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02-2

 BTCNの新連載「IoM ~お金のインターネット~ の可能性を探る」が満を持してスタート!インターネットの爆発的な普及により、現金に変わる決済手段としてデジタルの決済が主流になりつつあります。本企画では「お金のインターネット」という新たなパラダイムの本質を探るとともに、お金がインターネット化することで世の中がどのように変化していくかについて、編集長ザキヤマが業界の第一人者の方々にお会いし、インタビューを行っていきます。
 第一弾では、経済学者であり『仮想通貨革命』著者の野口悠紀雄氏の研究室にて行ったインタビューの様子をお伝えします。
 前編はこちら

マイクロペイメントはオンライン決済を革新する

私自身が非常に興味があるのはマイクロペイメントです。伝統的なコンテンツの販売システムというのは、例えば本のようなものだと出版して印税をもらうとか、雑誌であれば寄稿して原稿料をもらうとか、そういうことをやっているわけです。自分のホームページを持っている人は今でもコンテンツを売ることは出来ますが、従来のペイメントシステムを使っているだけなので非常に高いコストが掛かってしまいます。要するに、マイクロペイメントが出来ないのです。

ですから、そういった意味でビットコインに非常に関心があるわけです。50円や100円といった単位の決済が出来るようになったら、どんなにオンラインペイメントの状況が変わるのかと思うわけです。今では電子書籍などもありますから、デジタルのコンテンツも非常に売りやすくなっていますし、そういう人に向けてビットコインの事業者がペイメントサービスを提供し、非常に安いコストで利用出来るようになれば、大きなイノベーションだと思います。

国際送金に潜在する大きな可能性

ビットコインの利用可能性として、もうひとつ重要なのは国際送金です。従来の送金手段で行う国際送金は、非常にコストが高い。特に日本から韓国や中国へと国際送金をするコストは、世界で一番高い。ですから、アジア圏への国際送金のニーズは、私が重要視している要素です。

例えば、ミャンマーで何かを製造している工場があるとして、彼らが輸出をしたいと考えているとします。輸出自体はしようと思えばできます。ただ、彼らは銀行口座を持っていないので、輸出代金を受け取れない。今、ケニアではM-Pesaのようなものが出てきていて、このような環境下ですから広がってきています。ただ、M-Pesaは国内の送金だけなので本来はビットコインであろうと思うわけです。したがって、このような国にペイメントサービスを提供し、ミャンマーの業者が輸出代金を受け取れるようにする。そうしますと、今まで潜在的にしか存在し得なかった輸出業が顕在化するということがあると思うのです。このことは、恐らくボリュームとしてはとても重要な要素だと思います。

もちろん、出稼ぎ労働者であるとか、個人の送金も非常に重要です。ひとりひとりの労働者が収入を本国に送るのは、とても大事なことですから。ただ、やはり額で見るとそれほど大きなものにはなりません。また、ビットコインといえば普通はネットショップで買うということを考えますよね。これは確かに便利ですが、緊急性がありません。法人の決済には緊急性があります。

法貨と税、そしてビットコイン

ビットコインというものが出てきたことで、ハイエクの言うような「国に依存しない通貨」というものが実現しました。今まさに、それが機能している。今はまだ殆どの人々がその利便性に気付いていないんですが、これは本当に凄いことです。そうなると法貨というものがなんなんだという話になるわけです。それで、法貨とは一体何かというと、ごく簡単に言えば「それで租税を払ってもいいですよ」ということです。ビットコインでは払えません。事実上は預金で振替していますが、日銀券でないと受け取りませんと、預金振込を拒否出来ます。したがって、これはビットコインに限った話ではありません。

また、ビットコインで納税できようになるか、法貨にすることはありえますかということですが、これは絶対にありえません。国は絶対に認めません。最近ではアメリカのニューヨークやユタで、ビットコインで罰金とか公共料金といったものが支払えるようになるといった動きもありますが、国が法貨の範囲を広げる、つまり租税をビットコインで支払うことを認めるかというと、考えられないですね。通貨の発行は国の特権ですから、それを放棄するということはありえません。

ただ、現在の国がどのようなものを貨幣として認めるかという問題は、かなりプラクティカルに議論できるのではないでしょうか。国が法貨の発行権を手放さないだろうと思われる理由は、それによって利益を得ているからです。一番簡単な利益は、通貨の改悪です。通貨の価値を落としていくことによって利益を得ていくという国の特権は、手放さないであろうと思います。

ハイエクの言っていることはつまりこういうことで、これが問題だから、国の特権を奪ってしまおうと、そういう議論なんです。日本でも今円安が起こっていて、いつか歯止めが効かなくなってしまうことが起こってしまうかもしれない。それは大いにありえることです。皆それが恐ろしいから、ドルに替えているんです。ビットコインが使われるようになれば、国がそういうことをやりだしたらみんなビットコインに逃げるでしょう。それは現実に起こったことで、中国もそう、キプロスもそうで、現実に起こったことで、これからも起こりうることです。

そういうものに対する、いわばカウンターベイリングパワーになる、ということを私は期待しているわけです。そういう哲学的な問題もあるんですけれども、最初に申しましたように、色々な周辺サービスであるとか、普通の人が使えるような仕組みを作って頂いて、そしてそれが実際にワーカブルであり、便利なものである。そういうようなことを、世の中に知らしめしていただきたいと思います。

(取材・文 山崎大輔)

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この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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