LINEで送る
Pocket

本記事はユニオンスクエアベンチャーズに所属するJoel Monegro氏が執筆するシリーズ連載を、好意により承諾を得て翻訳したものです。Monegro氏は、2014年7月からUSVの投資部門に従事しており、コンピュータサイエンスとエコノミクスに造詣が深い人物です。

また、ブロックチェインアプリスタックにおける「共有データ層」とは何か(前編)を見ていない方は先に前編を見ることをおすすめします。

blockchain-image

オーバーレイ・ネットワーク

オーバーレイ・ネットワークは、ある種のファイル、データなどを保存する機能を追加することで、ビットコインのブロックチェインを拡張(あるいは補佐)するシステムです。ブロックチェインとともに、それらは共有データ層を形成します。

初めは、開発者はビットコインプロトコルをフォークし、いくつかの機能をサポートするために拡張し、別の暗号通貨(オルトコイン)とそのブロックチェインをリリースしていました。しかしながら、ビットコインのブロックチェインの上に構築するほうが、より多くの利点があることが次第に明らかとなりました。別々のブロックチェインの上に新しい暗号通貨を作成せず、ビットコインの上にネットワークを構築したほうが、ビットコインの持つ流動性とネットワーク効果の恩恵を得られるからです。

「オーバーレイ・ネットワーク」は、意図的に敢えて広範的な意味をもたせました。これらのシステムの殆どは未だ開発途上にあり、それぞれ非常に異なるアーキテクチャを有する運命にあります。それらが形成するものにかかわらず、データの検証や、絶対的なタイムスタンプ、インセンティブ・トークンのように使われるBTCのような目的のための手段を提供するビットコインのブロックチェインに接続されるすべてに共通するのは、分散的であり、誰からでもアクセス可能であるということです。

ビットコインのネットワークに便乗することは、独自のブロックチェインを持たずにプロトコル及び独自の通貨(Metacoinと呼ばれる)を開発するには効果的な方法です。CounterpartyMastercoinはふたつの既存の例です。Counterpartyプロトコルについて書かれたドキュメントでは、如何にしてビットコインに接続し動作しているかがとてもわかりやすく説明されています。本質的には、Counterpartyは独自のコイン(XCP)を持っているにもかかわらず、すべてのXCPの取引はビットコインのBTC取引によってバックアップされている独自のコインです。Mastercoinは、正確には同じではないですが、同じような方法で動作しています。

別のアプローチは、サイドチェインを使う方法です。Blockstreamは、これを実現するために開発を行っている企業です。基本的な考え方は、サイドチェインが、理論的には開発者の独自のブロックチェイン上にサイドコイン、あるいは特定の目的のための暗号通貨を作成出来るようにすることですが、これは、オルトコインとは異なり、ビットコインの流動性などの恩恵を受けることができ、ビットコインのブロックチェインと自身のブロックチェインの間で自由に転送が行うことを可能とします。

サイドチェインが成功するかどうかを判断するには時期尚早ではありますが、Blockstreamの2100万ドルのシードラウンドは、彼らに公平な成功の機会を与えました。もし興味を持ちもっと知りたい場合は、非常に技術的な説明ではありますが、システムの詳細を提供する彼らのホワイトペーパーを閲覧するといいでしょう。

オーバーレイ・ネットワークの最後の例は、Factomです。Factomは、リアルタイムで記録を大量にエンコードし監査するために使用することの出来る「ブロックチェインのためのデータ層」です。Factomは、どの時点にあっても大丈夫なよう定期的にハッシュ化され、ビットコインのブロックチェインに記録されたデータを格納するための分散的なハッシュテーブルを利用する独自ノードの独立したネットワークです。特定のアプリケーションを使いやすくするためのこのアプローチは異なる側面があり、それほど多くない用途のための機能を構築可能なオーバーレイ・ネットワークの偉大な例です。

これから豊富なオーバーレイ・ネットワークが出現し、そしてより洗練されたものが、今後数年の間に出てくるのではないかと思っています(個人的に見てみたいオーバーレイは、分散的なMongoDB互換のデータベースです)。これら異なる種類のオーバーレイ供給の豊富さは、開発者に極めて低コストで、彼らのアプリケーションのための安全かつ分散的なインフラストラクチャへの瞬時なアクセスを提供することでしょう。

 

個人データの所有権とセキュリティ

ブロックチェインスタックの背後にあるもっとも重要な概念は、個人データの所有権と、インターネットアプリケーションにおけるユーザーモデルの反転です。私たちはスタックを下から順番に見てこのテーマを掘り下げていますが、私は簡単に、不特定多数の数百万のコンピュータによって維持されているグローバルなデータベースとなっているものに、個人データ、機密データを格納することへの懸念について触れたいと思います。

単純に言えば、それは暗号化です。そう、Dropbox上に保存された情報は恐らく暗号化されていますが、Dropboxは暗号化鍵を保持し、あなたのファイルへのアクセス権を持っています。もしDropboxがハッキングされた場合、あなたのデータは危険にさらされるでしょう。

このスタックの下において、ユーザーデータモデルは反転しています。あなたのデータと鍵を保持するサードパーティの代わりに、ネットワークがあなたのデータと鍵を保持しています。あなたの権限なしに、誰もそのデータにはアクセスすることは出来ず、そしてあなたはあなたのデータのすべてのコントロール権を保持しています。アプリケーションはあなたのデータの上に表面的なインターフェースを構築するに過ぎず、一般的なプロトコルを通じて異なるアプリケーションが相互に作用するようになります。あなたがGmailからヤフーメールへと誰かへEメールを送信可能なように、あなたは同じアプリケーションを使わずとも、友達と相互にメッセージをポストしあうことが出来るようになるでしょう。

ユーザーはそんなに多くのコントロール権を持ちたくない、あるいは持つべきではないという意見もあるかもしれませんが、私はそれについて考えるべきもっと重要なポイントがあると考えています。これはユーザーがコントロール権を持つべきかどうかにかかわらず、むしろ、ユーザーがそうしたい場合に出来るかどうかということに尽きます。大半は、Coinbaseのような管理者へと秘密鍵を委託し、管理してもらうことを選択するでしょう。しかし、Coinbaseはあなたのリクエストに応じてあなたの秘密鍵を割譲し、あなたは他のサービスに移動、もしくはあなた自身のウォレットを作ることが出来ます。当然、あなたの残高はそのまま残ります。

私はビットコインを超え、他のインターネットサービスへとこのモデルが拡散していくことを心待ちにしています。

次回は、共有プロトコル層について話したいと思います。


私はこのシリーズにおいてたくさんのフィードバックを得ていることを、皆さんに感謝したいと思います。すべての人のコメントに対応することは出来ませんが、皆さんの質問は、間違いなく私たちのこの理論の形成の糧になっています。私たちは、このシリーズを通じて、ソフトウェアビジネスを形作るスタックが与える影響を追い求めたいと思います。

スタックの一番上の層、アプリケーション層は私が最も面白いと思う分野であり、説明する際にはいくつかの興味深いアプリケーションの具体例を見ていきます。私たちはまた、このスタックについての高いレベルの疑問について議論しますが、まずは誰もが、どのようにすべてのピースを組み合わせるかについての基本的な考え方をもっていることが重要だと考えています。

 



ユニオンスクエアベンチャーズのJoel Monegro氏による「The Blockchain Application Stack」についての連載記事はこちら!

第一回:ユニオンスクエアベンチャーズのJoel Monegroが語るビットコインの未来
第二回:ブロックチェインアプリスタックにおける共有データ層とは何か(前編)
第三回(今ココ):ブロックチェインアプリスタックにおける共有データ層とは何か(後編)

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
monacoin:MTn7hiNovBHyN7gjtvD1Hh7W96Zmghp41B
bitcoin:1NK8S4ep9ZUZ9H9AmTAfvrCVVAKLbpmi36