2017.12.20 (Wed) news

e-Residency、エストコイン発行へ前進

Written by 真田雅幸

エストニアは、e-Residencyというオンライン上に国境のない国家作りを目指している。そのプラットフォーム内で使える通貨「エストコイン」の発行に向け動いている。エストコインのコンセプトは8月、e-Residencyの責任者であるカスパー・コージュス氏によって発表された。

エストコインは、イニシャル・コイン・オファーリング(ICO)を通じてトークンセールを行い、ICOで集められた資金はe-Residencyのネットワークの開発費やメンテナンス費用などにも充てられる。購入者はe-Residencyのプラットフォーム上でエストコインの売買が可能で、提供するサービスなども受けられるようになる。

エストニアは、IT国家としてブロックチェーンに注目しており、国としてブロックチェーンの技術を向上させたいと考えている。ICOを通じて、世界中からエストニアに資金を集める狙いもある。またe-Residencyに登録すると、ユーザーはエストニアでビジネスを始めることができるようになるため、企業誘致の意味合いもある。エストコインはe-Residencyへの登録者に対するリワードなどに用いられるほか、e-Residencyの発展へ貢献した起業家へのインセンティブとしての利用も想定されているようだ。

コージュス氏はエストコインを発行することで、e-Residencyプロジェクトをさらに加速させることができるとした。

「エストコインを発行することで、コミュニティーを広げようとするインセンティブが働き、e-Residencyの機能やサービス向上に繋がるだろう。またコミュニティが広がることで、企業同士にプラスの相乗効果が生まれ、エストニアの経済にとってもいい効果が見込まれる。」

ICOをすることによりe-Residencyの開発を進めたいエストニアだが、エストコインの発行に際しては解決すべき問題点もある。エストニアはEUの加盟国であり、自国に通貨の発行権がなく、エストコインを通貨として認めることができない。そのため、何を担保にして発行するのかという部分に不透明感がある。

エストニア以外にもデジタル・トークンを発行しようとする国は存在するが、デジタル通貨の価値を国がどのように保つかという課題に直面するだろう。自国通貨の価値の下落が激しいベネズエラでは最近、石油や天然ガスを担保にしたデジタル・トークンを発行しようとする動きがある。一方、法廷通貨のボリバル同様、管理する側に問題があればその通貨の信用は簡単に失われるだろう。

エストコインにはユーロにペッグさせてトークンを発行する案もあるが、ユーザーが保有するウォレットのエストコインと同額のユーロをエストニアが担保する必要があり、デジタル通貨の利点が失われる可能性がある。その場合、ユーローの電子通貨として扱われ、エストコイン独自の価値が見出しづらくなるだろう。

エストコイン発行には問題点が残っているものの、ICOのスキームとしては正しい使い方なのかもしれない。エストコインは、トークンをプラットフォームで使うことができ、また集められた資金はネットワークの開発などにも使われるため、e-Residencyを利用したいユーザーには投資価値が生まれる。正式な発行日時の公表はされていない一方、エストコインの発行計画は進んでいるようだ。

コージェス氏は、国境を取り払うことで人々はより多くのチャンスを掴むことができると述べた。

「長い人類の歴史上、生まれた場所で一生を過ごす場所が決められているという期間はそれほど長くありません。現代は、国が人々の生きる場所を決めています。その土地に生まれたという偶然が、何よりも人生において重要な要因となっているのです。」


Medium


無料メールマガジン

BTCNの最新ニュースを毎日お昼ごろお届けします!


まだデータがありません。