2018.05.14 (Mon) news

仮想通貨による所得と担税力

Written by 氷犬

こんにちは、氷犬(@icedog_410)です。

2017年、仮想通貨市場の時価総額は大きく伸びました。あのバブルのような高騰によって大きな利益を上げた方は多いことでしょう。

仮想通貨による所得は雑所得となり、総合課税の累進税率の適用によって、所得税率が最大45%になります。住民税の税率は10%程度であるため、2つを合わせると55%。巨額の利益を上げれば、それだけ大きな税負担を強いられることになります。

担税力という言葉を聞いたことはありますか?これは簡単に言うと税金を負担する能力のことで、一緒の専門用語です。今回は、担税力という概念と仮想通貨による所得の関係について考えてみます。

担税力はどのように測られるか

一個人のお金の流れを考えたとき、お金は入ってくるか、出ていくかしかありません。収入と支出だけでお金の流れは説明することができます。収入が支出を上回れば余った分はプラスの資産となりますし、逆に支出が収入を上回るのであればマイナスの資産、負債が発生します。

つまり、一個人のお金の流れは次のように表すことができます。

個人の担税力は、収入(所得)・支出(消費)・資産の3つの要素で測ることができます。

担税力の指標を収入としたものが所得税、支出としたものが消費税、資産としたものが資産税(相続税と贈与税)です。 GDP の三面等価の原則と考え方は似ています。収入・資産・支出の3つの指標によって、一個人がどの程度の経済的価値を有しているか、あるいは有していたかがわかります。特に収入=所得は個人の担税力を把握する上で最も重要な指標です。

所得による担税力の測り方は2種類あります。

①所得の大きさ

日本の所得税法は、所得が多いほど税率が上がっていく累進税率制度を導入しています。

所得が多ければ多いほど、所得に占める基本的な生活費の割合は減り、自由に使えるお金が増えます。自由に使える余剰所得が増えれば増えるほど、担税力は上がっていくだろうという考え方です。

例えば、1年の所得が300万円の人と1,000万円の人では、所得のうち、家賃や食費、水道光熱費などが占める割合は異なります。当然、所得が1000万の人の方が担税力が高くなります。

②所得の性質・発生原因

一口に所得といっても、性質や発生原因はそれぞれ異なります。所得税法では、所得をその性質や発生原因によって10種類に区分しています。不動産、事業、給与及び雑所得などです。所得の発生原因として考えられるのは主に3パターンです。

  1. 労働所得:給料や報酬など労働の対価として受け取るもの
  2. 資産所得:不動産の賃貸収入や、金融資産の運用によって得る利益
  3. 無償で得る所得:贈与は相続など他人から無償で得るもの

ここでは、労働所得と資産所得の性質の違いについて取り上げます。

労働所得・資産所得について

労働所得は、自分の身体や能力、時間などを資本として得られるものです。経費がかかることもありますが、仮に金銭的な元手がなかったとしても所得を得られることが特徴です。

一方、資産所得は資産をある程度保有していないと得ることができません。

例えば、不動産の賃貸収入を得るためには、当然不動産を保有していなければなりませんし、株式や仮想通貨によってキャピタルゲインを得るためには、まず株式や仮想通貨を保有することが必要です。元となる資産を保有するためには、労働によって得た所得を投下するか、誰かから譲り受けるしかありません。仮想通貨を知るまで投資経験がなかった方は、基本的に会社から受ける給与などを仮想通貨に投下しているのではないでしょうか。

労働所得と資産所得の大きな違いは、「元手を必要とするかどうか」です。労働によってゼロから1万円を得た場合と、資産運用によって1万円を2万円にした場合を比べると、発生した所得は同じ1万円です。しかし、その1万円に対して同じ20%の税率を適用した際に、手元に残るのはそれぞれ8,000円と18,000円で、後者の方が経済的余裕のあることがわかります。

結果として、「資産所得は労働所得よりも担税力が高い」といえます。

仮想通貨による所得の担税力

ここまでの内容を踏まえると、仮想通貨による所得の担税力はどのように考えることができるでしょうか。

結論から言うと、仮想通貨による所得は「資産性の所得であるため、担税力が高い」ということができます。しかし、2018年の確定申告期において、「仮想通貨は価値の変動が大きいから担税力が低い」という意見がいくつか見られました。仮に仮想通貨のトレードによって、1,000万円の利益を挙げたとしても、納税するまでに500万円になっていることもありえるから、ということでした。

これは担税力の問題ではなく、仮想通貨自体のボラティリティの高さ、価格が安定しないことが問題なのです。会計的な考え方をすると、所得は「その時点で保有している資産の評価額」ではなく、「最後に取引履歴(帳簿)が更新された後の帳簿価額」で考えます。

たとえば、最後にトレードした時には利益が100万円あったが、暴落して10万円になったとしても、新たにトレードをして記録を更新しない限り、利益は100万円ある状態とみなされてしまいます。1年間の個人の所得は12月31日をもって確定するため、理想をいえば、納税資金は1月の早い段階で確保しておく方がよいでしょう。ただし、納税が終わるまでは資金がロックされてしまいますので、リスクをとってその資金を再投下することもあるかもしれません。

資金を再投下した結果、納税資金が目減りすることもありますが、それは各自の責任というほかないでしょう。

税制を理解するための環境作りが重要

平成29年分の確定申告期を終え、仮想通貨税制の様々な問題が浮き彫りとなりました。

税制に関しては、制度を作る側、税務サービスを提供する側がどのように取り組んでいくかが非常に重要ですが、一方で、税金を納める側、仮想通貨のユーザーが関心を持つことも大事なのかなと私は考えています。しかし、現状では仮想通貨に関わる税制をわかりやすく詳細に解説しているメディアはないと言っても過言ではありません。

税制改正を望む声は大きいですが、既存の税制の仕組みに向き合うための環境作りも重要なのではないでしょうか。


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