2018.09.27 (Thu) column

中国「ICO禁止」は詐欺の抑止力にならず 規制回避が横行する中、如何にルールを作るべきか

中国人民銀行(PBoC)は最近、ICOおよび仮想通貨の取引状況に関するレポートを発表した。PBoCは仮想通貨が違法な資金調達手段に用いられているとし、昨年9月、仮想通貨の取引所取引およびICOの禁止を発令した。

当局の継続的なモニタリングによって、ICOによる資金調達は息を潜めた。今年7月には、中国の取引シェアは世界全体で1%まで減少したと報告されている。PBoCの調べによれば、主要な仮想通貨の価格は12月から1月にかけての最高値から70%減少したとのことだ。

しかしながら、ICOの禁止により主要な資金流入経路が絶たれたのにもかかわらず、PBoCによれば、ICOに対する投資は継続して行われているという。調べによれば、国外のファウンデーションを旗印に、いまだICOに対する注目は継続している。これらのICOは国外の隠れ蓑を利用し当局の監督を回避し、また投資家を欺くためにブロックチェーン・プロジェクトを立ち上げ、資金調達を行っているという。そして熱心な中国の投資家は、ICOの禁止後も仮想通貨に難なく投資を続けている。

中国国内ではAlipayやWeChat、銀行送金を通じた店頭取引が主流で、CoinColaなどのプラットフォームが使われているという。投資家は一度ビットコインを手に入れれば、あとは自由にICOに投資できる。業界関係者は、タオバオで買い物するかのような簡単さで仮想通貨を売買できるため、中国国内の投資家にとってもハードルは極めて小さいとのことだ。

さらに手口は巧妙化しており、ICOプラットフォームは投資家を欺き資金をだまし取る「割韭菜」(投資資金をだまし取るという意味)として、独自のメディアを立ち上げて投資家を煽っている。ブロックチェーン・プロジェクトは揶揄する意図をもって「腰斩」(投資家の資金を半分奪うという意味)と呼ばれ、「割韭菜」と「腰斩」が手を組む、投資家にとっては悪夢のような光景が繰り広げられている。ブロックチェーン・プロジェクトはICOプラットフォームが立ち上げたメディアを通じて、動画インタビュー1分あたり10万円を支払い、また広告記事を掲載するために1000万円を支払っている。業界関係者は、「プラットフォームは中国当局の規制ポリシーに違反してはいない。そして店頭取引が禁じられていないため、投資家は自由にICOトークンに投資できる」と話す。

新華通信社のレポーターが調査するところによれば、監視強化の後、中国国内の投資家は海外の取引所を使って仮想通貨への投資を継続しているようだ。事実、かつて中国にあった取引所はすべて海外に拠点を移し、一部はマルタのような仮想通貨やICOに寛容な国を選んだ。こうした取引所は英語のページも用意しているが、主な顧客層は依然として中国人である。カスタマーサポートも、表向きは英語圏の顧客をターゲットにしているように見えるが、これも規制当局の目を逸らすためのもの。中国語圏の顧客のコミュニケーション手段は公式サイトで提供せず、テレグラムを使っている。海外に拠点を移した取引所の顧客の8割が中国人だとも言われる。

こうして作られた中国の「規制回避エコシステム」の内情はどのようになっているのか。

まず、ブロックチェーン・プロジェクトは国外に「財団」を設立し、中国国内の投資家を主な対象として宣伝が行われる。ホワイトペーパーは「タオバオ」で40,000人民元で売られる。プロジェクトの主な推進者に中国人の「顔」が使われることは決してない。実際の実行者は表に出てこないため、ひとつのグループが別の「顔」を使い複数のプロジェクトを立ち上げることはよくある。このようなプロジェクトは取引所と共同で進められており、調査機関Block rhythmの統計データによれば、これらの取引所では264種のコインに重複がみられ、中国人向けに行われたICOの数と一致するという。264種のコインの価格を追ってみると、昨年から98.8%の価格下落に見舞われているとレポーターは報告した。

「投資家の中には、ICOに投資するためにローンを借りた者もいた」と、自らもICOの投資家であるLiu Peng氏は話す。「店頭取引で仮想通貨を購入し、ICOに投資した後、その投資家は2度、腰斩に引っかかり、資産の90%を失った」

「仮想通貨の規制強化は一国で行っても効果がない」と話すのは、中国人民大学国際通貨研究所のLi Honghan研究員だ。通常、ICOの実施を禁じても、個人の投資家がICOに資金を投じることは禁じられない。悪さをはたらく者は、「国内」でできなければ規制当局の手が届かない「海外」からその手をのばすのみだ。かのF.A.ハイエクは、通貨において正常な競争原理が働く環境においては「良貨が悪貨を駆逐する」と言った。本当に必要なのは、「良いもの」が「悪いもの」を駆逐するように、自浄作用がはたらくエコシステムを構築していくことではないか。


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