2018.08.07 (Tue) news

仮想通貨ローンの台頭とクレジットリスク

ICO配当型や分散型まで、仮想通貨の世界にローンが台頭しはじめた。

スイス・キアッソに本拠を構えるETHLendは、スマートコントラクトを活用した仮想通貨の即時融資サービスを提供している。利用者はERC20トークンなどを担保に、別の仮想通貨の融資をインスタントに受けることができる。

こうしたサービスは、トレーダーにとって利便性が高い。たとえばトレーダーがイーサリアムの値下がりを確信しているならば、保有しているビットコインを担保にイーサリアムを借り入れ売却し、値下がりの後に買い戻すことでその差益を得られる。

類似サービスには、古くは「Bitfinex」や「Poloniex」などの取引所が信用取引サービスの一環で提供していたものから、仮想通貨のP2P融資として登場した「Bitbond」、「BTCJam(閉鎖)」、「loanbase」などがあった。最近では、米ドルやユーロ、USDTを受け取ることができる「Nexo」というサービスも登場している。

ETHLendはプロダクトが完成し、すでに稼働をはじめていることから一躍脚光を浴びた。プラットフォームの独自トークンである「LEND」を担保等に使用すると、手数料が安くなるほか、ETHLendの収益の20%が配当として拠出されるなどの特典が付加されている。

同じくスイス・ツークに本拠を構えるNexoは、独自の仮想通貨「NEXO Dividend Token」のクラウドセールを今年のはじめに実行していた。Nexoでは中央集権機関がいる代わりに、仮想通貨を担保に法定通貨を受け取れる点でETHLendと異なる。その一方で、トークンはやはり、利用すると利息が半額になるほか、Nexoの収益の30%が配当されるといった特徴は変わらない。

分散型融資では本人確認ができないため、担保となる仮想通貨に市場リスクを織り込んだ金額以上の貸出を行うことはできない。回収できない仮想通貨が、担保を上回ると貸し手の損失となるからだ。Bitbondの調べによれば、同プラットフォーム内での貸し倒れ率は30%を超えており、通常の融資よりもハイリスクであることは間違いなさそうだ。

現物主義の仮想通貨経済に信用創造の機能が付加されるであろうことは誰もが予想していただろう。その一方で、急激に成長する市場と危うさのある信用創造機能が組み合わされることのリスクもある。

こうした融資サービスが広まることで、利用者からすれば機動的な資産の転用が可能になる一方で、うまくその波に乗り、借り換えを繰り返す利用者が出現すると、仮想通貨取引所のみに留まらず、既存の金融資本市場にまでそのクレジットリスクが波及する可能性もゼロではない。未収金リスクを織り込めるようになれば、レバレッジを効かせた、担保以上の融資も可能になるからだ。利用者はより利便性の高いサービスを求めるため、こうしたプラットフォームが登場するのも時間の問題だ。

市場全体が総じて上昇傾向にある場合には、大きな問題にはならない。信用は膨張し続けるため、内在するリスクは徐々に大きくなっていく。昨年のような急騰がふたたび起こり、それが停滞した時。市場に何が起こり、我々は何をしなければならないのかを、今の時点から考えておくべきだろう。


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