2018.10.05 (Fri) news

「Gram」はリリースされるのか? ロシア「Telegram」社の仮想通貨が2018年最も議論されたプロジェクトの1つになったその理由

ブロックチェーン・プラットフォーム「Telegram Open Network(TON)」は、2018年の最も重要なプロジェクトの1つとして呼ばれるに値する。「TON」の「選ばれた」投資家に限定されたICO(Initial Coin Offering)、「Gram」の商標に関する数々のスキャンダル、ドゥロヴ兄弟が自分達の大切なプロジェクトに関して言及するのを好まないことなどは、すべて、同社への関心を高めると同時に、この加熱状況を利用した詐欺を行う機会を詐欺師に与えている。

分散型である「TON」プラットフォームと仮想通貨「Gram」を中心に発展した状況をより詳しく見てみよう。

仮想通貨「Gram」とは

ニコライ・ドゥロヴ氏が署名し、プロジェクト「TON」を説明した昨年12月のドキュメントにて、Telegram Open Networkは、マイクロペイメント(少額の決済)とオフチェーン取引(ブロックチェーン外で行う送金や取引を行うもの)の仮想通貨「Gram」を使っての処理を特に目的とした「スーパーサーバー」として位置づけられていた。そして、これは開発者計画における氷山の一角にしかすぎない。

同書によると、仮想通貨「Gram」は、取引処理とスマートコントラクトのための商品、サービスおよび手数料(ガス)の支払いに使用される予定である。同通貨はブロック検証の権利を与える預金の実施、そしてブロックチェーン「TON」でのデータ保管に対する報酬にて必要となり、ネットワークプロトコルのパラメータの変更または維持に関する投票権も付与する。
また、支払手段としての「Gram」は「TON」ブロックチェーンソリューションでのドメイン登録とホスティング、IPアドレスを隠すこと、そして、インターネットプロバイダによる検閲の回避を可能とする。

「Gram」の最初の放出量は50億トークン。プロジェクトの初期段階では同通貨の52%は「TON」のストックに投機からの保護のため残し、44%は販売され、残りの4%は開発者チームが受け取る。

「Gram」はより小さい単位(ナノグラム、マイクログラム、ミリグラム、キログラム、メガグラム、ギガグラム)に分割されると想定されている。

前述のドキュメントによると、「より小さい単位が必要となれば、2〜16ナノグラムに等しい「Speck」という、より小さなユニットを使用する予定である。 たとえば「Specks」にてガスの支払いが出来る。

「ICO TON」期間の販売は、米ドルと引き換えに仮想通貨への権利移転を含むSAFT(未来のトークンのための簡易契約)に従って行われた。同権利は、ブロックチェーン「TON」の開発バージョンのリリース後に1:1の比率で「Gram」に変換される。

「Telegram」vs「Lantah」(異名:「Gram」を賭けた戦い)

2018年5月、「Telegram Group」と米国のベンチャー企業「Lantah」との間で両社がお気に入りの「Gram」という名を商標とする場合の所有権に関する訴訟が開始した。これまでのところ、米国カリフォルニア州地方裁判所は最終判決を下していないが、現時点では、「Telegram」社が優勢な状況である。

「Telegram」社の言い分

「Telegram」社側は「Gram」の商標に関して優先権を有すると確信しており、その背景にある主な論点は次のとおり:限定ICOの第1および第2ラウンドにて同社は「Gram」と呼ばれる仮想通貨の購入に関する契約を締結した175名の投資家からの17億ドルの資金調達に成功した。これは、米国の証券取引委員会(SEC)に提出された書類によって証明されており、さらに、「Coindesk」によると、これら投資家は「Gram」の購入、販売および使用に伴うリスクに関する覚書を受け取っていた。

「Telegram」社の訴訟内容によると、「Gram」購入契約は、ネットワークの立ち上げ当日に「Telegram」社が仮想通貨を発行する約束と引き換えに投資家からの即時支払いを定めている。同社は商標の「使用」への準備以上のことをやってきている、との主張だ。

キーとなる議論のほかには重要性が低い理由も出されており、例えば、同訴訟にて直近では「弊社の広範なキャンペーンとは異なり、相手方(「Lantah」社)は、「Gram」関連プロジェクトの開発に同レベルの時間、エネルギーおよびリソースを費やしたという証拠を提示していない」と「Telegram」社は述べている。

「Lantah」社の言い分

「TON」プロジェクトがまだ知られていなかった2017年9月に、「Lantah」社のダニエル・ジェフリーCEO(23歳)は、「Gram」と呼ばれる仮想通貨の将来的な放出とICO実施の意向を発表していた。

しかし、SECに提出された文書によると、ICO開始時、同社は予定の400万米ドルの代わりに1米ドルさえも調達することができなかった。

被告側の弁護士ドナルド・トンプソン氏は、「Lantah」社とは異なり「Telegram」社は今年1月のICO開始まで同社の商業活動にて「Gram」という名称を使用しなかったことを証明しようとした。

ちなみに、米国では特許出願の登録がなくても商標権の獲得は可能だ。そのためには対象の商標を事業にて既に利用していることや、同商標に関連するサービスを既に提供していることを証明すれば十分である。

このため、7月に「Lantah」社が「Gram」を仮想通貨として継続使用するためにアメリカ合衆国特許商標庁(USPTO)から特許を取得したという追加弁論は、今回の訴訟でまださほど効果を出せていない。

自社の立場強化を目的に、「Lantah」社は「Gram」商標を米国以外でも特許申請することを決めた。 同社は、中国、韓国、インドを含めた「世界人口の82%以上をカバーする国々で多数の特許出願」を提出したと述べた。同被告によると、域外差し止め命令は、他の法域の法律と直接的な紛争を引き起こす。しかし、この議論は失敗した。

判事によると、「Telegram」社は仲裁しておらず、米国外での活動に影響を与えていたであろう司法命令を得ることを求めなかった。

「Telegram」社が特権を獲得

8月8日、第40回会合で、チャールズ・ブライヤー判事は、類似性を理由に発生しうる混乱による金銭的損失と名誉毀損を防ぐため、「Telegram」社へ有利な仮の判決を下し、最終判決までは「Lantah」社が同社の米国内でのプロジェクトのいずれでも「Gram」商標を使用することを禁じた。

仮判決の締めくくりにブライアー判事は、提出されている証拠に基づくと「Telegram」社が「Gram」商標の使用において優先権を有しており、よって、同社が本件で勝つ可能性はさらに高いとも述べた。

同判事は、「SECに販売登録を行う際、「Telegram」社は当然事業を行っていると考えており、買い手も契約書署名時に同様に確信していた。さらに、法律は、注文の履行に関係なく、(「Gram」購入の)注文の受領は「Gram」の商標の「使用」に当たるという考えを支持している」とも結論付けた。

押しつぶされた「Lantah」社

「LAW.com」に対しダニエル・ジェフリーCEOは、上記判決に失望しているが、上訴する予定であると述べている。

「ゴリアテは第1ラウンドで勝利したかもしれないが、ダビデはまだ戦っている。今後の行方を見守ってください」と彼は言った。

この裁判に熱を入れすぎているかもしれない同氏は、おそらく自身のプロジェクトとそもそものミッションを忘れてしまったのであろう。2017年創設のブロックチェーン・ベンチャー企業である「Lantah」社は、電子商取引の世界に革命を起こすことと「国境のない市場」の創造を目指していた。

ジェフリー氏は、すべての商業活動(商品の販売と流通、注文の履行、顧客とのやりとりなど)を1つのブロックチェーン・プラットフォームに統合する計画でいた。同社のネットワーク上の商品価値の測定単位として「Gram」を選択し、ここから仮想通貨の名称が生まれたのだ。

現在、「Lantah」社はICOを無期限で延期し、同社のプロジェクトサイトで「Gram」に関する一切の記載を削除されていることが判明している。また、同社の公式のTwitterアカウントでは、仮想通貨業界のニュースが掲載されており、プロジェクトの今後の計画については言及していない。

注意!これは「Gram」ではありません!

現在存在している仮想通貨「Gram」は現在購入不可であり、正式なICOに参加出来る見込みも低い。しかし、本プロジェクトに関わりたいという人は多数おり、詐欺師がこれをチャンスとして捉えている。実際、「Telegram」社のICOの偽サイトの出没に加え、インターネット上で積極的に「Gram」の購入が提案され始めたのだ。

今でも多くの仮想通貨取引所が「Gram」の購入を提案している。仮想通貨情報を提供する「CryptoCompare」のデータによると、「Gram」と呼ばれる仮想通貨の取引は、CCEX、ZBおよび他のいくつかの取引所やプラットフォームにて可能である。

また、3月には香港の取引所「LBank」が「Gram」の発売を発表した。現時点では、このサイトは「Telegram」社からと思われる「Ethereum」との対での仮想通貨取引が可能となっているが、その仮想通貨は既に「Grams」と呼ばれている。

すべての詐欺的な投資家と信じやすい投資家によるプロジェクト誤認からの全体的な被害の規模は不明である。


forklog


無料メールマガジン

BTCNの最新ニュースを毎日お昼ごろお届けします!


まだデータがありません。