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現在、消費者の多くは携帯電話のキャリアが提供する、キャリアに紐付けられたAndroidやiPhoneなどの端末を使用している。これら非SIMフリーの端末は比較的安定したLTE回線と通話ネットワークを享受することと引き換えに、高額な契約料を科せられている。最近では、型落ちのSIMフリー端末に安価なサービスプロバイダのSIMを挿入し、使用することでそのコストを抑える人々も増えてきたが、その数は割合として多くはない。

今回紹介する動画は、そういった高価な維持費を要し、個人データを保持するSIMカードをビットコインの技術を用い置換することで、どのような現象が起こるのかを示唆するものだ。念のために言っておくと、これは製品ではなく、また製品化する予定のない単なる思考実験である。

「携帯電話やタブレット、その他の端末が煩わしいSIMカードを必要としない将来のシナリオを想像してみましょう。」という語りから始まるこの動画では、極めて興味深いストーリーを提示している。

SIMカードに出来ることはソフトウェアでも可能だ

そもそものSIMカードの目的とは何なのだろうか?SIMカードは正式には加入者識別モジュール(Subscriber Identity Module : SIM)カードといい、国家コード、キャリア情報などのIMSI(国際モバイル加入者識別情報)、もっと端的に言えば電話番号など利用者固有の識別情報が記録された小さなICカードのことだ。SIMカードを携帯端末に挿入することで、音声通話やデータ通信を行うことが出来るようになる。

しかしながら、この動画の中ではIMSIの格納、ならびに加入者の認証識別に用いるセキュリティ認証のための情報の格納など、単に識別することを目的としたものであるため、「これはソフトウェアでも可能なのではないか?」という疑問とともに、SIMカードをビットコイン技術を用いたプラスチックカードへと置換することを提案している。これにより、理論的には、キャリアのSIMカード製造コストなどを削減できると語る。

安全なネットワーク

“私たちの未来のシナリオでは、すべての携帯電話ネットワークが積極的にブロックチェインを監視するようになります。”

未来の携帯電話では、IMSI信号をネットワークに送信しデータ通信を出来るようにする代わりに、ビットコインの34桁の公開鍵を送信することで同様のことが行えるのではないかと語られている。また、IMSIの代わりにビットコインの公開鍵を送信することは、NSAによる情報の傍受の可能性からも保護可能であるという。ネットワークに送信されるのは常にビットコインの公開鍵であり、秘密鍵は決して公開されないため、情報の機密性といった点でも安全だ。

安価で従量課金のネットワーク

また、この動画の中では、ビットコインがSIMカードに置き換わると何が起こるのかという点について、最も重要なアナロジーも提示している。

それはつまり、ビットコイン課金を導入するキャリアは、今よりもずっと柔軟な契約プランを提供できるようになるということだ。忘れてはならないのは、ビットコインはブロックチェインを用いた分散的な価値の交換システムであり、ビットコインの交換においては手数料が殆ど掛からず、小数点以下の円の取引にも全く支障がないという点だ。これにより、キャリアは音声通話においては秒単位の課金、加え、データ通信においては1KB単位の課金も行うことが出来るようになる。

国内では継続的な利用プランが主流であるが、海外、特に新興国においてはプリペイドによる携帯電話の利用が主流となっている。最近はそういった海外の動向から、国内においても激安SIMカードによるサービスの提供が普及し始めており、今後更に安さを求めるユーザーがSIMフリー端末へと移行しはじめる傾向は加速することと思われる。

この動画で語られている思考実験は、製品化する目処はなく、また携帯電話キャリアを必要とすることから、これが実現するかどうかという点においては議論の余地があるだろうが、どのように継続的かつ断続的なビットコイン決算/課金を行うかという点では、取引をMitM攻撃から守り、自動化することの出来るBIP70という技術が存在する。

その他にも、ビットコイン課金による分散的なWifiの実装や、インターネット通信プロトコルをビットコインネットワークで接続可能にしようというプロジェクトなども存在している。ビットコインは通貨としての側面が大きく取り上げられることも多いが、実際にはアプリケーションに直接組み込むことのできる極めて安価な分散契約ネットワークだ。今後数年のうちに、ビットコインは様々な形で生活の中に溶け込んでいくことだろう。

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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