。

また、ホスキンソン氏はひとつの問題も提示した。インターネット人口は全人口の40%へと普及しているが、アーメド・ハンのようなモデルの人々へはまだまだ到達していない。インターネットへ接続できる環境がなければ、この素晴らしいネットワークは利用することが出来ない。しかしながら、ホスキンソン氏はこの問題について、新たな解決策を提示した。

“アーメド・ハンへインターネットを届けるにはどうすればいいでしょうか?さて、なるほど、つまりこうすればいいのです。私たちは分散型融資ネットワーク、分散型保険ネットワークを構築出来ました。きっと、同じように分散型のISPだって構築出来るはずです。”

この構想は、ブロックチェインという素晴らしいツールによって現実的なものとなりつつある。しかしながら、これを実現するには非常に長い時間がかかるだろう。通貨の概念を変えかねないビットコインの普及は、極めて難しい問題だ。政府の規制によっては、暗号通貨を全面的に禁止する国も現れるものと思われる。家すらない難民へとインターネットを届けるのはより困難だ。

これをどう解決し、世界をどう良くしていくか。このためには政府との協力体制も必須だろう。権力体制といがみ合っている暇はない。ビットコインは、根本の仕組みに変革をもたらす使命を抱えているのだ。

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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