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2015年はクラウドセールの年になりそうです。

クラウドセール(Crowdsale)とは、開発者が独自に発行したトークン(コイン)をビットコイン払いで売りに出し、開発費を捻出する、暗号通貨を使った新しいタイプのクラウドファンディングです。

クラウドセール参加者は、ビットコインを使い世界中から少額でも参加できるだけでなく、トークンを購入することでプロジェクトをサポートすると同時に、プロダクトへの事前アクセスや特別な権利を得ることができます。基本的にトークンはプラットフォームの燃料としての役割を果たしたり、プロダクトの一部だと説明されます。

以前GetGemsとKoinifyの記事を書きましたが、KoinifyではGetGems以降すでに2つプロジェクトが追加されています。また、Koinify以外でも、自分が知っているだけでも今年に入ってすでに3つ以上クラウドセールを始めたり、クラウドセールを宣言したプロジェクトが出てきています。

ビットコイン2.0系のプロジェクトが盛り上がれば、自然とクラウドセールの数も増えていきます。私個人としても、暗号通貨を使ったクラウドファンディングには非常に期待していますし、今後のファンディングのスタンダードになる可能性も高いと思っています。

しかし、売りに出す暗号トークンの市場価格が変動することなどから、トークンは有価証券(Security)とみなされる可能性があり、クラウドセールの合法性にはまだ明確な答えが出ていません。

 

法的な懸念

クラウドセールで売りに出されるトークンは価格変動が前提としてあり、それゆえに価格向上による将来的な収益を目当てにクラウドセールに参加する人も多いという現状があります。解釈次第では、これは未公開の株を配っている状態と同じとみなされ、法的に罰せられる可能性も少なからずあるのです。

Charlie_Shrem_Bitcoin_Arrestそうでなくとも、アメリカで無免許で取引所を運営していた人たち(Charlie Shrem:右画像)が有罪判決を受けたり、罰金を受けたりするケースが相次ぎ、ビットコイン関連事業の法的な懸念はコミュニティー内でも高まっていると言えます。しかし、暗号通貨関連事業一般に通じることですが法整備は間に合っていなく、クラウドセールの合法性には結論が出ていません。

ただし、一定のガイドラインは必要であるということで、暗号通貨を使ったクラウドファンディングプラットフォームのSwarmが中心となり、1月に法律の専門家を招集し、クラウドセールの合法性について議論がされました。

結論から言うと、「トークン発行時のトークンの有用性」、「トレード性」、「持続性」、「利益の期待」の4つの要素が重要な判断基準になりそうです。

 

トークン発行時のトークンの有用性

Swarmチームのロゴ


クラウドセール時にトークンに特別な使用用途、有用性がないと、有価証券とみなされる可能性が高まります。

逆に言えば、クラウドセール前にトークンに何かしらの有用性を作り出しておくことで、法律的なリスクを軽減できると考えられます。

(具体例)
Ethereum, GetGems, Storjは全てこの基準を満たしてはいません。現時点でGetGemsのトークンは送受信は可能ですが、それ以外の使い道はありません。(送受信を使用用途と言わない限り)
Ethereumに至ってはまだ実際のトークンの発行を行っていないですし、完全に「将来のトークン発行と分配の約束」を売りに出したわけです。今までクラウドセールを行ったプロジェクトでこの条件を満たしているプロジェクトはまだないと思われます。

 

トレード性

トークンを他のユーザーとトレード、売買できるという性質は有価証券に近いと考えられます。トレードが可能なことで、トレードによる利益追及のためにトークンを購入する人たちが出てくるためです。

また、私が個人的に法律の専門家の意見を聞いたところ、特にサービス運営者が取引所であったり、トレードの場を提供すると有価証券とみなされるリスクが高まる可能性があるとのことです。

誰でも自由にトレード可能という性質は暗号通貨の大きな強みでもあるわけですが、トークン販売の法的なリスクになりえるということですね。

(具体例)
GetGemsで使われるGemsトークンは、現状アプリ内で他のCounterpartyトークンとの交換性はありません。その点でGemsはトレード性の視点でみるとリスクは低いかもしれません。
一方、EthereumがクラウドセールをしたEtherは、Ethereumプラットフォーム上で作られる独自トークンのトレード媒体になると思われるので、よりトレード性が高いと判断されるかもしれません。

 

持続性

持続性の基準は、単純に言えばトークン供給量が減少するかどうかです。

もしサービスの使用によりトークンが消費(Burn)されて供給量が減っていく場合、トークンは有価証券というよりクーポンの類にみなされ、既存のCrowfundingの規制の対象に分類される可能性が高いとのことです。

(具体例)
CounterpartyのネイティブトークンであるXCPは、新しいトークン作成時などに消費されます。その点では持続性はないと考えられます。一方、Gemsのトークンは消費され供給量が減ることはないので、有価証券とみなされる可能性がXCPと比較すると高いかもしれません。

 

利益の期待

トークン価値の上昇による含み益などの将来的な利益を念頭に販売されるトークンは、有価証券とみなされる可能性が高いと考えられます。逆に言えば、クラウドセールで販売されるトークンは利益を目的としたものではなく、サービスやプロダクトの一部として販売される必要があるということです。

(具体例)
Ethereumで使われるトークンEtherはプログラムを走らせるための燃料、つまりプロダクトの一部として売りに出されました。また、Storjも同様の見解を出しています。

 

正解はあるのか?

上記具体例で見てもわかる通り、今までクラウドセールを実施したプロジェクトの中で、上記全ての条件をクリアし有価証券とみなされる可能性がゼロと断言できるものはありません。(仮に全ての条件をクリアしてもリスクがゼロになるわけはありませんが)

その中で、Factomは上記の条件を考慮した新しいトークンモデルを提案しているので、簡潔に紹介します。

トークン発行時のトークンの有用性

→Factomのクラウドセールは3月にスタートされる予定になっており、事前にFactomトークン「Factoid」を使用できるα版がリリースされるようです。その点ではトークン発行時にトークンの有用性はあると考えられます。

トレード性

→Factoid自体は、Mastercoinプロトコル上で発行された暗号通貨であるため、トレード性があります。ただし、Factomのサービスを使用するのに、Factoidは直接ではなく間接的に使用されます。Factoidをシステムに送り、トレード不可能なEntry Creditというものを生成することにより、Factoidのトレード性を落としつつサービスの使用を可能にします。

持続性

→Factoid自体の総供給量が減ることはないですが、サービスを使用するためにはEntry Creditが必要であり、Entry Credit作成に使われたFactoidはプロトコル上で再分配されます。

利益の期待

→Ethereumなど同様、Factoidはシステム使用の燃料であるとFactomチームは明記しています。また、Entry Creditは通常のクレジットカードなどでも購入することが可能なようですが、Entry CreditにはFactoidの価格変動の影響はありません。つまり、Factomのサービスを使用する通常ユーザーはEntry Creditの価格変動による利益の期待はなく、このような2段階方式にすることでSecurityとみなされるリスクを減らしていると言えます。

 

まとめ

「トークン発行時のトークンの有用性」「トレード性」「持続性」「利益の期待」がクラウドセールの合法性を判断する上での重要な基準になりそうです。ただし、あくまでこれはアメリカの現行法に照らし合わせたガイドラインであり、将来的に暗号通貨を使ったクラウドファンディングが法的にどのように判断されるかはまだ誰もわかっていません。

ただし、これからクラウドセールを実施しようとする人はもちろんですが、クラウドセールに参加をするサポーターとしても上記のガイドラインを意識して損はないと思います。

今後もクラウドセールをするプロジェクトは間違いなく増えてきますが、購入するトークンは投資としてではなく、サービスへの先行アクセス権や、プロダクトへの特別な権利を購入しているという意識でとらえるのが正解です。

※Disclaimer
国内の正式な法解釈などに関しては弁護士などの法律のプロフェッショナルに相談してください。


参照リンク:
TokenはいつSecurityと捉えられるのか- Coindesk(詳細レポートは記事内にリンクあり)
http://www.coindesk.com/token-security-research-analyzes-blockchain-us-law/

Factom公式ページ
http://factom.org/