2018.09.21 (Fri) market

仮想通貨市場の価格-流通量に基づくHerfindahl-Hirschman指数等の諸分析(Sep 21, 2018版)

Written by mineCC

皆様いかがお過ごしでしょうか。前回より少し間が空いてしまいましたが、市場の動きはご存じの通り下り調子。Bakktのような大変興味深いネタが投下されるも、なかなか起爆せず冴えませんね。ボラティリティが減って。しかし下落の影響か今回は前回と異なり、市場の資金分布に動きが見えました。(データは日本時間9/18取得)

9月中旬の仮想通貨市況と寡占度(Herfindahl-Hirschman指数)

まずは例によって時価総額和とHerfindahl-Hirschman指数(HHI)から示します。少し間が空いたのでHHIについて復習しましょう。HHIは市場における「寡占度」を測る指数です。シェアについて論じている方はSNSでもよく見かけますが、市場全体のシェアの偏りを定量的に寡占度として検討するにはHHIが適しており、公正取引委員会等でも用いられる重要な指標です。これは「各企業の市場占有率の2乗を加算して算出する(by 野村證券)」もので、ここでは時価総額$10k以上の通貨を対象とし、仮想通貨市場に当てはめたものを示します。数値軸にはダイナミックに動く値の変化率を捉えるのに適した対数軸を採用している点、ご注意下さい。(図1)。


図1:2016年6月1日以降の仮想通貨市場全体の時価総額和(上段)とHHI(下段)

上段に示す時価総額和は淡々と下がり続け、現在2000億ドル前後で推移しています。これは昨年11月頃の水準で、2017年末に見られた仮想通貨全体の強烈なpump初動に相当するところです。この頃にはHHIが大幅に増加、すなわちBTCが急激にシェアを広げており、BTCが先陣を切って相場を盛り上げていたことが思い出されますね。現在の時価総額和の水準が長期的な増加トレンドから外れたかというと、赤破線で示しているように、2016年末〜2017年初頭のトレンドから見てもまだ外れたとは言い切れません。ただしここからもう一段下がれば、長年続いてきた評価規模の拡大が止まったと言えるでしょう。

次に下段、HHIの動きを見てみます。7月末には今年のレンジ上限である2500を超えるかどうかというところでした。前回記事を出した直後にこの上限をあっさり超えて、現在は3400辺りにまで増加しています。この後示すように、仮想通貨市場における時価総額分布のテールが長くなってきているものの、BTCUSDの下げ幅に比べてアルトの下げ幅がより大きく、1強体制になりつつあることがHHIから分かります。2017年末ATHに向けて迎えたアルト全盛期は、もはや終焉を迎え、厳しい淘汰の局面にあるのかも知れません。

この時価総額和とHHIの関係を下に示します。(図2


図2:時価総額和とHHIの関係

興味深いことに、トレンドに鑑みると2000億ドルという市場規模でのHHIは2500前後になりそうなものの、実際は上振れして3000~4000に多く分布しています。昨年末の異常なpumpの影響も多分にあると思いますが、このアノマリー(逸脱)には興味をそそられますね。

次は時価総額分布です。(図3
縦軸は時価総額、横軸は当該通貨の順位を表しています。


図3:仮想通貨時価総額分布(当時$10K以上)

4月(紫線)、7月(青線)で変化がほとんど無かった分布が、今回(赤線)大きく動きました。まず全体的に下げていることは時価総額和からも明らかなところですね。そしてテール(裾)が大きく伸びました。対数軸では直感的にわかりにくいと思いますので、線形軸でテール部分を図4に拡大表示します。


図4:仮想通貨時価総額分布の裾

これはどういうことかというと、仮想通貨全体としては時価総額が下がっているものの、時価総額がおよそ100万ドル以下の超低位通貨の数が増えています。正直なところ、超低位通貨はこの相場で淘汰され、テールが短くなっているものと思っていました。考えられるロングテール化の要因の一つとして、市場参加者からほとんど相手にされないようなマイナー通貨もしくはトークンの発行が考えられます。1~10億円程度の規模しかない通貨を図上に載せるかは悩むところなのですが、市場の隅々まで俯瞰するという点においては必要と考え、含めています。ちなみにこれら超低位通貨が多少増えたところで、メジャーアルトに対してはボリュームが小さいために、HHIにその姿はほとんど現れていません。

価格、流通量の関係

上記低位通貨の増加を見るために、流通量と価格の関係を次の図5に示します。


図5:価格と流通量の関係

緑点が4月、赤点が最新のデータです。上に行くほど高価で、右に行くほど流通量の多い通貨であることを意味します。何度も書きますが、価格と流通量には一定の分布があり、単価だけでは特定の通貨が他よりも過大もしくは過小評価されていると判断できません。流通量の桁が違う通貨を比して、価格の議論をするのはナンセンスであることがこの図を通してお分かり頂けるでしょう。先の図4で見た低位通貨の増加について、その片鱗を感じさせるのは、赤点群における低価通貨の多さでしょう。緑点に比べて赤点では低価格、特に$0.01を下回るような通貨が多くなっています。緑点はまばらにしかありませんね。流通量の多いところで増えている理由は定かでありませんが、昨今の流行からして、エアドロップなどで配布するために数を多く設定している気がします。


図6:時価総額と流通量の関係

時価総額と流通量の関係も上図に示しておきます。(図6
これまでの情報を総合したもので、あまり新しい情報が含まれていませんが、やはり緑点に比べて下側に位置する赤点が大変多くなっている事が分かります。


図7:時価総額1000万ドル以上の仮想通貨における価格、時価総額、流通量の関係

最後に時価総額1000万ドル以上の仮想通貨について、流通量に対する価格と時価総額の関係を、一部ティッカー付きで示します(図7)。これを見ると、今も流通量の多寡が時価総額を決めるものではないことが分かります。ただ、あまり流通量の少ないものは流動性にかけて、妥当な値付けがされていない可能性があります。その点は上段の価格をみて、全体のトレンドからどれほど逸脱しているかが参考になるでしょう。時価総額ではBTCがアタマ一つ抜けているこの状況で、後続が追いつくのか、はたまたBTCが逃げ切るのか、今後も目が離せません。


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