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11月16日(月)、金融庁は来年度の施行が期待されているビットコインの交換所規制に向けた金融審議会ワーキング・グループを開催した。

今年7月に第一回目が開催されてから第四回の開催となった「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」だが、今回の会議においては、ビットコイン産業全体の動向と、ビットコイン事業の実体把握のため、ビットコインの事業者団体「JADA」より代表理事を務める株式会社bitFlyer代表取締役社長・加納裕三氏、およびビットバンク株式会社代表取締役社長・廣末紀之氏の二名が参考人として招かれた。

G7エルマウ・サミットにおける首脳宣言を受け、6月にFATF(金融活動作業部会)が反マネーロンダリングや反テロ金融に対する勧告の「仮想通貨に関するガイダンス」を打ち出したことで、日本国内においても業規制の検討へと動き出していることが知られている。主にTorネットワーク上でビットコインを利用することで、犯罪目的に利用しようとする人々も少なからず存在しており、ビットコインの交換所に法規制を適用することは健全な業界育成、ひいてはユーザー保護のためにも避けられない。

ビットコインの影響力はまだ限定的

bitFlyer加納氏によれば、国内ビットコイン事業者は現状、昨年6月に自民党IT戦略特命委員会より発表されたガイドラインに従い自主規制団体を設立し事業運営を行っているとのことだが、法規制の不在により「銀行口座の開設や資金調達が極めて難しい」と話す。しかし法規制を歓迎する一方で「法規制が重いものになってしまうと数百万円の資本金で始める事業者は事業継続できない。」とし、事業規模に合わせた規制が必要であると述べた。

また、ビットバンク廣末氏は、「現時点において、ビットコインの事業規模は僅少であり、社会的重要度が低く、過度な規制は技術革新の芽を摘みかねない」と述べ、加納氏の意見に同調した。廣末氏によれば、国内のビットコインユーザーは3万人程度であり、また世界的に見てもビットコインの取引量は日間100億円相当程度。「国内では2億円程度であり、主要な上場株式の取引量と比較しても規模は極めて小さい」と話した。

そうした事業実体の背景を語った上で、加納氏、廣末氏の両名はビットコインの業規制に係る素案を提出。主にFATF勧告のスコープである犯罪収益移転防止法に焦点を当てたものとなっている。JADA加盟、非加盟の違いはあれど、ともに「登録制」「資産の分別管理」「資本金要件」「疑わしき取引の届出」など、些少な違いはあれど、業規制に求める登録要件は同様のようだ。

消費税は非課税に

また、bitFlyer加納氏、ビットバンク廣末氏の両名はビットコインの売買に係る「消費税」の問題に強く言及した。現行法、および自民党のガイドラインにおいてはビットコインは支払手段として扱われず、物として扱われる可能性が高く、消費税が課税されてしまう可能性あり「世界との競争力、通貨としての利便性が損なわれてしまう」と加納氏。また廣末氏は、「課税対象になると世界と競争できず事業継続が実質的に不可能になる。将来として国益に繋がる可能性のある事業を潰してはならない」と述べた。

既にシンガポールやオーストラリアなど、一部の国を除きビットコインに係る消費税(売上税/付加価値税)は適用除外対象として判決が下されている。10月にはEU司法裁がビットコインを正式な「支払手段」として信任を出したことで、EU加盟国全体でVAT免除対象としたことがニュースとなった。こうした流れから、日本国内においても非課税対象とすることが期待されているが、しかしながら一方で、日本の既存法の上でビットコインをどのように位置づけるか、という点ではさらなる議論を呼ぶことになるものと思われる。

望まれる法規制、技術革新のために

ヒアリングにおいて加納氏、廣末氏が一貫して主張したのは、ビットコイン事業者が「何をして良くて、何をしてはいけないのか」を明確化するために一刻も早く法規制を施行すべき、ということだ。既に問題が顕在化しているように、ビットコイン事業者は自主規制だけでは銀行の協力を得られにくい立場にある。

「通常、規制に関しては事業者の活動を圧迫しないか慎重になるが、本件(ビットコイン)に関してはスコープが明確であり矛盾していない。」金融審議会の安田委員は語る。「むしろ、ユーザー視点で見ても信頼を得られやすく、事業者もやりやすくなるのではないか。」

また、沖田委員は技術革新の芽を摘まないため、技術に合わせた新たな規制手段を講じる必要があるとコメントした。

「現在の技術は動きが早く、細かく作りこんでしまうと実体に則さないものになってしまう可能性がある。フレキシブルに対応できるように規制を作りこみ、細かい事例に関してはその都度対策すべきではないだろうか。特にブロックチェーンについては今後、金融界全体の効率化に役立つ可能性があるため、技術革新の芽を摘んではならない。」

ビットコインを司法的にどう位置づけるか、匿名性の高い支払手段から不公平感のない徴税手段を講じることができるかという点ではまだまだ大きな課題がある。しかしながら金融審議会によるワーキング・グループでは、ビットコイン事業者やビットコインの技術については「建設的である」と概ね好意的な印象を抱いているようだ。

最近では、みずほFG、MUFGを含む世界的金融機関25行によるR3ワーキング・グループが組成されるなど、世界を巻き込んでビットコインの基盤技術「ブロックチェーン」の活用への動きが出てきている。こうした背景から、日本国内においても国策としてのビットコイン技術の研究が進む可能性があるだろう。そうともなれば、ビットコインに関しても「技術」を規制するわけにはいかず、最小限の規制を施した上で見守るとスタンスになる可能性は高いのではないだろうか。


金融庁 – 金融審議会「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」(第4回)

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この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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