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シンガポールの情報通信メディア開発庁(IMDA)とアジアの大手銀行3行は、顧客のKYCデータをブロックチェーン上で共有化するためのプロトタイプを作成し、その実証実験を完了した。26日の共同会見で明らかにした。

KYC(Know Your Customer)とは、顧客の口座開設やクレジット申請などの際に金融機関が行う本人確認手順のことで、これまでは顧客が似たような書類を各金融機関に申請の度に提出しなくてはならず、紙媒体の郵送や確認作業などに時間と手間がかかっていた。

三菱東京UFJ、HSBC(香港)、OCBC(シンガポール)のアジア大手3行は、シンガポール政府のIMDAと協力し、顧客データをデジタル化しブロックチェーン上に体系立って記録、共有、更新するためのプロトタイプを作成した。銀行は顧客の承諾の元この分散型台帳にアクセスし、迅速に本人確認プロセスを完了できる。時間短縮や効率性が高まるだけでなく、監査や当局へも報告も簡素化できる。

ブロックチェーンでは、記録される個人データのセキュリティが大幅に向上することもメリットだ。折しも先月、信用情報を扱う大手Equifax社が、1.45億人分の顧客信用情報をハッキングによって流出させていたと報道された。さらに今月3日には、米ヤフーが全利用者30億アカウント分の個人情報を、同じくハッキングで漏洩させていたことが明らかとなっている。

KYC実証実験は今年2−5月に実施された。会見によると、結果は非常に良好で、大量のデータを安定してさばくことができ、外部からのサイバー攻撃にも耐えられたとのことだ。今後、さらに大規模の実験も検討されている。IMDAのトップ、タン・キアット・ホウ氏は次のように話した。

「IMDAは、企業革新や市民への価値提供のためテクノロジーを大胆に活用していきたい。我々の目指す『スマート国家』のダイナミックなデジタル経済を達成するためには、このような実験への意欲的な取り組みは欠かせない。ブロックチェーン技術を用いたKYCプロセスの一新はその一例だ。金融機関が商品の生産性向上と、より良い顧客体験の提供のために、革新的なフィンテック・ソリューションを開発していることは大きな励みとなる。」

ブロックチェーンを国家のあらゆるレベルに活用するという長期目標に、シンガポールはまた一歩近づいたようだ。


businesstimes.com.sg