2017.12.01 (Fri) news

シンガポールのデジタル法定通貨プロジェクト、開発第2フェーズを無事完了

Written by 石山 武

シンガポールの中銀である金融管理局(MAS)は、分散型台帳技術(DLT)や自国通貨トークンを用いた銀行間の大口資金即時送金システム「プロジェクト・ウビン」の開発を昨年から進めている。最近、第2フェーズを成功裏に終了し、64ページにわたる詳細な報告書を14日に公表した。

「プロジェクト・ウビン」には、メリルリンチ、JPモルガン、三菱東京UFJなど同国内に支店を持つ大手銀行11行などが参加している。第1フェーズは昨年11−12月に実施され、自国通貨シンガポール・ドルを、イーサリアムベースのブロックチェーンQuorum上でトークン化することに成功した。

今回の第2フェーズは今年7月から13週にわたって行われ、中銀が運用する即時グロス決済システム(RTGS)にDLTを実際に適用した際の問題点を探った。特に、取引のプライバシーが保護され、非中央集権下での流動性節約メカニズム(LSM)が機能するかどうかが焦点であった。

プラットフォームとしては、R3のCorda、LinuxのHyperledger Fabric、JPモルガンのQuorumの3種のプロトタイプを採用。資金移動、待機メカニズム、グリッドロック解消などRTGSの基本機能や、プライバシーやスケーラビリティなどが検証された。3種のプラットフォームは、個々にデザインやソリューションが異なるものの、いずれも満足いく結果を残したという。

結論として、DLTによって、既存の中央集権システムの弱点が克服され、かつ暗号技術による安全性や耐偽造性などのメリットが享受できることが確認された。さらに報告書には次のように記載されている。

「つまり、プロセスやデータがDLTネットワークの参加者内で分散されるため、中央の金融インフラ運営者が不要となる。DLTベースのRTGSシステムでは、日々のコストや人材を削減でき、金融システム全体の中で中銀が単一障害点になることも回避できる」

中銀の役割の大部分は必要なくなり、将来的には、検証ノードの監督や争議への介入などに限定されるだろうとのことだ。

今後であるが、第3フェーズの実施が見込まれている。詳細はまだ不明なものの、同国の証券取引所が主導してDLTを同国債券に適用したり、今回までの知見を踏まえDLTを国際送金へ展開したり等が予定されているようだ。

法定暗号通貨を開発中の国々には、イギリス、カナダ、エストニア、ロシアなどのように、進捗が止まったり思わしくない国も多いのだが、シンガポールは、実現への道のりを順調に邁進しているようである。


MAS
coindesk


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