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世界の四大会計事務所のうちのひとつであるKPMGは、リテールバンクの持つ基本的な機能(預金、決済、融資)を代替する技術として、ビットコインが破壊的な影響を与える可能性があるといった趣旨の報告書を公開した。KPMGは最近、暗号通貨ウォレットサービスElliptic社へとISAE 3402の認定を行っている。

The changing world of money」と題された報告書の中では、リテールバンクが抱える問題点、そしてビットコインをはじめとする暗号通貨やP2P技術を利用したシステムの融資、預金、決済領域における利用について、多岐にわたる可能性を示唆している。

KPMGのオルタナティブバンク部門室長であるウォーレン・ミード氏は、インターネット革命によって20年間で様変わりした生活となぞらえるように、金融もまたデジタル化革命を迎えようとしていると述べた。

“私は、銀行業務の領域においても「電子書籍現象」へと近づいていると考えています。[…]ビットコインやペイパルなどの新たな挑戦者は小さく、より迅速かつ機敏であり、常に変化する動向に適切に対応しています。”

 

暗号通貨がもたらす金融革命

電子書籍の台頭により雑誌や新聞、書籍はデジタルに置き換えられたことで、出版業界や書店は非常に大きな影響を受けた。ミード氏は、この「現象」が金融の分野にも発生すると考えている。例えば、通貨の預金・決済といった分野では、PayPalや、最近話題となったLINE Pay、そしてビットコインがその機能を果たしている。融資の面においても、ビットコインを利用した不特定多数による融資ネットワークの構想や、スマートコントラクトを活用した個人間融資の構想が練られている。

“古くはなっているが、従来のシステムに加え365/24/7で稼働する応答性に長けた挑戦者たちのシステムのすべてを組み合わせることにより、裕福かつ知性的な、収益性の高い顧客のニーズを獲得することに繋がります。挑戦者らは金融の全体を喰らい尽くそうとはまったく考えておらず、単に機能的に最高だと思うポイントだけを鋭く突いています。”

銀行のレガシーシステムとビットコインのシステムの大きな違いは、まさにこの点だ。KPMGはこれを次のように説明している。

“大手銀行の顧客ニーズへの応答性の悪さは、銀行の基幹システムとデータベースの肥大化だけでなく、規制コスト上昇への対応取り組みへの集中を強いられていることにもあります。すなわち、銀行と顧客の一部の間で変化し続けるニーズを融通することが出来ないため、彼らの間には埋められないギャップが存在し続けるのです。”

 

個人間融資市場

P2P融資市場(P2Pレンディング、又はソーシャルレンディング)は、多くの投資家にとって魅力的である可能性が高い。融資を受ける側にとっても同様だ。融資を受けたい人は地域を限定することなく、低コストで世界中から投資家を見つけることができるようになるし、融資したい人は銀行の管理コストから解放され、結果的に高いリターンを得ることができるようになる。

“もしP2Pレンディング市場このままの成長率で成長した場合、主要なリテールバンクは5年以内に10%のシェアを失うでしょう。”

KPMGは、P2Pレンディング市場が成長した場合について次のように分析している。

1. 最小限の規制要求は、制約を減らし、コストを低減させる
2. 低コストであることは、投資家に最大限の利益をもたらす
3. 自動化された契約プロセスは、基盤コストも低減させる
4. 透明なデータの有効活用は、より多くのビジネスを生み出し、信用リスクも低減させる
5. 複合的なシステムは、従来の銀行システム構造よりも利点がある
6. 仮に銀行が同様の条件を提供出来たとしても、86%はP2Pレンディングへの興味を失わない

これまでも個人間融資は存在したが、ビットコインのブロックチェインを用いればより利便性が高く、低コストに抑えられる可能性がある。分散的なプラットフォームは維持管理コストを低減させ、分散的なスマートコントラクトは手続きの煩雑さを解消し、すべての管理作業を自動実行するすぐれものだ。ブロックチェインの透明性は既に実証済みであり、楕円曲線暗号によるプライバシーの保護とセキュリティはほぼ完璧に保たれているといってもいい。

そして暗号通貨は、個対多、多対個の分散的な融資も実現する。分散的なプラットフォーム上でのスマートコントラクトは融資実行額まで不特定多数の人々から募ることも出来るし、それぞれへの返済は自動的に計算され実行される。これにより、例えば銀行が少なく、口座を持たない人々が多い国においても、人々はインターネットを通じて簡単に融資を受けることが出来るのだ。

当然のことながら、ビットコインが消費者のニーズに応えるためには、満たさなければならない条件がある。「預金」そして特に「融資」においてはその価値が一定の尺度を持ち通貨のように安定している必要があるだろう。融資をしたのちに価値が急落したのでは、利害関係者全体に不利益となってしまうからだ。

しかし、ビットコインがそれを成し遂げられないとは思わない。なぜなら、既に「決済」の領域では直接の関係者の誰もがリスクを負うことなく機能しているからだ。銀行への統合が進むか、暗号通貨によるオルタナティブバンクが形成され定着するか。どんな形になるかはわからないが、暗号通貨の技術は金融の分野へ計り知れない成長をもたらすことだろう。

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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