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ブロックチェーン関連技術にまつわるビジネスを振興し、政策提言を行うことを目的として今年4月に設立された日本ブロックチェーン協会(JBA)が、日本国内でも急速に浸透しつつあるブロックチェーン技術の定義を行なった。

ビットコインの台頭により誕生した概念技術「ブロックチェーン」は、その発明者と目されるサトシ・ナカモトが電子署名やマークル木、プルーフオブワークの原型であるHashcashなどを組み合わせた技術。現在では一般的に呼ばれているブロックチェーンという用語も、当初は存在しておらず、コンポーネント技術としての有用性が評価されたことで誕生している。

そうした経緯から、ブロックチェーンはある種のマーケティング用語と化し、スマートコントラクト単体を切り出してブロックチェーンと呼ぶような混乱も少なくない。これを是正し、ブロックチェーンに関わる産業や人々が円滑にコミュニケーションを行えるようにと定義されたのが、同協会が今回公開した「ブロックチェーンの定義」と言えるだろう。

JBAは、ブロックチェーン技術を指すものとして「1)狭義の定義」と「2)広義の定義」を公開した。

1)「ビザンチン障害を含む不特定多数のノードを用い、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束するプロトコル、またはその実装をブロックチェーンと呼ぶ。」

2)「電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術を広義のブロックチェーンと呼ぶ。」

ビザンチン障害とは、ビザンチン将軍問題によって引き起こされる故障や障害を指す。ビザンチン将軍問題は、インターネットのように信用を前提としない相互に通信するネットワークにおいて、全体として一貫したコンセンサスを形成できるかを説いたコンピュータサイエンスの古典問題だ。各参加者がエラー等によってその機能を果たさない、または故意に誤った情報を配信する可能性を排除せずにネットワークが正常に稼働するシステムは、ビザンチン・フォールトトレランス性(BFT)を持つと言われる。

そして(1)狭義の定義で示される「時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束するプロトコル」とは、確率的総当り計算によるコンセンサス形成手法のプルーフオブワークの特徴を示しており、声明にあるように、まさにビットコインのブロックチェーンを強く意識したものであると言える。

また、興味深いことに、(2)広義の定義は、(1)狭義の定義を再現し、かつプライベート・ブロックチェーンと呼ばれるようなブロックチェーンのコンポーネント技術に焦点を当てた定義となる。現存する多くの「ブロックチェーン」実装はビットコインのブロックチェーンを踏襲したものが多いためだ。

他方で、(2)の定義は現時点における広義のブロックチェーンであり、明示的にブロックチェーンという言葉を避け、分散型台帳技術(DLT)と呼称し脱ブロックチェーンを図るプロジェクトまでは含まれない。JBAの声明によれば、今回の定義で完結せず、今後もアップデートを行なっていくとのことだ。

公的なものではないにせよ、定義が行われたことでブロックチェーン技術のスコープは固定されたが、定義自体はテクノロジーの限界やイデオロギーまでを縛るものではない。そして、ブロックチェーンの定義に当てはまらないブロックチェーンが誕生した時、それをブロックチェーンと呼ぶべきかは更なる議論が必要になる。


JBA

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この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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