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Xapoの共同創業者兼CEOであるヴェンセス・カサーレス氏が米ビジネスインサイダーのインタビューを受け、ビットコインに貨幣として絶大な可能性を見出し、ビットコインに何を求めているのかを語った。本記事では彼が何を考え、ビットコインが普及した世界がどのような変革が起こるのかについて紹介したい。

カサーレス氏はアルゼンチンで初めてインターネット・プロバイダを創業し、2000年(当時25歳)に7億5000万ドルでバンコ・サンタンデール(プライベートバンク)に売却し、その後もモバイル決済プラットフォームBling NationおよびLemon Walletを2013年に売却した連続起業家だ。

彼が新たにビットコインの銀行として2012年に創業したXapoは、軍用グレードのサーバーに秘密鍵を保持し、衛星通信を用いて管理するという幾層にも張り巡らされた厳重なセキュリティを誇るビットコインウォレットサービスだ。2014年にはリード・ホフマンがパートナーとなっているグレイロック・パートナーズ、インデックス・ベンチャーズ、ベンチマークキャピタル、リビットキャピタルなどから2度のシリーズAを経て4000万ドルの資金調達を実施している。

 

“ビットコインは恐らく、人類史上最も優れた貨幣です。”

カサーレス氏はまず、貨幣というものがどのように人類の歴史上に発生したのかについて説明した。

一般的に、貨幣は物々交換におけるモノのサイズや重量がネックとなっていたことから、聡明な人物によって軽くて持ち運びやすい交換媒体として発明されたと言われている。しかし、彼は歴史を紐解き、それが真実ではないと主張する。

曰く、貨幣の歴史はすべて元帳の発明にあるという。人類史上、最も原始的な取引は「脳内の元帳」で管理する物々交換だ。やがて、商取引が活性化してくると脳内の元帳だけでは管理しきれなくなったため、元帳を物理的なモノに依存するようになった。それはその場所で一定の価値があり、ある程度の希少性を保つ球根など、地域によって異なった。

2万5000年前から5000年前まではこの仕組みでうまく動いたが、生活拠点が広がり、商取引がより活発になってくると、地域ごとに価値の尺度は違うため扱う交換媒体物が増えてくる。こうなると、取引元帳はまた複雑になり、経理のような作業を行っていた人物は頭を悩ませたことだろう。

ここから世界全体において一定の価値があり、希少性が担保された交換媒体物として金(ゴールド)が猛威をふるい、また、利便性と経済効果を追求した兌換通貨、さらには価値をコントロールしやすい不換紙幣が発明されたが、つまるところお金の形という点については、誰もが認識しており、良い取引元帳であるということだ。

カサーレス氏は、金が5000年の間良い取引元帳として支持され続けてきた理由として6つの要素があるという。それは希少性があること分割可能であること持ち運べること劣化しないこと見分けが付くこと、そして代替可能であることである。

この点については、東京ビットコインミートアップを主催するken shishido氏も言及しているため、併せて読み理解を深めたい。

カサーレス氏は語る。

“それらはお金を稼ぐための6つの要素です。だから金は世界万物の元帳であり、5000年の間最高のお金の形として在り続けています。金に価値があるということではありません。英ポンドや、米ドル、土地は本質的には希少性すらありません。また、人々は金に本質的な価値があるという穿った認識をしています。しかし、その唯一の価値は希少性があるという点のみです。ビットコインは金のように本質的価値を持っていませんが、他の5つの要素については金よりも遥かに優れています。”

金は希少性、劣化しない資産という点で、他のどの資源よりも優れているということは言うまでもなく歴史が証明している。ビットコインも金を目指してプログラム的に希少性を保証したシステムとなっているが、歴史が浅く、見た目の美しさや、高電気伝導率の工業部品として活用される金と同じような本質的価値があるものであるとは言い難いところだ。

 

金よりも、不換紙幣よりも優れているビットコイン

上述した6つの要素のうち、ビットコインは本質的価値という点では金ほどの信用はないにしても、他の5つの要素(分割可能、運搬可能、非劣化、識別可能、代替可能)においては現代で当たり前のように使用されているさまざまなお金を遥かに上回る機能を有している。

ビットコインは2100万枚という発行上限を設けているが、小数点以下で分割することが出来るため、利用人口に応じて無限にスケールすることができる。これは、政府が紙幣を刷ることで経済をスケールさせる方法を取っていることに比べ対照的だ。(どちらが良い方法であるかは大いに議論の余地があるでしょう。)

 

ビットコインにより、リープ・フロッグを迎えた

リープ・フロッグとは、通常のプロセスを飛び越し、一気に最先端へと進展することである。ビットコインの誕生により、銀行やビザ、マスターカード、ペイパルなどの中央管理システムを介さずに、誰でも、どんな場所にでもリアルタイムでお金を送ることを可能とした。これは金と比較し、運搬の利便性、代替性を第三者を介さず解決したとてつもない革命であるとカサーレス氏は語る。

すなわち、50億人のアンバンクド(unbanked:銀行口座を持たない人々)にとってはビットコインが革新的な金融インフラとなり、ビットコインによって彼らにリープ・フロッグが発生し、コストを掛けずに先進国と同じ生活環境を構築出来るようになるのだ。

 

“あなたのためじゃない。彼らのためのお金だ。”

今日の通貨制度には問題があります。それは、高コストであることです。」と、カサーレス氏は語る。後進国の人々にとって資金の移動に数パーセント、あるいは数ドルという取引コストは大きな負担となる。彼らが先進国の人々に追い付くためには、既に構築された金融インフラのコストは負担が大きすぎるため、成長を阻害する要因であると同氏は主張する。

そしてビットコインは彼らアンバンクドの現金主義、すなわち閉じた経済圏にとどまっている現状に変化を与え、世界経済へのアクセスする手段を与えうる可能性があると述べた。

カサーレス氏がXapoを創業した理由は、後進国の人々のためのスイス銀行になることであるという。彼らにビットコインを与え、伝統的な銀行システムのしがらみから開放することで世界は間違いなく変革することだろう。同氏は、この革新には早くても10年、平均的には20年掛かると考えており、時間が掛かり、先の見えにくい一大プロジェクトである。しかしながら、彼のビジョンが、このような未来がとても魅力的に見えるのは私だけだろうか。先進国においては、動画や記事、広告などのペイウォールとしての利用可能性はもちろんのこと、スマートコントラクトやスマートプロパティなど、まったく新しい概念としてビットコインの技術が活用されていくことだろう。

カサーレス氏は、2015年内にビットコインユーザーが今の5倍、5000万人にまで増加するだろうと予測した。

この記事を書いた人

ざきやま(山崎大輔)
ざきやま(山崎大輔)from Cryptocurrency world
ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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