2018.01.30 (Tue) market

週間ビットコイン相場 2018/1/24−30 ビットコインは弱気相場が継続、取引所のハッキングも影響か

Written by 真田雅幸


ビットコインの価格は現在1BTC=約123万円で推移しています。一週間の相場の価格レンジは、128万円〜112万とここ最近のビットコインの値動きの中では最も変動が少なかった1週間でした。今後はこのレンジを上に抜けるか下に抜けるかが注目です。それでは今週のビットコインを振り返ります。

コインチェックからXEM不正流出(1月26日)

日本で最大の取引量を誇っていた取引所コインチェックがハッキング被害に遭い5.23億XEMが盗まれる事件が発生しました。事件が明るみになりだした26日の午後からビットコインの価格は1BTC=126万円から一時106万円まで価格を下げました。

過去の取引所のハッキングはビットコインを狙ったものがほとんどでした。2016年8月に香港の大手取引所Bitfinexがハッキングされた時は120,000BTCが盗まれ、価格は40%ほど下落しました。Bitfinexが78億円相当が盗難にあった一方、コインチェックの被害は流出時点で580億円相当にのぼるとされます。Mt.Goxの被害額が当時470億円とされる中、取引所の被害としては過去最大規模とされています。

仮想通貨市場の成長とともに、多くの仮想通貨が高価なものとなっています。そのためハッカーが狙う仮想通貨はすでにビットコインだけではない状況となっています。仮想通貨によってはハードウェアウォレットなどが存在しない通貨も存在するため、開発途上であったりコールドウォレットなどの管理方法が確立されていない通貨ほど狙われやすいと言えるかもしれません。

Robinhoodがビットコインとイーサリアムの売買を開始(1月25日)

証券やETFなどの金融商品をスマートフォンのアプリで購入することができる投資プラットフォームを提供するRobihoodが、仮想通貨の売買機能を追加することを発表しました。リリース当初に売買可能な仮想通貨はビットコインとイーサリアムとなっており、来月より提供が開始される予定です。

Robinhoodは、手数料が安いうえスマートフォンで金融取引ができる手軽さが人気で、200万ユーザを抱えています。またすでに100万ユーザーが仮想通貨の売買サービスに登録済みとされてます。まずはカリフォルニア州やマサチューセッツ州などを含む5州でサービスが提供されます。

アメリカではビットコインなどの仮想通貨の販売事業はコインベースが大きなシェアを握っていましたが、高額な販売手数料などがユーザーから批判の的にされることもありました。Robinhoodの仮想通貨売買サービスの開始は、販売業者側の競争を加速させ市場としてもユーザーにとっても多きなプラスになり得るニュースとなってます。

Segwit導入率が最高の18%に到達

ビットコインにおいてはSegWitの導入が進み、導入率は過去最高の18%を記録しました。トランザクション展性の脆弱性を修正するSegWitは、ライトニングネットワークの実装を容易にします。導入率の大幅な上昇は、ライトニングネットワークがメインネットワークで稼働し始めたことが大きく起因しているようです。


SegWitはネットワークの効率化にも寄与し、昨年末から逼迫していたネットワークの改善にも繋がっています。ビットコインのトランザクションの詰まりが解消されたことで手数料が大幅に減少し、現在はほぼ無料に近いコストで送金ができる状態に戻っています。一方、正確なソース元の確認はできていないものの、ビットコインのネットワークを攻撃するために大量の無駄なトランザクションを起こすスパム攻撃が減っていることも起因しているとの情報もあります。


ネットワークの改善は、現在のところ価格に大きなインパクトを与える要素とはなっていませんが、長期的には価格に大きなプラスをもたらせると考えられます。ビットコインにはSchnorr sigaturesやMAST(Merklized Abstract Syntax Tree )などのさらなるネットワークの機能を向上させる提案があり、今後の発展が期待できる状況となっています。

ハッキング事例から学ぶ「権利」と「利便性」のトレードオフ

今回ハッキングを受けたコインチェックは、インターネットに繋がったホットウォレットに保管していたXEMが盗まれました。現在ハッキングが発生した原因について調査中であるため詳細はわかっていないませんが、犯人がなんらかの手段でホットウォレットの秘密鍵を盗み出し、取引に署名をしてXEMを盗み出したと考えられます。

仮想通貨の取引所は中央集権的に管理されており、ユーザーがサービスを利用する場合は取引所を信用しなければなりません。今回のように取引所に万が一のことが起こると、取引所はユーザーのアカウントを自身の判断で凍結する措置を取ることが可能だからです。

つまりユーザーは預けたお金を完全にコントロールする権利を保持していないことになります。これは、銀行などの伝統的な金融機関にも同様のことが言えます。2015年頃から始まったギリシャ危機では、政治や経済不安から市民が銀行から現金を引き出そうとしましたが、大量の現金が一度に引き出されると銀行は経営難に陥るため現金の引出に制限をかけました。この結果、市民は我先にと現金を引き出そうとATMの前には長蛇の列ができました。

ビットコインは第三者機関を必要としない金融システムとして誕生しました。非中央集権的な分散型ノードを使用しネットワークを構築しているのは、自身で自身のお金を完全にコントロールするためです。言い換えるとビットコインは性悪説に基づき作られたネットワークで、既存の金融システムは性善説によって成り立っているネットワークとも言えます。

ビットコインは、非中央集権型ネットワークの確立のためにノードをできる限り分散させています。ノードが分散するれば、一箇所が攻撃を受けてもネットワーク全体として安全性が確保されるからです。またノードの分散を促すためにブロックサイズを最小限に抑えています。

ビットコインのような仮想通貨を取引所に預ければ、仮想通貨のそもそもの非中央集権性の有用性は失われてしまいます。そのかわり、自身のお金に対する権利の一部を放棄することで利便性の高い取引所サービスを受けることができます。つまり権利と利便性のトレードオフです。

トレードオフの割合はそれぞれのユーザーが判断し、どの程度の仮想通貨を取引所に預けるのかを見極めるべきでしょう。しかし、トレードを一切行わない仮想通貨はハードウェアウォレットなどに移し、自身で管理することが正解です。トレードを行わない仮想通貨を第三者に預けるということは権利だけを無駄に放棄していることになるからです。この攻めと守りのトレードオフを意識して取引をすることが、長期的に仮想通貨市場で生き残る鍵となるのではないでしょうか。


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