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ビットコインをベースとしたスマートコントラクトプラットフォームの「Rootstock」が最近、プライベートなtestnet環境で稼働を開始しました。イーサリアムと互換性のあるスマートコントラクトの実行環境をビットコインのネットワーク上で実現するコンセプトは非常に先進的であり、サイドチェーンを独自に実装するなどコミュニティの注目も高まっているプロジェクトです。3月にはDigital Currency GroupやCoinsiliumらから、開発会社であるRSK Labsが100万ドルを調達するなど、最近になってさらに勢いを増しているRootstockですが、一体どのようなプロジェクトなのでしょうか。

イーサリアムのDappsを開発するConsenSysは最近、RSK Labsの共同創業者であるセルジオ・デミアン・レーナー氏に接触しインタビューを行いました。その内容を翻訳してお届けします。

原文はこちら:Smart Contracts are coming to Bitcoin


ーー金融やインターネットについて、Rootstockはどのような世界観を抱いているのでしょうか。

 私たちは、パブリックなブロックチェーンの上に構築されるプラットフォームが破壊的なイノベーションの波を起こすカギになると確信しています。

 ビットコインやRootstockのようなテクノロジーは、IoT革命を促進するとともに、金融サービスや分散型サービスに対するアクセスを民主化します。

 急成長する世界において、人口の50%は伝統的な金融サービスを充分に享受できない、もしくはアンバンクトと呼ばれる人々で占められています。これは、世界的な所得格差が広がる最も大きな要因です。

 パーミッションレス・ブロックチェーンにおけるスマートコントラクトが発展することで、社会的な脆弱性を抱えるインターネットやスマートフォンの急成長は約束されます。世界中の金融サービスや経済開発のさらなる民主化が促進されると考えています。

ーーRootstockによってどのような市場機会がもたらされるのでしょうか。

 Rootstockは、仮想通貨エコシステムにおいて出資者に対するネイティブなインセンティブ機能を持っています。具体的には、ビットコインのマイナーが既存のハードウェアと電力消費のまま、スマートコントラクトから収益を得られる機会を提供します。

 Rootstockはまた、Rootstockのスマートコントラクトを動かすために、ビットコインを燃料として利用しているため、ビットコインのエコシステムにとってもメリットがあります。さらにビットコインネットワークのセキュリティの恩恵を受け、イーサリアムプロジェクトと完全な互換性があることから、開発者やプロジェクトに対する代替手段となりえます。

 実際のユースケース、またはサービスといった面では、私たちはいくつかの企業パートナーと組んでいます。例えばマイクロローンやアセットのトークン化、分散型投票システムなど、異なる市場の異なる領域で実験を行なっているほか、testnetを通じた金融アプリケーションの開発にも取り組んでいます。

ーーRootsotckについて教えてください。

 Rootstockは、オープンソースのスマートコントラクトプラットフォームです。イーサリアムDappsのインターフェースと完全に互換静があり、ビットコインをネイティブ通貨として採用しています。Rootstockのスマートコントラクトは、マイクロペイメントやエスクロー、クラウドファンディング、トークン発行、分散型送金、知財権保護、投票、マイクロ融資、物流追跡、与信管理、電子ID、ゲーム内通貨、予測市場のようなあらゆるアプリケーションを構築できます。

 スマートコントラクトプラットフォームの開発にあたっては、Rootstockはチューリング完全なEVM互換のバーチャルマシーンが実装されています。また、インスタントコンファメーションも提供しています:性能は現在300tpsかつ、20秒程度でブロックが承認されます。Rootstockのセキュリティは、ビットコインのマイナーによるマージマイニングによって提供されます。またビットコインと相互に接続するために、2Way-Pegも実装されています。これによってRootstockとビットコインは、固定の交換レートで常に交換することができます。Rootstockにおける2Way-Pegは、サイドチェーンにDrivechainを加えたハイブリッド型になります。サイドチェーンの機能はスマートコントラクトで動くステートフルSPVノードによって提供されます。また、Rootstockはイーサリアムと互換性があるため、ビットコインのセキュリティや相互運用性を活かしたまま、イーサリアムで作成されたDappsを簡単に移植することができます。RootstockはRSK Labs Ltdによって開発されており、2015年に立ち上げられました。フィンテック業界とビットコインエコシステムのキープレイヤーから出資を受けています。私たちのプラットフォームは、2016Q3にローンチ予定です。より詳細な情報が知りたければ、ウェブサイトからホワイトペーパーをダウンロードすることができます。

ーーコンポーネントの構成は?

 主にはフルノードのコア、2Way-Pegサブシステム、FedNode、マージマイニング・サブシステムで構成されています。イーサリアムのように、コアはブロックチェーンのコンセンサス機構とコントラクトを執行するためのバーチャルマシーン、ネットワーク接続を備えています。2Way-Pegサブシステムは、Rootstockコントラクトのためのブロックチェーンサービス、2Way-Pegの管理機能を提供するスマートコントラクト・ブリッジで構成されています。FedNodeは、ビットコインのブロックチェーンとRootstockのブロックチェーンの双方に接続する第二のフルノードです。Rootstockからビットコインのブロックチェーンに戻す際、ビットコインをアンロックするなどの作業を行うブリッジ・コントラクトで通信を行い、トランザクションやブロック情報のやり取りを行います。最後に、マージマイニング・サブシステムはSHA256ベースのPoWマイニング機能と、異なるマイニングプールを管理するアプリケーションからなります。

ーーイーサリアムとくらべると?

 Rootstockはイーサリアムのアカウント/コントラクト・コアデザインを踏襲しているため、常にイーサリアムとの互換性に気を配る必要があります。またRootstockのフルノードはEthereumJ、BitcoinJ、そして私たちのコードで作られています。イーサリアムの開発者は、イーサリアムからRootstockにアプリケーションをポーティング(移植)する際、その違いが殆どないことに気がつくでしょう。しかし、内部的な部分で、私たちはテクノロジーやサイエンスの面で進歩しています。例えば、より高いスケーラビリティ、より高いパフォーマンス、より低レイテンシー、より高いセキュリティ、そしてよりフレキシブルに。最初のリリースでは、イーサリアムと100%互換性がある状態を目指していますが、その後のリリースにおいてはプライバシーやスケーラビリティ、リソースの改善などにも励む予定です。

ーー似ている部分、異なる部分を教えて下さい。

 私たちのテクノロジーは、イーサリアムから独立して進化してきた歴史があります。そのためいくつかの領域では、多少の進歩があります。例えばスケーラビリティの面では、イーサリアムの長期的なシャーディングプランよりも複雑でないストラテジーを初めに実装しています。イーサリアムとは異なり、私たちはユーザーに対して特定のアイソレート・シャードにコントラクトを移動することを強制しません。私たちのプラットフォームでは、スマートコントラクトはアドレスの依存関係を指定し、動的に更新することが可能です。そのため、Rootstockのフルノードはトランザクションセットを分割し、トランザクションの検証を並列化することができます。これはCPUリソースの消費を改善し、各Rootstockノードが持つプロセッシングコアの数に比例するスケーラビリティを担保します。レイテンシーの面では、RootstockはDECOR+GHOSTプロトコルを採用することで、平均して10秒前後のブロックインターバルに収まります。イーサリアムは16秒前後なので、それよりも改善していることがわかるでしょう。DECOR+はまた、アンクル・マイニングやセルフィッシュ・マイニングを防ぎ、イーサリアムやビットコインに比べてブロックチェーン自体のセキュリティを向上させています。最後に、ローレベル・ネットワーク・プロトコルは、レイテンシーを抑え、古いブロックの発生を低減するなどいくつかの最適化がなされています。

 Rootstockはまた高セキュリティを含む改善も計画しています:暗号技術の側面では、ユーザーは自身の署名方式を定義することができます。これによってアルゴリズムの性能が上昇し、プラットフォームは陳腐化した署名方式から新しい署名方式に簡単に移行できるようになります。コンセンサスの面では、PoWによるマージマイニングを用いることで、ビットコインのマイナーによるセキュリティを享受できるようになります。私たちはRootstockのローンチ後、すぐにマイナーの支持を得られるであろうと予想しています。イーサリアムはPoSに移行しようとしており、これは興味深い点ですが、Casperのセキュリティはまだまだテストが必要であり、実現もしていません。

 柔軟性の面では、私たちは現在新たなツールチェインに取り組んでいます。これは、既存の開発環境において使われるメインストリームのプログラミング言語でスマートコントラクトが書けるようになるというものです。これにはEVMのオペコードをRootstockネイティブのVMへと移行し、より簡単に最適化できる新しいVMを開発することも含まれています。

 パフォーマンスの面では、私たちのVMはJITコンパイラをサポートする予定です。これにより、イーサリアムよりもずっと安価にスマートコントラクトを実行することが可能になります。

 またプロトコルのガバナンスモデル、資金調達モデルにもいくつかの違いがあります:私たちは新しく投機的トークンを作らず、ビットコインを使っています。そのためRootstockの収益モデルは、単純にPay Per Useです。ICOではありません。

ーー違いはなぜあるのでしょうか。目指す方向性も違うのでしょうか。

 Rootstockは、機関ニーズ(規制、ファイナリティ、プライバシー)を満たすブロックチェーンと、パブリックなブロックチェーンの融合を目指しています。例えば、フェデレーション(コンソーシアム)ベースのマルチシグはチェックポイントを提供し、ノードが不調和に陥った場合、一時的に停止するようになっています。

 ビットコインは強いネットワーク効果を持っており、他の競合する暗号通貨をみても、エコシステム全体としてビットコインは最も強固だと考えています。これがマージマイニングと2Way-Pegを採用した理由です。

ーー今年のロードマップは?

 フルノードやマージマイニング、2Way-Pegは既に稼働しています。私たちは現在、コアコンポーネントの改善に取り組んでいます。もしローンチの前にアプリケーションをテストしてみたい場合は、招待制のtestnetが用意されています。興味のある企業は、ぜひ私たちにコンタクトをとってください。最初のパブリックテストは9月に行われる予定です。その際に、私たちのコードはオープンソースになります。プラットフォームのローンチは今年の12月に予定しています。

ーーもっと知りたいです。

 開発者ならまず、既存のイーサリアム関連サイトを訪れましょう。Rootstockの2Way-Pegやガバナンスモデル、セキュリティ、スケーラビリティなどの詳細設計は、www.rootstock.ioで公開しているホワイトペーパーから参照できます。


ConsenSys – Smart Contracts are coming to Bitcoin

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この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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