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9月12・13日にかけ、カナダ・モントリオールにて開催されたスケーラビリティワークショップ「Scaling Bitcoin」は大盛況に終わったようだ。ワークショップの目的は、ビットコインのブロックサイズにまつわる問題点を徹底的に洗い出すこと。議論の解決と技術的なコンセンサスは、12月に予定されている香港のワークショップに託された。

ワークショップで取り扱われた議題は幅広く、マイナーや手数料市場、セキュアエンジニアリング、暗号通貨経済、ブロックサイズの動機など二日間にかけ27のプレゼンテーションが行われた。(ワークショップのリソースは記事下部にまとめてあります)主な争点は、動き始めたら二度と止めることの出来ない分散型のネットワークの開発に要求される経済的合理と分散性の秩序を構成する方策に関してだ。

ブロックサイズの問題点

BIP100を提唱するJeff Garzik氏のプレゼンテーションでは、ブロックサイズを引き上げることによるリスクと現状維持することで起こりうるリスクの双方を網羅した内容となっている。Garzik氏はブロックサイズが現状(ストレステストを除いて)限界容量に達していないとしながらも、それが発生した際に起こる手数料競争、つまりビットコインの送金が高コストになることで「ビジネスや個人がビットコイン利用する動機が消失する」可能性があると述べた。

またブロックサイズ限界への到達は時間の推移と共に線形的、あるいは指数的に図れるものではなくイベントドリブンで発生することから「いつ」を予測することが困難であると述べた。

より上位の課題は、現在のコアディベロップメント体制がビジネスレイヤーを考慮していない点だ。それは人によってビットコインを利用する目的は異なるということだ。ある人は「社会実験」と言い、ある人は「70億人が使う決済システム」だと言う。またある人は「ビットコインのフルノードに接続するユーザーは微小であり、トラフィックも増加しない」と考えており、その場合にはブロックサイズの問題は「自己解決」されるとGarzik氏は語った。

また二日目の登壇者であるEric Lombrozo氏は、現在のビットコインネットワークの構造がプールを中心とした中央集権構造になりつつあることを指摘。さらに取引数が増大すると共にトランザクションのバリデーションコストも比例して膨大なコストになるため、「ブロックチェーン上で毎秒1000トランザクションを処理した場合、致命的な事態に発展する可能性がある」と述べた。

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コーネル大学研究者が提唱する『Bitcoin-NG』

とりわけ注目を集めたのは、スケーラビリティの代替案を提起したコーネル大学の博士研究員Ittay Eyal氏だ。Eyal氏およびAdem Efe Gencer氏、Emin Gun Sirer氏、Robbert Ban Renesse氏により考案された『Bitcoin-NG』(おそらく、ネクストジェネレーション)は、ブロックサイズを引き上げることで発生するブロック伝播の遅延を解消し、またプール間の競争をよりフェアにすることを目的としている。

Bitcoin-NGでは採掘されたブロックのCoinbase、nonceおよび公開鍵Kのみを持つKeyblockとトランザクションデータのみを持つMicroblockのふたつに役割が分割されている。Keyblockは10分毎に採掘されるブロックで、採掘者はその後のMicroblockの採掘権を得る。そしてMicroblockは次のKeyblockが採掘されるまで10秒毎に発見され、トランザクションと手数料を含めて含まれた手数料は以前のKeyblockおよび次のKeyblockそれぞれに分配されることになる。

こうしてブロックを分割することで、コンセンサスの遅延によるハッシュパワーの損失やマイニング競争の公平性はブロックサイズの増減によらず、一意に決定される。この提案に関しては研究段階にありソースコードや論文は公開されていないが、実現すればビットコインにとって大きなブレークスルーを迎えることになるだろう。

その他のプレゼンテーションや動画、議事録なども多く公開されているため、スケーラビリティに興味がある方は是非参照されたい。2016年1月を期限に迫っているブロックサイズ論争は果たして合意を得られるのだろうか。次の成果発表は12月、香港にて行われる予定だ。


Scaling Bitcoinリソース:

会場風景

議事録(書起) http://diyhpl.us/wiki/transcripts/scalingbitcoin/

動画:
Scaling Bitcoin Day 1
Afternoon Session https://www.youtube.com/watch?v=oefTRnM9SPY
Wrap-up https://www.youtube.com/watch?v=G6PnLSH40lQ

Scaling Bitcoin Day 2
Morning Session https://www.youtube.com/watch?v=TgjrS-BPWDQ
Afternoon Session https://www.youtube.com/watch?v=0SnjrdQtf8Y
Wrap-up https://www.youtube.com/watch?v=fuZnYDtBJiY

公式ページ https://scalingbitcoin.org/montreal2015/#workshop

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
monacoin:MTn7hiNovBHyN7gjtvD1Hh7W96Zmghp41B
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