LINEで送る
Pocket

bitcoin-image

この記事は、Joel Monegro氏が執筆するシリーズ連載記事の第一弾である「The Blockchain Application Stack」を、Monegro氏の好意により承諾を得て翻訳したものです。Monegro氏は、2014年7月からUnion Square Venturesの投資部門に従事しており、コンピュータサイエンスとエコノミクスに造詣が深い人物です。


 

先週、私はニューヨーク大学で行われたビットコインハッカソン「HackBit」のワークショップで、ビットコインのプロトコル、ブロックチェインを応用した使い方、及びそこにある機会と課題について少し話しました。私はこの領域についてこれまで学習してきたことをすべて共有したかったのですが、残念ながら時間制約の関係上、深い部分まではお話できませんでした。その埋め合わせとして、私が”ブロックチェインアプリケーションスタック(The Blockchain Application Stack)”と呼んでいるものが何なのかからスタートし、ワークショップで説明したいくつかのアイデアを、シリーズ連載としてブログに投稿していきたいと思います。

まず、私がユニオンスクエアベンチャーズに加わった時にブラッドが教えてくれたことは、ベンチャーキャピタルビジネスで働く上で最も偉大なことのひとつは、市場を全く異なる観点で見ることが出来るようになるということです。私たちはいつでも、企業や起業家が構築しようとしている未来がどういうものなのかを学ぶ特権があります。それは非常にスリリングなことです。特に、あなたが私たちのように技術オタクならね。

私たちは、ビットコインとブロックチェインで起こっていることをすべて調査するためにたくさんの時間を費やしています。これは、今日ソフトウェアビジネスを支配するパラダイムの多くを引きずり落とすため、ブロックチェインを活用した次世代技術・アプリケーションを構築する世界中のチームは、会議、スカイプ、メッセンジャー、Eメール、Twitterなどにも影響を与えるでしょう。いくつかはただのアイデアで、いくつかは製品として、既に市場にあります。いくつかは大失敗に終わり、いくつかは数百万ドルの資金調達を果たしています。 これらすべての事象は、次に何が起こるかを想像する手助けとなる、特定のパターンや傾向を明らかにしました。私は皆と知識を共有し、このことを通じてあなたの考えの手助けをしたいと思っています。

blockchain-application-stack-image

これは私が考える、今後10年の間に見えるようになるであろうインターネットアプリケーションのアーキテクチャです。これは極めて単純なイラストですが、重要な問題や洞察を多く残します。私は、下記する私の考察の説明にベストを尽くすつもりです。出来るだけ簡潔にするため、一番下のスタックから順番に説明し、かつそれぞれ突っ込んだ話をしていこうと思います。

基本的な考えは、グレーの長方形で囲まれた部分はすべて分散的、かつオープンソースであるということです。今の私はこれを、共有データ層、共有プロトコル層と呼んでいます。誰ひとりとして、システムのこれらのパーツを制御している人はいません。そして、それらは誰でも、どんな組織からでもアクセスが可能です。例えば私たちがビットコインを使用するとして、ブロックチェインは共有データ層であり、ビットコインプロトコルは共有プロトコル層の一部の分散プロトコルです。

あなたは、それぞれの層が上に行くほど小さくなっていることに気が付いていると思います。 また、共有データ層と共有プロトコル層がスタック全体の80%を占めていることに気が付いたでしょうか?今日のインターネットアプリケーションは、TCP/IPやHTTPといったオープンな分散技術の上に構築されていますが、上記イラストのように現在のインターネットアプリケーションスタックをグラフ化すると、オープンな分散プロトコルは恐らくたった15%程度であり、その上の殆どがプライベートで、中央集権的なシステムになっていることでしょう。

1. マイナーとブロックチェイン

もしあなたがビットコインがどのように動作するかを少しでも知っているのならば、マイナーが何であるかも知っていることでしょう。一言で言えば、マイナーとは、ビットコインのすべての取引をコンピュータ・ネットワーク上の人々と一緒に検証する、ネットワークのノードです。検証の引き換えに、アルゴリズムがビットコインを報酬として与えます。ビットコインは現実世界の価値を持つため、これらマイニングマシンの運用者は、運用し続ける動機を与えられています。

ブロックチェインは すべてのビットコイン取引の記録を永続的に保持する公共の元帳で、マイナーの働きによって維持されています。これは単一の存在によって制御されていないし、誰からでもアクセスが可能です。

2. オーバーレイネットワーク

これは非常に興味深く、面白い部分です。開発者たちは、ビットコインのネットワークでは出来ない仕事を、ビットコインのブロックチェインのタイムスタンプ機能、仕事の検証機能などを用い、ブロックチェインと並列して動作するネットワークを構築し、実行しようとしています。

一例として、Counterpartyがあります。 他には、多分、サイドチェインもそうですね。これらオーバーレイネットワークの試みはどれも共通して、ビットコインのブロックチェインと接続することです。それらは自身のオルトコインを自立させず、ビットコインの流動性やネットワーク効果の恩恵を得ることが出来ます。Ethereumのように独自のブロックチェインで、それらの問題の解決策がある場合は例外ですね。

3. 分散プロトコル

ブロックチェインのおかげで私たちははじめて、単一の存在によって制御されないオープンソースな、検証、取引、組み込みデータによる分散プロトコルを開発することが出来ました(オーバーレイネットワークとブロックチェインに感謝!) 。これは従来のソフトウェアビジネス・アーキテクチャの終焉の始まりです。共有データ層の上位にある分散プロトコルの最高の例はビットコインであり、そして、私たちは既に現金や金融にどのように影響を与えるかを熟知しています。

eBayやFacebook、Uberといった企業は、独自の顧客情報を抱え、そのネットワーク効果から莫大な利益を生み出しているため、非常に高価な評価額が付けられています。ブロックチェイン上の分散プロトコルは、消費者や投資家にとってのそれらのサービス価値を、それぞれのスタック毎の部品にしてしまう可能性があります。例えば、分散プロトコルは何らかのプラグインとして、かつP2P取引が可能な状態の一般的な分散データベースを作成することでこれを可能にするでしょう。

事実、いくつかの有望な開発チームは既に、上記した企業のようなビジネスモデルを破壊しうるプロトコルの開発に取り組んでいます。一例として、リアルタイムのライドシェアサービスLazoozがあります。 他にもフリーで、分散的なP2PマーケットプレイスOpenBazaarなどがあります。

4. オープンソースと商業向けAPI

平均的な開発者がプロトコル上にシステムを構築することは難しいため、簡単にプロトコルへ接続出来るようにすることは機会となります。 それが長期的に見て良いビジネスであるかは議論の中にありますが、しかし私はそれがスタックの非常に重要な部分であると考えています。分散プロトコル上で実験及びアプリケーションの構築を迅速に、どんなスキルの開発者でも簡単に行うことが出来る環境は、彼らの成功に最も重要な鍵となります。

これらは商業サービス、あるいはオープンソースとなります。このトレンドとしての良い例は、Chain.comのAPIや、CoinbaseのToshiです。これらは両方とも同じ目的を果たしますが、Chain.comは商業向けサービスであり、ホストされる一方で、Toshiはオープンソースです。

5. アプリケーション

これはスタックにおいて、消費者が実際に面する部分です。CoinbaseがPayPalとほぼ同じように動作するのと同様に、このスタック構造の最上部に構築されるアプリケーション群は、殆どの場合、私たちがこれまで使ってきた中央集権的なサービスと同じように動作します。消費者にとって最も大きな違いは、これらのアプリケーションは分散プロトコル上に構築されているため、消費者はEメールのように個人間で対話ができるし、ビットコインウォレットを同時に使えます。

私がこのスタック構造を好きな理由のひとつは、ボトムアップ型の成長をしていることです。まず、マイナー、ブロックチェイン、そしてビットコイン。そして今は、その上に他のすべてのものを構築しています。私が知るかぎり、技術の中で最も重要な革命は、この方法で構築されています。

これは、現在のインターネットスタックが、これらのアーキテクチャによってコモディティ化されることによって、開発者、起業家、そして投資家へと非常に興味深い一連の課題を課すことでしょう。このスタック構造について最も良いと思われるのは、消費者はあらゆる手数料からの解放、あるいは超低レートの手数料、並びに移行コスト、データの所有権、消費者の市場支配力が間違いなく改善させるであろうことです。私はこのシリーズで、この点に関して焦点を当てて書いていきたいと思います。


 

もしこの記事が気に入ったら、お知らせを受け取るためにTwitterアカウント @jmonegro をフォローしてください。

(この記事を執筆するにあたり、協力してくれたFred Wilson、Albert Wenger、そしてMuneeb Aliに感謝します)

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
monacoin:MTn7hiNovBHyN7gjtvD1Hh7W96Zmghp41B
bitcoin:1NK8S4ep9ZUZ9H9AmTAfvrCVVAKLbpmi36