2018.03.27 (Tue) news

BitmainのASICに対抗、モネロが緊急ハードフォーク

Written by 真田雅幸

仮想通貨のマイニング機器を開発するBitmainが、モネロ(XMR)のマイング用ASIC「AntminerX3」を発売した。マイナーの寡占化を防ぎたいモネロのコミュニティは、ASICの対応策として4月6日に緊急のハードフォークを行うことを発表した。マイニングアルゴリズムを変更することで、AntminerX3を無力化する狙いだ。

ASICは Application Specific Integrated Circuitの略で、特定の作業をするために開発されたチップをマイニングに使うことで、効率よく仮想通貨を掘ることができる。ASICの開発には大量の資金が必要であるためマイニング機器を提供する企業は、ネットワークへの影響度が高くなる傾向がある。

モネロは、通常GPU(Graphics Processing Unit)を使ってマイニングされるため、ASICと比べ作業効率が落ちる一方、マイナーの寡占化を防ぐことができる。特定のマイナーが大きな影響力を持つことができないモネロのネットワークは、DoSアタックや51%アタックのような障害への耐性が高いと考えられている。

モネロはネットワークにASIC耐性を持たせるために毎年2回、マイニングアルゴリズムの変更を行っている。ASICは、特定の作業をするための専用チップであるためマイニングアルゴリズムが変更されると、マイニングを行うことができなくなる。

モネロのコミュニティは、マイナーの寡占がネットワークの中央集権化を招き、非中央集権性が必要な仮想通貨としての価値が損なわれる危険性があると主張している。

モネロのコア開発者であるFluffypony(Riccard Spagni)氏は、今回の緊急ハードフォークについて「私は、出来る限りを尽くしモネロのネットワークの中央集権化を防ぐ」と述べている。

ASICは、多くのハッシュレートをネットワークに供給することができるため、マイナーが正当に作業を行えばネットワークのセキュリティ強化にも繋がる。ビットコインのネットワークでは、ASICを使ったマイ二ングが主流であるため、Bitmainのようなマイナーが大きな影響力を持つ。ビットコインでは、ブロックサイズを小さくすることで、ユーザーが立ち上げるノードに係るコストを減らし、マイナーのネットワークに対する影響力を下げる対策を講じている。

多くのユーザーがノードを立ち上げることで、マイニングされたブロックに詰められた取引の正当性を、それぞれのユーザーが独自に検証することができるため、マイナーの寡占が大きな問題とはなっていない。

ASICがマイニングの主要機器となれば、最も高性能のASICを提供できる企業に資本が集中するようになり、ネットワークの依存度は高くなる。特定の企業への依存度が高い仮想通貨は、政府などからの介入を受けやすくなる。政府が企業に対し規制を課すことが容易になれば、仮想通貨の非中央集権性は失われる。

特定のマイナーのネットワークに対する影響力が高くなると、ネットワークの遅延を意図的に引き起こすことが可能になる。Fluffypony氏は、昨年末ビットコインの未署名取引が保存されているMempoolに多くの取引が溜まっていたことについて、Bitmainが原因の一つであるとみている。

Bitmainが管理するマイニングプールは、取引データがほとんど含まれていない空のブロックを掘っていたからだ。Mempoolに未署名取引が大量に溜まることにより、取引手数料は大幅に上昇した。またBitmainはビットコインキャッシュ(BCH)のプロモーションも行っているため、ビットコインのネットワークを停滞させ、ユーザーを奪い取るインセンティブが存在した。

モネロのネットワークでは、マイニング作業にGPUを使わなければならないため、マイナーが寡占化する可能性が低い。GPUでのマイニングは、個人のパソコンでも行うことができるため、収益目的だけではなく趣味でマイニングを行うユーザーも存在する。またウェブサイトにマイニング用スクリプトを組み込み、サイトを訪れたユーザーにマイニングさせる事もできる。モネロのコミュニティは今後も、ASIC耐性を強化するためのマイニングアルゴリズムに関する研究を進めていく。


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