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ビットコインは、大手金融機関の参入や、マイクロソフトやデル、楽天米法人などでの支払い手段としての採用、2015年の投資規模がQ1のみで2.3億ドル、前年比で344%の成長と世界的な急成長を遂げている。しかし、一方で、日本ではまだまだ認知度が高いとは言えない状況にあり、その証拠として、アメリカではビットコインが使える店舗が2,414箇所あるのに対し、日本では東京を中心にたったの60箇所しかない。この状況を打破し、日本での普及は可能なのだろうか。ビットコインが一般に使われるようなことはあり得るのだろうか。

今回は、これまで幅広くビジネスを手がけてきた堀江貴文さんに、ビットコインに潜むビジネスチャンスと、日本での普及をどのように推進すればいいかを伺った。

堀江貴文(ほりえ・たかふみ):SNS株式会社ファウンダー、株式会社7gogoファウンダー
1972年福岡県生まれ。実業家。民間でロケット開発を行うSNS株式会社、スマホ向けSNSサービスを提供する株式会社7gogoファウンダーとして活動。1996年、東京大学在学中にインターネット関連会社のオン・ザ・エッヂ(のちのライブドア)を創業。2000年、東証マザーズに上場。2004年より近鉄バファローズやニッポン放送の買収に乗り出したことで、一躍、一時代の寵児となる。2006年、証券取引法違反で逮捕され、2年6ヶ月の実刑判決が下される。2013年、刑期を終了し、活動を再開する。著書に『マネーと国家と僕らの未来』、『我が闘争』がある。

まずは、ビットコイン長者を

――早速ですが、ビットコインなどの暗号通貨が日本で爆発的に普及しうるシナリオについて、堀江さんはどのようなものが可能性としてあり得るとお考えでしょうか。

投機です。投機。

――なるほど。確かに今、ウォール街が参入してきたり、日本でもビットコイン取引所のBTCBoxさんが2億円調達したという話もあって、盛り上がっている様子が見られます。日常的な利用よりも、投機がまず先ということなのでしょうか。

普通に考えて、日常では使われないですよ。逆に、どこで使われると思っているんですか?

――一応、ビットコインは通貨の側面もありますし、日常的な決済用途として使われる可能性はあるのではないかと。

いや、使わないでしょ。あなただって使ってないでしょ。

――そうですね。

別に、日常的に使われることを想定しなくてもいいんじゃないですか?実際、使われてないんですよ。特に日本みたいな国で、使われるわけがないじゃないですか。

でね、とりあえずはそれでいいんですよ。要するに、今使ってる層ってのは、昔マイニングをしてビットコイン長者になった人たちなわけじゃないですか。ビットコインがうまいこと立ち上がって、ビットコイン長者ができたわけじゃないですか。それで、長者になった人たちがビットコインを使えるような場所が、特にアメリカで出来てきているわけですよね。

ビットコインの経済ってのは、まずはビットコイン長者ができるっていうプロセスから始まるし、だから日本で普及させようとしたら、まずはビットコイン長者を作るところから始めなきゃいけない。ただ、ビットコイン長者を今から作ろうとしたってできっこないですよね。それでもこれから流通量が増えれば、2倍とか10倍にはなるかもしれないですけれども、それにしたってその程度なわけですよ。

株式投資のような形で売買差益を期待してビットコインをトレードするって人もいるでしょうけど、長者を作るには難しい環境じゃないですか。それよりも、日本には日本発のモナーコインがあるんですから、それを買って長者になる人が出てきても、可能性としては全然おかしくない。

あとは、FXみたいにレバレッジを効かせたビットコイン取引とか。投機で儲ける人たちが出てきて、それが起爆剤になって、その人達が使いたいから使える場所がまた増えていく。当面はその流れなんじゃないですかね。

――ビットコインを持つ理由が、ビットコインで儲けたから持つ、ということですね。確かに、使うために買うというのはあまり考えにくいですね。

今は投機でしょ。ぶっちゃけ。

――ただ、僕が危惧しているのは、投機が進むと、利用者は実際にはビットコインからどんどん離れていくのではないかということがありまして。

なんで離れるんですか?

――例えば、最近ではビットコインインデックス投資というものが出てきていて、ビットコインを買って、売っているように見えますけど、実際にはドル建てで取引をしていて、ビットコインを実際に持っているわけではないじゃないですか。今後、投機の流れが進むと、信用取引をしているけど別にビットコインは持っていないとか、そういう流れになるのではないかなと。

いや、ビットコインがインデックス化されて間接的に売買されるにしても、その裏では実際にビットコインのトレードをしてるじゃないですか。

――それでも、ビットコインのインデックスを買っている殆どの人たちは実際にビットコインを持っているわけではないですし、儲けてもビットコインで引き出すことはないのではないかと。

別に、それでいいと思いますよ。何がまずいんですか。ドワンゴの川上さんも仰ってましたけど、そもそもビットコインっていうのは、主要なノードとかマイナー、トレーダーの人たちだけの取引が割合として殆どなわけじゃないですか。ビットコインって、そもそもがそういうものなんじゃないですか。

――つまり、コンシューマの層が入ってくるような場所はないと。

別に入ってきてもいいんだけど、メリットがないよね。そもそも、そういう人たちにメリットあるんですか?直接取引できますよって言ったって、仕組みを知るのは大変だし、使うにしても面倒くさいじゃないですか。

――例えば、東南アジアの、ミャンマーとかタイとかの人たちが日本に出稼ぎに来て、ビットコインで国際送金するなどの用途としてあるのではないでしょうか。

それだって結局、送金を取り持つ業者と取引するわけでしょ。業者はそこで差金決済みたいなことをやるんですよ。

実際のところ、C2Cの電子マネーとしてはそんなに優れてるわけではないじゃないですか。むしろ、マイニングに時間が掛かるし、検証にもすごく時間が掛かったりしますから、全然使いやすいとは言えないと思いますよ。

――現状、そうですね。この間、野口悠紀雄先生にもお話を伺いましたが、やはり秘密鍵の管理など、普通の人が扱うには難しすぎる技術だと仰っていて。ネットワークをそのまま使うのではなく、Tポイントやポンタ等と提携してやっていくべきだと。なので、普通のユーザーはビットコインに触れないのが正しいのかもしれませんね。

直接触れたい人は触れてもいいんですよ。正しい知識をちゃんと持っている人たちは、自由に使えるじゃないですか。僕が言いたいのは、普通の人たち全員が公開鍵暗号方式の仕組みとかを理解するのはまず無理だって話です。実際、円とかドルの方がずっと使いやすいじゃないですか。

B2Bマーケットの通貨的な側面が大きいと思いますよ。ビットコイン自体は。

――わかりにくい部分は、ビジネスがやるということですね。

例えば、うちのサービスを使えばグローバルで資金移動する時に手数料が殆どゼロで出来ますよ、とかね。そういうメリットがあるところを強調していかなきゃ。直接のメリットがないと、誰も使おうなんて思いませんよ。

なので、僕はまずは投機だとずっと言ってますし、投機でメジャーになっていくっていうのが正しい戦略だと思いますけどね。

――キラーアプリは投機だと。

まずは投機ですよ。FXです、FX。

「ニーズなんか、今はそんなにないですよ。」

――一般への普及を度外視した場合、投機以外のビジネスの参入機会もあると思います。FinTechのような融資や保険、送金といった分野では、ビットコインが活かせるビジネスがあるのではないでしょうか。例えば、今までもP2Pレンディングはあったと思いますが、これをブロックチェーンで出来る可能性もあるのではないかなと。

なんで?

――後進国では銀行口座を持っていない人がいて、そういう人たちに支援するのにビットコインは最適ではないかと考えていまして。

それはビットコインじゃなきゃ駄目なんですか?お金を集めるにせよ、ビットコインを持ってる人が全然いないじゃないですか。普通にドル建てでクラウドファンディングした方がいいんじゃないですか?

――銀行口座を持っていない人とか、あとは少額でいいから欲しいって人はいると思います。極論、1,000円でもいいって人はいると思うんです。

そういう人たちはそもそも、ビットコインを受け取るPCも持ってないでしょ。

そうやってビットコインを無理やり使おうとする考えはやめた方がいいですよ。先に問題があって、それを解決するのにビットコインが必要だから使うって考えなきゃ。

だからさっきだって、ビットコインに対する今のニーズは、儲けたい人がいるから投機手段にするとか。あるいは、中国人が、人民元建ての資産を違う通貨建て資産に変えたいとか。安い送金手数料で海外に送金したいとか。それくらいしかビットコインのニーズがないわけですよ、今は。

それに、海外送金にしても業者が間に噛むわけじゃないですか。今までの海外送金よりも安くできますよと。これだって取引所が色々なところにできて、現金に替えられるようになっているから出来るようになってるわけですよ。

――確かに、今ある材料だけを見るとニーズはそこにしかないですよね。ただ、そう考えるとその先にもニーズがないのではないかと思ってしまったのですが。

でも、ブロックチェーンを使ってるテクノロジーだったらFactomがあるじゃないですか。

――Factomは政府や企業のデータ管理システムとして優秀そうですよね。ただ、一般の人たちが使える仕組みではないような気がします。

だから、別に一般の人たちが使わなくちゃいけないわけじゃないでしょ。なんで一般の人たちに使わせたいの。

あんまり、今思いつくものでそんなに普及しそうなものって考えにくいですよ。実際。

――ただ、その可能性を提示していけば、誰かがそれを実現するかもしれないですよね。

違うよ。だから、いい?ブロックチェーンっていう便利な技術があります。それを何に使えますかって考え方でうまくいくわけがないんですよ。

社会の問題を解決しなきゃならない。これを、こうやって解決しなくちゃいけないよねっていう問題意識があって、そこにブロックチェーンが使えるねって考えるのが自然なんじゃないの?

――その通りだと思います。それでいうと、為替手数料の問題がある金融の分野で、リップルのゲートウェイはビジネスのひとつとして十分に検討出来るのではないかと思います。今は問題も多いですが。

それにしたって、そんなことしなくても出来ますよね。例えばタバコ屋さんでもなんでもいいんだけど、個人が取引所になれるようなシステムとか提供できるじゃないですか。

タブレットとかPCがあれば、そこに現金を持っていけばビットコインに変えられますよ、って。別に、ビットコインATMだっていらないじゃないですか。

――ATMもいらないですか。

いらないでしょ。そんな頻繁に使う利用者もいないんだし。

要は世界中にレジがあるわけでしょ。そこに取引システムは入ってるんだから、アプリでATMにしちゃえばいいじゃん。皆スマホを持ってるんだから、スマホをレジにもできるし、ATMにもできますよね。で、その裏にはBTCとドルとかを繋ぎこむサービスがあるんだから、別にRippleとか使わなくたって国際送金は出来るわけですよ。

アプリ使って、個人がうちでBTCで国際送金できますよって出来るわけじゃないですか。世界中にある程度の取引所があれば、それは出来るんですよ。

なんかさ、皆発想が貧困なんだよね。すげー発想が貧困だなーと思ってて。だから僕なんかは例えば、日本でビットコイン長者はできるはずがないからモナーコインを普及させた方がいいよって言ってるじゃないですか。多分、モナーコインとか、メディアに取り上げられたらまた爆騰すると思いますよ。

はっきり言っちゃうと人間ってみんな下世話だから、下世話なところからしか普及しないんですよ。

あなたみたいに、ビットコインに思い入れを持ってる人っていないわけですよ。皆どうでもいいわけ。99%以上の人はビットコインがどうなろうとどうでもいいんですよ。でも、ビットコインが儲かるよって言ったら、ワーッとくるわけです。

だから、例えばモナーコインを普及させて投機を促進させるってとこで、「モナーコインで儲かったぜ」って人が増えてくると、「え、仮想通貨って儲かるの?」って話になるわけですよ。

それくらいテクノロジーとは無縁な人達を相手にしないといけないんだからさ。まずはそこですよ。

ビットコイン信者は邪魔でしかない

あと、実はブロックチェーンってもう、裏で使われてるんですよ。デンマークの政府調達システムの裏で、実際にブロックチェーンが動いているんですよ。

――えっ!それは全く知りませんでした。

それを作ったのはクリスチャン・ラングっていうデンマーク人で、今はサンフランシスコでTradeShiftっていう電子請求書システムをやってて。彼がデンマークの政府調達システムを作ったんです。

ちょっと待って下さいね。僕が以前、彼にインタビューした記事がありますから。

“Lanng 2007年にデンマーク政府のために作ったシステム、トレードシフトの前身「イージートレード」は、発注、請求書などすべての取引をピアツーピアのブロックチェーンで記録していました。ビットコインと違い、ブロックチェーンは中央サーバーにあって政府が認証しています。でも全体的なモデルはビットコインとよく似ています。ビットコインのテクノロジーを様々な分野に使えば、それはビジネスの現場にとっても革命的だと思います。” ― (ホリエモンドットコム)

と、いうことです。

――かなり、衝撃です。既に政府のシステムに使われているんですね。

はい。だから、使えるところから使っていけばいいんですよ。

――では、シェアリングエコノミーのようなC2Cのエコシステムでは如何でしょうか。ビットコインのようにインターネット上で簡単に、低コストで個人間で送金できますという状況ができていますから、使えそうですよね。

それだって、別にビットコインである必要はないですよね。シェアエコノミーは今AirbnbやUberで実現されつつあるじゃないですか。そこに何故ビットコインが必要だと思うんですか?

――そういった決済はクレジットカードが主流だと思うんですが、受け取り側はかなり多くの手数料を今支払ってるじゃないですか。そこはビットコインでやったほうが、お得ですよね。

いや、手数料ゼロ円のサービスだって出てきてるじゃないですか、SPIKEとか。

――完全にゼロ円ではないですよね。売上が100万円超えたら、手数料は掛かってしまいますし。

もうちょっと考えましょうよ。タクシーの運転手が月100万円も一人で稼げますか?Airbnbのホストが家賃で100万稼ぎますか?

あなたちょっと、ビットコインにはまりすぎてて、発想がビットコイン原理主義者みたいになっちゃってますよ。ビットコインじゃなくちゃ駄目だ、ビットコインを使わないと、みたいな。無理やりビットコインに結びつけようとしてる。

そういう発想になったら、おかしな方向にしかいかないし、「何あいつ。あのビットコイン野郎、なんなの?」みたいに思われますよ、はっきり言って。そういう現実離れしたよくわからない話は、普及の邪魔にしかなってない。インターネットの黎明期の時にもいたんですよ。あなたみたいな人が。実際に普及させようとしてる人を馬鹿にしてるようにしか見えませんよ。

――はは・・・、すみません。

だから僕は投機だって言ってるし、Factomもいいんじゃないかって言ってますよね。Gemsとかもあるけどさ、駄目だと思う。

――あれも斬新だとは思いますが、駄目ですか。

あんまり良いイメージがないです。使ったらお金が貰えるメッセンジャーとか、なんかやらしいですよ。そういう風になるのは良くないと思う。

もっとさ、一般の人たちが何を考えているかって寄り添って考えましょうよ。明らかにビットコインだと便利だってところからやらないと、普及なんか無理ですよ。例えば国際送金はどう考えたって便利じゃないですか。だからそういうところで使われてるわけじゃないですか。

――そうですね。なんでもかんでもブロックチェーンに紐付けて考えているところはあるので、ちょっと考えなおしたいと思います。

なんか、そう考えると、もっと面白いものが生まれてくると思いますよ。

――確かに、現実的に考えれば投機が一番わかりやすいですし、直接的なメリットがありますよね。その他に、考えられそうなシナリオはないと。

ないですよ。今のところは。

あるとすれば、日本では違法ですけどオンラインカジノとかね。あれはビットコインでやれば凄く簡単だし、向いてると思いますよ。ゲーム毎に入金先のアドレスを表示してくれるとかになれば、かなり相性が良いですよ。ああいうのは。

――簡単で、儲かりそうだから。

そういうことです。

(取材・文 山崎大輔)


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この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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