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2015年、ビットコインのはじまりはBitstampのハッキング被害、CEX.ioやCoinTerra、ZeusHashなどいくつかのマイニング企業が経営存続の危機に陥るなど、悪いニュースが続いていた。一方で、Coinbaseは世界的な金融サービスであるBBVA、USAA、NYSEなどから出資を受けることに成功し、ビットコイン業界を牽引するものとしてその存在を誇示した。

ビットコインの悪いニュースが続く中で、何故金融業界のスペシャリストたちが投資を決断したのか」本稿ではその理由を分析してみたいと思う。

BBVAがビットコインに見出した可能性

Coinbaseが実施した7500万ドルの資金調達において、他の名だたるビッグネームの中でも特に関心を集めたのはBBVAベンチャーズ、スペインに本拠を置く多国籍銀行BBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)のベンチャー投資専門子会社の参加であろう。

BBVAが投資に参加したことにより、Coinbaseは彼らの銀行に口座を開き運用することとなるが、決してBBVAがビットコインの決済、預金を受け付けるという意味ではないようだ。BBVAベンチャーズのジェイ・リーンマン氏は、Coinbaseへの投資、そしてビットコインの価値について次のように述べている。

“ブロックチェインの技術は我々にとって重要なものとなる。技術を理解し、その技術で何が出来るのかを知りたい。”

また、CoinDeskのインタビューに対して次のように述べた。

“願わくば我々もビットコインに直接コミットしたいものだが、この試みについては、まず我々がビットコインを理解することを目的としている。[…]暗号通貨は金融サービスにおいて、とてつもなく巨大な混乱を引き起こす可能性がある。しかし、暗号通貨が広範に及ぶサービスへ適用できることは明らかだ。”

BBVAは金融に応用できるビットコインの基盤技術に興味がある。例えば、それはブロックチェインの透明性であり、分散的に自動執行されるスピード感のある取引であり、中央サーバーが存在しないことに起因する、取引額に関係なくタダに近い取引手数料である。これは、RippleがアメリカのCBWやCross River Bank、ドイツのFidorといった銀行に分散プロトコルの導入をしたように、金融分野へ応用可能なひとつの可能性である。

ネットワークの意識は刻一刻と変化していく

ビットコインの知名度はまだまだ高いとは言えず、現状においては数少ないアーリーアダプターたちに支えられている状態である。また、2014年初頭においては、ビットコインにとって重要なのは分散的に維持されているネットワークの価値であり、ゴールドと同様に発行体が存在せず、その希少性によって裏付けられた価格が重要であるというのが、ビットコインコミュニティ内過半数の見解であったように思う。

しかしながら、状況は少しずつ変化していくこととなる。

例えば、分散型の共有アプリケーションを推進するMaidSafeが9,800BTCのクラウドファンディングに成功し、若干19歳の天才Vitalik Buterinが分散的かつ自律的なデジタル契約(スマートコントラクト)を推進するEthereumを創業し、ブロックチェインの革命的な利用可能性を見出した。これらが起因となり、全体の意識は改革されていくことになる。コミュニティの関心は、筆者を含め、その希少性によって裏付けられた価格だけでなく、基盤技術である公開帳簿「ブロックチェイン」の技術へと移っていった。

 

ビットコインが目指すもの、ブロックチェインが変えるもの

通貨として

ビットコインは、あくまでもサトシナカモトが提唱するようにP2Pデジタルマネーシステムというコンセプトが守られている。すなわち、ビットコインは取引をまとめたブロックの連なり「ブロックチェイン」に基づいた透明性と非可逆性が担保された、非政府通貨である。

これはビットコインのひとつの形であり、ビットコインが目指すひとつの目標だ。しかし、その特性は少なくとも、既存の経済構造と真っ向から対立する思想であるため反発も大きく、簡単に受け入れられるようなことはないだろう。

決済ネットワークとして

次に、ビットコインは決済の分野で大きな効力を発揮しつつある。インターネット決済といえばクレジットカードが主流だが、クレジットカードのネットワークを利用するにはアクワイアラー、イシュアー、ブランドなど複数の機関それぞれに手数料を支払う必要があった。

ビットコインにおいては、加盟店はビットコインを直接受け取る場合必要な手数料はビットコインのマイナーに支払う数円(0.0001~0.0003BTC)だけでいい。また、加盟店がビットコイン決済を導入するにあたり円やドルで支払いを受け取りたい場合は、ビットコイン決済代行サービスを利用し、クレジットカードを利用するよりもずっと安い1%以下の手数料だけが必要となる。

決済の分野では既にその存在を大きくしつつあり、Microsoft、DELL、DISH Network、Expedia、Overstock、wordpressなど有名企業が続々と導入している。

まったく新しい価値を創造し得るものとして

また、投資家の目線、そしてエンジニアの目線において最も関心を集め、将来的に有望とされているのは暗号通貨2.0の分野だ。CES2015でIBMがスマートコントラクトを活用したADEPT(自律分散型P2P通信プロセス)のコンセプトを発表したのは記憶に新しい。暗号通貨2.0の分野ではEthereum、Codius、Blockstream、Counterparty、Factom、MaidSafe、Storj、Gemsなど挙げればキリがないほど多くの企業が革新的なサービスを携え、積極的に取り組んでいる。(個人的に最も注目しているのは、Blockstreamのサイドチェインだ。)

リード・ホフマンが述べたように、ビットコインは経済のエコシステムを変えうる可能性があり、未来永劫にわたる莫大な価値を創造しうる技術である。しかしながら、暗号通貨2.0を理解するにはビットコインだけでなく、ブロックチェインへの技術的理解も多少必要だろう。


ビットコイン業界を取り巻く環境は、2014年の間に著しい変化を遂げた。2014年に行われた投資は累計330Mドルに達し、Q4においては110Mドルという、四半期ごとでは過去最大の資金調達額となった。そして、2015年に入りCoinbaseが単体で75Mドルというメガファンドを実行し、今後更なる投資熱の加速をこの目で見ることができるだろう。

金融のスペシャリストたちがビットコインの技術に注目するのは、筆者からしてみれば当然のことである。ブロックチェインの技術はこれまでになかった「信用のいらない信用ネットワーク」によってインターネット上での正確な意思の疎通を可能にした。ここから誕生する「新しい価値」「新しい可能性」は、正直なところ筆者にもまったく想像できない世界ではあるが、むしろ何もわからないからこそ、突き進む価値があるのではないだろうか。

未知の世界が、もしかすると小さい頃に夢見た未来が、ブロックチェインの先には確かに存在するのだ。

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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