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前回までで,太郎から花子への10BTCの送金取引が,ビットコインの維持管理ネットワークでチェックされ,全取引履歴データベースに書き込まれるまでをみてきました。

今回は,その後のビットコインの維持管理ネットワークによる取引の「承認」について解説をしていきます。

 

送金取引ステータスの「未承認」から「承認」への変更

くじ引きの当選者が出て,ビットコインの維持管理ネットワークにおいて,取引情報がビットコインの全取引履歴データベース(ブロックチェーン)に書き込まれると,その情報は,元のビットコインの送金取引を行った太郎と花子へも通知されます。

太郎から花子への送金は,P2Pで即時に完了しますが,取引が,ビットコインの維持管理ネットワークで確認・記録されるまでは「未承認」という状態でした。

これが「承認」へと変わることになります。

承認」とは送金取引が維持管理ネットワークに認められたということであり,花子は受け取ったビットコインを第三者に対して「自分のもの」として利用できることになります。

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承認回数とは何か?

未承認」から「承認」に変わる経過として,10分程経過するとともに承認1回→承認2回→承認3回と,承認回数が増えていきます。

ここではこの意味を解説します。

ビットコインの全取引履歴データベース(ブロックチェーン)は,くじ引きの結果毎に取引情報が次々と追加されていきます。そしてこの追加更新が行われる毎に,承認回数が増えていくことになります。

例えば,「太郎から花子への10BTCの送金」が,#2010のブロックに入って記録されている場合,その後ろにブロックが追加される度に,「太郎から花子への10BTCの送金」の承認回数が増えていくことになります。

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前回,全取引履歴データベース(ブロックチェーン)は,前の取引情報が,次の取引情報に含まれるというチェーン状に連鎖した形で保存されていくため,改ざんに対し非常に強固ということを説明しました。

そのため,「太郎から花子への10BTCの送金」についても,後続ブロックが次々と追加される毎に,改ざんに対しより強固になっていく性質があります。

この強固さを,「承認回数」で示していることになります。

多額の送金で,取引の確実性をしっかりと確保したい場合は,6回程度承認が行われることを見てから,送金完了と認識することがよいという意見もあります。

以上で,太郎から花子に10BTC送金された取引が,維持管理ネットワークでチェック・記録され,取引ステータスが「承認」に変わるまでの一連の内容について解説を行ってきました。

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ビットコインを使うだけであれば,特に仕組みを意識する必要はありませんが,裏側では世界中で維持管理作業への参加者(マイナー)達による,報酬を巡る計算競争と,データベースの一斉更新という大掛かりな仕事が行われているのです。

ここまでの説明では,できるだけ難しい専門用語を割け,分かりやすさを優先させるため意訳した箇所はありますが,ビットコインの仕組みのエッセンスを一般の人でも理解できるように解説してきました。

ポイントを繰り返すと以下のようになります。

  1. ビットコインはP2P形式で送金者と受信者間の直接送金が行われる。
  2. ビットコインの維持管理作業は別途自由参加のマイナー達によって行われている。
  3. ビットコインの維持管理作業の核心は,各マイナー達が保有している全取引履歴データベース(ブロックチェーン)の維持と更新作業となる。そしてそこで不正や改ざんがチェックされる。
  4. 全取引履歴データベース(ブロックチェーン)の更新はくじ引きの都度行われ,その更新権限は,くじ引きの勝者のみに与えられる。くじ引きの勝者にはビットコインの新規発行として報酬が付与される。
  5. 「当たり」の報酬は勝者にのみ与えられるため,自然に競争原理がはたらき,同じ人が当たり続けて不正を行えないような設計となっている。
  6. くじ引き及び取引履歴データベースには前回のくじの結果の情報も連鎖して含まれているため,改ざんが非常に難しい。
  7. 更新情報はくじ引きの勝者から配信され,各参加者は自分の全取引履歴データベースを更新し,データベースの内容は一意に維持され続ける。
  8. 取引履歴データベースに送金取引が書き込まれると,ビットコインの送金者と受信者には「承認」情報が通知され,送金取引が確定する。

ビットコインには,これだけの仕組みであるからこそ,単なる電子マネー等とは異なる,大きなイノベーションとして世界中で受け止められているのです。

そして,ビットコインの技術の核心は,全取引履歴データベースが分散して存在しており,それが非常に強固な形で一意に更新され続けていくということにあります。分散して存在するデータベースの中身が不整合を起こさないように,更新の都度くじ引きという形で更新権限者を決め,さらに前回のくじの結果を次のくじに入れ込むことで,データをチェーン状に連鎖させ,改ざんに非常に強い特性を持たせています。

そしてくじの結果と,ビットコインの送金取引情報を合わせて「ブロック」として取引履歴データベースに追加していきます。

全取引履歴データベースはこのような特徴を持つことから「ブロックチェーン」と呼ばれることになります。

2015年1月の段階で,取引履歴データベースに追加されたブロック数は33万8千を超えており,今後も次々と追加されていきます。

ブロックチェーンは,(1)特定の管理者がいない(2)改ざんが難しい非常に強固な仕組み(3)内容について第三者に公開されている,という特性を持った,インターネット上に存在するデータベースになります。

このためビットコイン以外でもその仕組みの利用が注目されており,例えば送金情報以外にも,契約情報などを埋め込めるスペースを用意し,インターネット上での著作権管理や所有権移転システム等で使おうという動きもあります。このような動きは「ビットコイン2.0」と呼ばれています。

この記事を書いた人

後藤 あつし
大手金融機関における市場リスク管理、信用リスク管理、流動性リスク管理、バーゼル規制対応等の長年の経験を有する。ビットコインおよびその技術であるブロックチェーンについては初期の頃から金融イノベーションに繋がる可能性を感じ調査・研究を行うとともに、主に金融の側面から関連事業者・団体への助言、各所記事や資料等の作成サポート、BTCNへの寄稿なども行なっている。

連絡先 gotoa123tアットマークyahoo.co.jp