2017.11.27 (Mon) news

欧州のICO規制動向〜EU・英国・ドイツ

Written by 石山 武

EU、投資家と企業向けに注意喚起

欧州連合(EU)の欧州証券市場監督局(ESMA)は13日、ICOに関する2種類の注意喚起文書を発表した。それぞれが投資家および企業宛てとなっている。

投資家向け文書では次のように警鐘を鳴らしている。

「ESMAは、投資家がICO参加にかかるリスクの高さを認識していないとの懸念を持っている」
「ICO投資は非常にハイリスクかつ投機的であるため、投資家は投資額の全てを失うリスクがある。トークン価格は一般的に極めて騰落が激しく、長期にわたり投資額を回収できない恐れがある。また、ICOの構造によってはEU法規の適用外となり、投資家は法的保護を受けられない。また、詐欺やマネロンの温床にもなりやすい」

企業向け文書では次のように述べている。

「ESMAは、ICOに関与する企業が、関連するEU法規を順守せず活動を行なっているとの懸念を持っている」
「ICOが金融商品に当てはまる場合、関連企業は目論見書指令(PD)、金融商品市場指令(MiFID)、ヘッジファンド指令(AIFMD)、第4次反マネーロンダリング指令(AMLD 4)のような関連法規を順守する必要がある」
「ICOに関与する企業は、各々の活動内容が規制対象であるか熟慮すべきである。関連法規のいかなる不履行も、法律違反とみなされる」

英国、ドイツも同様にICOへのガイダンスを発表

英国の金融行動監視機構(FCA)も9月、ICOに対するガイダンスを発表している。EUと同様に、ハイリスク投資であることを投資家に警告した上で、企業に対しては次のように述べている。

「各ICOがFCAの監督下に入るかどうかは、ケースバイケースで判断される」
「証券の第三者割当、クラウドファンディング、集団投資スキーム、譲渡可能証券などに該当する場合、目論見書制度の範疇に入る可能性がある」
「多くのICOは、規制範囲外かもしれない。しかし、ICOに参加する企業は、規制対象の投資商品に関与していないかを熟慮すべきである」

ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)も今月15日、ICOに関する文書を発表した。ICOが事前承認を必要とするかや、目論見書が必要となるかは、ドイツ銀行法(KWG)、投資法(KAGB)、支払監督法(ZAG)、保険監督法(VAG)などに基づき、ケースバイケースで判断されるとのことだ。

欧州は様子見の姿勢か

上記からわかるように、欧州各国のICOに対するスタンスは、どれも非常に似通っている。投資家には、ハイリスク投資であることや、欧州で手厚い投資家保護制度(例えば日本のペイオフに当たる制度など)が適用されないことなどを警告する。企業には、関連法規を遵守するよう促しながらも、活動内容が規制対象であるか熟慮すべきは企業側の責任とする。また、各ICOへの監督庁の対応はケースバイケースとしている。

このようなある意味「曖昧な」規制のスタンスは、欧州において、仮想通貨やICOに関する法規が未だ整備されておらず、また直接規制することを躊躇していることの表れかもしれない。

基軸通貨ドルを持ち、仮想通貨全体に対する政府の態度がやや硬化している印象の米国や、詐欺ICOに溢れ、国家の様々な思惑からICOの全面的禁止を決定した中国と比較して、欧州の本音は、現法を逸脱しない限り、将来有望なスタートアップが、新たな資金調達手段としてICOを活用することには賛成しているようにも感じられる。しかし、思い切った法整備に踏み込めないことが、同地域でのイノベーションの開花を妨げている感は拭えない。


ESMA
FCA
BaFin


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