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「ビットコインの価格は、何が原因で動くのか」

これは、ビットコインに足を踏み入れようとするすべての人が、一番はじめに持つ疑問のひとつなのではないでしょうか。為替市場であれば政治情勢や経済指標ですし、株式市場であれば、企業ごとの決算発表やプレスリリースが主な変動要因かと思います。これがビットコインでも当てはまれば簡単な話なのですが、ビットコインはひとつの国でも、ひとつの企業でもなく、ビットコイン業界のある特定の企業の指標が全体に影響するかというと、わずかばかりの疑問が残ります。

また、「どこそこの大企業がビットコイン決済を導入した」「金融機関がビットコインのリサーチをはじめたようだ」なんてニュースが毎週のように飛び出すこの業界ですが、短期的には、必ずしもそれがビットコインの価格には結びつかないというのが、2014年から今までの傾向のようです。そこで、まずは一般的に馴染み深い『ビットコインのファンダメンタルズ』について、ひとつずつ追っていくことにしましょう。

  1. 参加人口の増減(内部要因)
    最もよく言われるのが、ビットコインを持つ人達の増加。つまり、ネットワーク効果に基いて変動していくということです。メトカーフの法則によれば「ネットワークの価値は参加人口の二乗の価値を持つ」と言われており、現在の時価総額6000億円を逆算しておよそ77万人の参加者といったところ。2014年にアクティブだったビットコインユーザーが130万人程度(ジュニパーリサーチ調べ)であることを考えると、多少の誤差はあるものの、大雑把な規模感は見積もれそうですね。ただ、人口を正確に把握するのは困難ですし、短期的な指標にはならないでしょう。
  2. 大企業のビットコイン採用・事業参画(内部要因)
    こういったニュースは、価格に影響を与えているのでしょうか?少なくとも、DELLやペイパル、マイクロソフトのような大企業がビットコインを導入したニュースでは、短期的な反応はありましたが、相場にとっては些細な問題のようです。
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  3. 投資規模の増大と、技術的ファンダメンタルズの改善(内部要因)
    これらの影響は、中長期的な目線で見た場合には、指数関数的な影響を与えるであろうことは間違いありません。ただ、これらは今すぐ芽を出すものではなく、ビットコインがより広く、より深く生活の中に根付いた頃に静かな影響として現れるものです。
  4. 金融危機(外部要因)
    ビットコインがメインストリームに取り上げられ始めたのも、2013年3月のキプロス金融危機がきっかけだと言えます。直近では、ギリシャのデフォルト危機のニュースが流れたことで、およそ1年半にも及ぶ下降トレンドにあったビットコインの相場が、ここにきて上昇トレンドに転じる兆しを見せ始めました。

さて、ここでもうひとつの可能性として考えられるのは、ビットコインの価格に対する『外国為替やコモディティ相場の影響』も無視できないのではないか、ということです。これは、金融危機と同じく外部要因に近い性質を持っているかもしれません。ビットコインと外国為替やコモディティなどの間に強い相関関係が認められ、多少なりともシグナルを抽出できれば、この試みは成功だと言えるのではないでしょうか。

ビットコインとボラティリティ

まずは毎度おなじみ、ビットコインと他商品のボラティリティ比較です。金、原油、ユロドル、ドル円、上海指数、日経、ビットコインそれぞれのヒストリカルボラティリティを表した図が、以下の積み上げ棒グラフとなります。ヒストリカルボラティリティ(HV:単位%)は、過去の価格変動の標準偏差を取り、一年間の営業日(250)の平方根を掛けたものとなっています。注意点としては、ビットコインの市場の場合には365日休まず稼働しているため、ここでは条件を合わせるために定数を250ではなく、365に設定しています。

HVは年間の値動きの目安として使うことができ、例えばビットコインは2014年に43%のHV指標が認められるため、68.26%の確率で一年を通して43%以内の価格変動が起こり、95.44%の確率で86%以内の価格変動が起こる、と見ることが出来ます。
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グラフで見るビットコインの価格相関

次の図は、ビットコインとその他のコモディティ等の価格相関をグラフ化したものです。左上から右下にかけて、正の相関から逆の相関関係が見て取れます。日経225やドル円などは、単純にこの4年間常に上昇し続けていたため、正の相関が現れているといったところが実情だったりしますが。

※ビットコインとライトコインに関しては、価格の変動幅が大きすぎるため、対数表記にしてあります。

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個別で見たい方はこちら
正の相関 vsライトコイン vs日経225 vsドル円
相関なし vs原油 vs上海総合指数 vsユロドル
負の相関 vsゴールド vsとうもろこし vsドル人民元

相関係数で見る価格の相関関係

次の図は、上記の価格推移の相関関係を、相関係数マトリクスで表したものです。「±1」に近ければ近いほど相関していると見ることができます。注意点としては、ビットコインはこの4年間、全体としてみれば上昇し続けている形なので、「±0.6」以上の値でないと、それほど大きく相関しているとはいえないかもしれません。

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価格とヒストリカルボラティリティ

さて、ここまで価格、ボラティリティとそれぞれの値を計算してみました。次の図は、それぞれの相関係数をプロットしたものになります。これを見ると、ライトコインとゴールドは、ビットコインに対して強く連動した「正の相関」の動きを見せていることがわかります。

原油や中国株、ユーロドルに関してはビットコインと相関関係がまったく認められませんでした。一方、株式で相関関係が認められなかった中国ですが、人民元通貨とは強い「負の相関」が認められ、人民元のヘッジ先としてビットコインが使われており、ゴールドよりもその傾向が強いということがわかります。

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まとめ

今回、普段殆どの人が意識しないであろう外貨や株式、コモディティとの関連性について調べてみました。オルトコインの王様であるライトコインはやはり、ビットコインと強く連動し「正の相関」にあることがわかりました。これは安全資産といわれる「金と銀」、人々の生活に必要不可欠なエネルギー資産である「原油と天然ガス」の関係に似ているのかもしれません。

また、ビットコイン取引の70%以上のシェアは中国拠点の取引所に集まっており、ビットコインの価格をリードしているのは実質的に中国だとも言われています。そうした事情から、人民元のヘッジ通貨としてビットコインが使われ、強い「負の相関」が現れているという事実は、とても示唆に富む結果であったと言えるのではないでしょうか。

ここで気になるのは、つい先日、2015年8月11日に中国人民銀行が人民元の対ドル基準相場の変動率制限を、前日比1.9%にまで拡大したことによるビットコイン相場への影響です。事実上の人民元切り下げとも言われる今回のニュースは、既に為替市場に少なからずの影響を与えています。ビットコインと強い負の相関関係にある人民元が、これからどのようにビットコインの相場に影響を与えるのか、非常に興味深い動向であると言えるでしょう。

一ヶ月後のビットコイン相場、あるいは二ヶ月後、一年後を占う上で、どのように分析していくか。拙い分析ではありますが、今回の調査があなたの判断材料の一助になれば幸いです。


【免責事項】
投稿には筆者の主観的な情報が含まれており、正確な情報を提供するものではありません。この情報は投資利益を保証するものではなく、相場の変動や状況の変化により損失を出す場合がございます。投資を行う場合には、最終的にご自身の判断と責任において行いますようお願いたします。

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この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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