2018.04.27 (Fri) column

ビットコインを未来のお金だと信じる理由

インフレ通貨の崩壊とデフレ通貨の台頭

現在、私達は金融システムの転換期に直面しています。金融システムといっても幅広い意味合いで捉えられる方もいると思われるので、より明確に言うと各国の中央銀行によって供給量が管理される法定通貨システムが限界を迎えつつあり、転換期に向けて私たちは備える必要があります。

法定通貨とは円やドルのように私達が日常の取引に利用することができる、政府によって価値が約束されたお金です。現行の法定通貨がお金として扱われるようになってから約50年という歳月が経ちましたが、お金はその時代によって姿や形を変えてきました。

ビットコインは、ブロックチェーンを基にしたインターネット上でしか存在しない仮想通貨ですが、徐々にお金として社会に浸透しつつあります。

ビットコインを簡単に表現すると、改ざんが非常に困難なデータベース・ソフトウェアです。またデータを受け取るノードが分散化しているため、ソフトウェアのアップデートが非常に困難になるよう設計されています。

このような設計になった理由は大きく分けて2つあります。ひとつは中央集権の管理者を除外することで、グローバルに展開するネットワークのセキュリティを強固にすること。そして、ビットコインの総発行量である2100万BTCという数値の変更を困難にすることで、希少価値性のある健全なお金を作り出す狙いがありました。

中央政府の管理下にある法定通貨は、供給量が無限のインフレ通貨です。非中央集権のネットワークが管理する健全通貨であるビットコインは、供給量が有限のデフレ通貨です。この健全通貨の性質が今ビットコインに注目が集まる要因でもあり、ビットコインの考案者「Satoshi Nakamoto」が新たにお金として世に送り出した理由だと私は考えています。

インフレ通貨とデフレ通貨の違い

日本が長年デフレから脱却できずに苦しんでいるとの旨の内容のニュースをよく目にします。日銀の黒田総裁はインフレ率2%を目標とし金融政策を行っていますが、一向に達成できる目処は立っていません。日銀が今年2月に発表した消費者物価総合指数は、1%にも達していませんでした。

引用元:日本銀行

インフレとデフレとは一体何なのでしょうか?よく物価が上がればインフレ、下がればデフレと表現されることが多いですが、今回はちょっと違った見方からインフレとデフレを見つめ直してみたいと思います。

1976年にノーベル経済学賞を受賞した米経済学者ミルトン・フリードマンは、インフレとデフレに関してこう説明しています。

「インフレとは市場における通貨供給量の拡大を意味し、デフレとは市場における通貨供給量の縮小を意味する」

法定通貨は、中央銀行によって供給量が拡大され続けていくため、インフレ通貨だと言えます。一方、ビットコインは4年毎に供給量が半減される「半減期」を迎え、供給量が縮小し続けるためデフレ通貨だといえます。

資産と兌換紙幣と不換紙幣

法定通貨のようなお金がなかった時代は、米、塩、金などのそれ自体が価値を持つ、資産を直接取引に使う物々交換が主流でした。一方、物々交換は効率が非常に悪いため、金融システムが発展し、金や銀などの資産に紐付いた兌換紙幣が取引に使われるようになります。

そこから更に金融システムが進化し現行の不換紙幣が、法定通貨として政府に認められるようになりました。法定通貨は、資産などに紐付いておらず各国の中央銀行が、供給量をコントロールすることにより価値が担保されています。

1871年明治時代の日本では、新貨条例が公布され、金や銀と交換できる兌換紙幣が流通していました。兌換紙幣の発行には当時、銀行が金や銀などの資産を保有しておく必要がありました。つまり決められた資産がなければ銀行は、紙幣を発行することができなかったのです。これが当時の世界各国の金融システムの主流でした。

1939年に始まった第二次世界大戦は、米ドルが世界の基軸通貨となるきっかかけとなります。大戦初期に中立の立場を保っていたアメリカが、1941年に武器貸与法を成立させると、連合国側に大量の軍事物資を輸出するようになります。世界大戦後半になると輸出を続けたアメリカに大量の金が集まってくるようになりました。

アメリカから軍事物資を輸入した国では金が枯渇するようになり、兌換紙幣の発行が困難になります。それを受け、1944年にはブレトン・ウッズ協定が締結され、米ドルが唯一の金と紐付いた兌換紙幣となり世界の基軸通貨となりました。

1960年代に入るとアメリカの経済不安が要因となり各国のドルに対する信頼が揺らぎ、ドルを金に変えるという動きが強まります。ブレトン・ウッズ協定は、アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の保有する金が減少したため、1971年当時の大統領リチャード・ニクソンによって一方的に破棄されました。

1971年以降、金のような物理的に存在する資産に紐付いた紙幣は無くなり、中央銀行が価値を管理する不換紙幣が各国の市場で流通するようになりました。法定通貨は、紙幣に取引媒体としての価値を政府と中央銀行によって与えられた不換紙幣で、それ自体には本質的な価値がない通貨なのです。

インフレ通貨の法定通貨システム

1971年以降、不換紙幣である法定通貨が各国のお金となったわけですが、価値が中央銀行によって管理されるとは、どういうことなのでしょうか。法定通貨の供給量を調整し、物価を安定させることが中央銀行の主な仕事です。また物価を安定させることで健全な経済の発展を促す役割を担っています。

中央銀行がどのように法定通貨を管理しているかを理解するには、発行の仕組みを理解しなければなりません。簡単に説明すると、日本の中央銀行である日銀が銀行に銀行券を貸し、銀行がその銀行券を元手に民間に貸付を行い、民間が預金を下ろすことで銀行券が現金として市場に流通するようになります。

法定通貨は銀行券であり、日銀からの借用書であるとも言えます。また社会的信用度の高い人が銀行から多くの貸付を受けることができるため、負債や信用の通貨と表現することもできます。

日銀は、銀行への銀行券の貸出金利を操作することで、間接的に市場の通貨の流通量を調節し、価値をコントロールしているわけです。

通貨の供給量が拡張されれば、通貨自体の購買力が減少し、モノの値段が上がりインフレが起こります。一方、通貨の供給量が減少すれば、通貨自体の購買力が増加し、モノの値段が下がりデフレが起きるわけです。

法定通貨がインフレ通貨である理由は、通貨の供給量を増加させるには、負債を増やし続けなければならない金融システムだからです。しかし、負債には金利というものがあるわけですから、借りた額より多くの通貨を返さなければなりません。そのため、負債の額は市場に存在する通貨全体の額より必ず多くなるのです。

言い換えれば、すべての通貨を借金返済ために使ったとしても、借金は必ず残ることになります。そのため日銀と銀行は、民間や政府にお金を永遠に貸し続けなければいけません。負債が減ると通貨の供給量が減り、デフレとなり経済が回らなくなるからです。

法定通貨の発行システム上、誰かが借金をし続けなければ市場の通貨量が枯渇し、経済は循環しなくなります。一方、多くの人が不渡りを起こしてしまえば負債が不良債権となり、銀行が潰れてしまうため、経済は回らなくなります。

私達は一般に「借金はとりあえず返すモノ」だと教えられてきたと思いますが、経済を循環させるために「借金は不渡りを起こさない程度に借り続けるモノ」が正解なのです。

バブル期に借金をしていた家計と、現在借金をする政府の関係

日本のバブル期は、1980年代後半から1990年代初頭と言われています。インフレは、民間の企業や家計または政府が銀行から借金をし、市場の通貨量が増加することで発生します。バブル期の家計と政府のGDP比の借金比率から、負債がインフレにどう影響しているかがわかります。

下記のグラフは、家計の対GDP比の借金比率を表していますが、バブル期にはグラフの角度が高くなっていることがわかります。これはバブル期に家計の対GDP比の借金の割合が増加していることを意味しています。借金が増え通貨が市場に溢れインフレ(バブル)が起きたのです。

引用元:TradingEconomics.com / Banks for international Settlements

一方、現在の日本の経済が失われた20年と表現されるのは、家計の借金が減り続け通貨が市場から減少しデフレ経済に陥っているからです。

バブル期には家計が多く借金をしていたため、政府が借金をする必要はありませんでした。通貨の過剰供給は、購買力を急激に減少させ資産価格の暴騰を招くからです。

引用元:TradingEconomics.com / 財務省

1990年初頭にバブルが弾けた日本では、家計の借金が減り続けたため、代わりに政府が借金を増やしています。日本政府の借金が膨張しているのには、家計からの借金不足が一つの要因としてあるのです。現在の日本の経済は、民間の借金は増えず、さらに企業もお金を使わずに溜め込んでいるため、市場に流通する通貨供給量が減り続けるデフレが続いている状態なのです。

インフレ通貨の限界?ゼロ金利の先にあるものは

日銀はバブル崩壊後、民間企業や家計の借金を増やそうと実質金利を下げることを目標に金融政策を行ってきました。金利を下げることで、借金をしやすくしインフレを起こそうとしているのです。下記のグラフは、日本の10年物国債年利回りを表しています。バブル崩壊後日銀は金利を引き下げ続け、現在はほぼ金利がゼロとなっています。

引用元:CNBC

金利が低下しているのは日本だけではありません。アメリカでも同様に、1980年以降、FRBが金利を引き下げ続けています。

引用元:CNBC

日本では、民間企業や家計がお金を借りやすい低金利であるのも関わらず、借金は増えずインフレは起きません。一般に借金をする場合、未来の予測収益がプラスになるのであれば借金に踏み切ります。逆を言えば、未来の予測収益がマイナスであれば誰も借金をしません。これには、日本人の人口減少問題が少なからず関係していると思われます。

商売を始めるにしても、将来の消費者が減り続けている日本では長期的な予測収益のプラスを見込むことが困難になります。また人口が減少しているということは借金をする個人の数も減ることになりますから、通貨量が減少しデフレ基調が続くのは妥当な結果といえます。

引用元:総務省

ここで問題なのが、すでに金利がほぼゼロの状態のため、日銀の金融政策も限界を迎えつつある点です。伝統的な金融政策では日銀が金利を操作することで、市場の通貨の供給量をコントロールしていました。しかし、現在はすでに金利がゼロであるため、これ以上金利を低く抑えることができません。

1980年代初頭には金利が10%近くあったため、「金利を下げる余地」がありました。とはいえ金融市場の長期的な低金利化は、リスクが高い投資を呼び込む危険があるため諸刃の剣とも言えます。

1980年代後半から1990年代前半に通貨が過剰供給された市場は、日銀がコントロールしきれないバブルを生みました。資産価格の暴騰を防ごうと日銀が金利を上昇させたことで市場の通貨量が急激に枯渇し、資産価格が急落したことで、多くの投資案件が不良債権となりバブルは弾けました。さらに1988年には日本初の消費税が導入されており、経済に大きな負の影響を与えたと言われています。

金利を下げることができない日銀は現在、量的金融緩和政策(QE)を行い経済を刺激しようとしています。量的金融緩和政策は、金利の操作と並行して国債やETF(上場投資信託)などの金融商品を市場から直接買い入れることで、市場の通貨の供給量を増やそうとするものです。

引用元:Bank of Japan's $150 Billion ETF Binge Looks Likely to Slow Next Year

日銀は「2%の物価安定の目標」を掲げていますが、今年1月に発表された経済・物価情勢の展望では、消費者物価指数は前年比1%程度と、安定どころか2%にすら届いていません。一方、ブルームバーグの報告によると昨年の10月には、市場のETFの74%をすでに購入しています。

1974年にノーベル経済学賞を受賞したオーストリア人経済学者のフリードリヒ・ハイエクは、中央銀行や政府の経済への介入に対して以下のように述べています。

「中央銀行や政府が経済への介入を強めることで経済が好転する可能性はあるが、市場の需要と供給を的確に見極めることはほぼ不可能だ。中央機関が経済への介入を間違えば、全体主義や社会主義に繋がるだろう」

日銀がこのままETFを購入し続けると、多くの上場企業の大株主となります。日銀は建前上は一民間企業ですが、資本金の55% を政府が出資しているため実質政府の子会社となります。つまり間接的に政府が多くの上場企業の大株主となるのです。勿論、日銀がETFを売却すれば済む話ですが、その場合、株式市場の暴落は免れないでしょう。

さらに年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のポートフォリオの約25%は、国内株式投資であるため、株価の下落により年金が大幅に減少する危険性も孕んでいます。中央機関の経済への介入が強い日本は、すでに社会主義国家へと歩みを進めていると言えます。

HODLすることに価値があるデフレ通貨

現在ビットコインのような仮想通貨が注目を浴びていることが、中央で管理されたインフレ通貨システムの限界が近いことを物語っています。供給量が徐々に減少するビットコインは、購買力が徐々に上昇するデフレ通貨です。

短期的には、ビットコインのボラティリティは一般の金融商品と比べて高いと言わざるを得ませんが、年単位の価格推移では徐々に上がり続けていることがわかります。

ビットコインのようなデフレの性質を持つ健全通貨は、長期的に購買力が上がるためユーザーは無駄な消費をさけるようになります。購買力が上がり続ける通貨は、保有(HODL)することへのインセンティブが強くなる傾向があります。

購買力が減少し続けるインフレ通貨は、リスクが高い投資を呼び込みやすい傾向があります。バブル期の日本と2008年のアメリカでは、リスクの高い投資が市場全体を覆い、バブルを引き起こしました。

HODLすることに価値があるビットコインでは、本当の意味で価値が高い投資に利用される通貨なのです。

資産から生み出される健全通貨ビットコイン

健全なお金とは、金本位制のシステムのような通貨の発行に対して金などの資産に紐付いているお金を指します。銀行の信用創造のように資産の裏付けなしに通貨を発行することはできません。

ビットコインの供給は、マイニングによって行われます。マイニングには、ブロックを掘り当てるための計算処理を行うハードウェアと電力が必要になります。ビットコインは、通貨の発行システムにマイニング作業を組み込むことで、電力やハードウェアといったリソースが資産として紐付けられています。

ビットコインのマイニングアルゴリズムはPoW(プルーフ・オブ・ワーク)と呼ばれ、ブロックチェーンに新たなブロックを追加する作業を行ったことを証明することで、マイナーに対して新たな通貨が発行されます。ビットコインが健全なお金である理由は、PoWを通じて電力やハードウェアといったリソースの資産価値が貯蔵された通貨であるからなのです。

バランスシート上の資産の部から生まれるビットコインは健全な通貨であり、債権というバランスシート上の負債の部から生まれる法定通貨は信用の通貨です。両者には通貨の発行プロセスに関して、資産の裏付けを必要としているか否かに大きな違いがあります。

非中央集権のネットワークによってセキュリティと不変性を担保

ビットコインは非中央集権のネットワークによりセキュリティと不変性を担保しています。ビットコインは、伝搬させるデータ量を最小限に抑え、ノードの立ち上げに係るコストを抑えることでノード自体の数を増やしています。同じデータをすべてのノードが共有することで、中央のサーバーを必要としないネットワークを構築しています。

サーバーがない非中央集権のネットワークだからこそ、スーパーコンピュータをもってしても取引データの改竄をすることができません。

ビットコインのブロックチェーン上の取引は、ハードフォークをすることで取り消すことができますが、非中央集権のネットワークをハードフォークさせることは非常に困難です。ネットワークが多数の匿名のノードによって形成されているからです。

ハードフォークを行うには、ネットワーク全体からアップデートをすることへの合意を得る必要があります。オープンソースであるビットコインのネットワークに参加している、すべてのノードから合意を得ることはほぼ不可能です。

ビットコインはその非中央集権性によって、記録されたデータが不変のネットワークを手に入れています。そして最大発行枚数である2100万BTCも不変であり、供給量が有限な通貨であると言えるのです。

交換媒体としての機能が進化する通貨

ネットワークの非中央集権性は、ビットコインに価値の貯蔵手段としての機能を与えます。他方、ビットコインの交換媒体としての機能を高めるために、世界中のコンピューターサイエンティスト達がプロトコルであったり、セカンドレイヤーの開発を進めています。

現段階で備えられている機能だけでも以下のようなことが言えます。

インターネットを通じて世界中どこでも使うことができるため、通貨の両替などを必要としません。コンセンサスアルゴリズムによって取引の正当性が検証されるため、偽札を掴まされるようなこともありません。ビットコインは、デジタルのお金であることから、お金の大小に関わらずスマートフォンやハードウェアウォレットを使って持ち運ぶこともできます。ビットコイン自体はデータであることから、現金のように劣化することはありません。

現在注目されている技術は、Lightninng Network、Shnor Signiture、Bulletproofsなどが挙げられています。特にLightning Networkは取引における手数料を大幅に下げ、瞬時決済が可能になりユーザービリティが格段に向上する技術です。

ビットコインは、通貨としての機能が向上し、追加されていく進化するお金なのです。

大きな負債を抱える政府、必ずやってくる強烈なインフレ

負債(借金)によってお金が生み出される現在のシステムは限界を迎えつつあります。世界中で負債の数字は膨らみ続け、対GDP比でも増加スピードが加速しています。マクロ的な視点から、増加する負債に対して経済成長が鈍化していると言えます。2017年に報告された世界の借金は日本円にして2京5000兆円と、想像を超える数字となっています。

引用元:The world is swimming in a record $233 trillion of debt

ここで特に問題なのは、政府負債が大きく膨れ上がっていることです。政府負債の増加は最終的に国債の増発に繋がります。上記のグラフから政府は現在対GDP比で87%の負債を抱えていることになります。10年前から比べ約30%も増加しています。

政府の負債を減らすには大きく分けて二通りあり、増税して歳入を増やすか、インフレを起こし実質的な負債を減らすかです。

日本では、増税を行いさらに社会保障費などの歳出を抑えることで負債を減らそうとしています。しかしデフレの日本でそのような政策を行えば、市場の通貨量は減り続けさらにデフレが継続し、経済は停滞します。

増税を伴った緊縮財政政策は社会からの抵抗感が強いため、政府はそのような政策を長く行うことはできません。誰も増税や公共サービスの質の低下を望まないからです。

日銀はインフレを起こそうと大胆な金融緩和政策を行っていますが、財務を引き締めたままでインフレが起きないことは、今の日本が証明しています。

増税は市場の通貨供給量を減らし経済にとってマイナスとなり、自国のモノを作る生産力すら減退させる可能性があります。

そのため政府は、国債を増発して市場に紙幣をばら撒き強制的にインフレを起こそうとするようになります。ばら撒き方としては、元FRB議長のベン・バーナンキ氏が唱えた国債を中央銀行に買い取らせて行うヘリコプターマネー政策やベーシック・インカム政策などが考えられます。

市場のモノとサービスの生産力に合わせ、紙幣を国民に配ることで緩やかなインフレを起こすことは可能です。一方、国民にお金をばら撒きすぎると、商品の生産が追いつかず市場に紙幣が溢れ、逆に強烈なインフレが起こり最悪の場合ハイパーインフレなどを引き起こす危険性があります。

インフレを味方にすることができるビットコインという新たな資産クラス

中央集権的に発行される法定通貨は、政府の財政政策や日銀の金融政策によって価値がコントロールされています。非中央集権的で発行主体が存在しないビットコインは、単純な需要と供給によって価値が決まります。さらにデフレ通貨の性質を持つため、これから来るインフレに対するリスクを回避することができる通貨・資産として重宝されるようになります。

歴史は政府が管理する法定通貨が必ずインフレを起こし、廃止、または代替され続けていることを教えてくれます。

古代ローマ時代では、紀元前211年から274年までデナリウスという銀貨が通貨として使われていました。製造された当初は、重さは4.55グラムあり銀の比率が95から98%あったと言われています。

引用元:ウィキペディア

しかし政府が管理する銀の保有量が減少するにつれ、その重さと比率は減少していきました。274年に発行されたデナリウスの重さは3.41グラムで、銀の比率も5%以下と質が大幅に低下しました。最終的にデナリウスはインフレを起こし、価値がないとみなされ、代わりにアント二二アス銀貨が使われるようになります。

最近では、第一次世界大戦後にドイツが発行していたハピエルマルクがハイパーインフレを起こして、レントマルクに置き換わっています。戦後のドイツでは、莫大な賠償金を背負い経済が停滞しデフレが起きていました。そこで政府は経済を循環させようと、当時の法定通貨であるハピエルマルクを大量に発行するようになります。すると刷りすぎた通貨は、市場で溢れハイパーインフレを起こします。

1919年に1ハピエルマルク=13ドルだったのが、1923年後半になると1ハピエルマルク=25,260,280,000ドルとなり、約4年間のインフレ率は1,943,098,461倍に達しました。最終的には10兆マルク紙幣という法定通貨も存在しました。

経済の後退や財政の悪化は政府が紙幣を増刷する引き金となります。現在の日本政府は悪性のインフレを恐れているため、国債の発行を減少させ続けています。その代償として年金の受取時期が遅らされたり、インフラ整備が行われなかったりなど生活レベルが低下しています。経済成長を停滞させる緊縮財政には限界があるため、政府が国債を増発せざるを得ない状況は必ず訪れインフレが起きます。

インフレとは通貨供給量が増える過程で通貨自体の価値が減少し物価が上昇することです。負債を抱える政府にとってインフレは、実質的な負債の減少に繋がります。現金預金者にとってインフレは、資産の減少を意味します。一方ビットコインにとってインフレは、法定通貨建ての価格が上昇するため資産が増加することになります。

一般に平均株価が右肩上がりなのもインフレが起きている影響が大きいためです。物理的に供給量が限定されている金はインフレに強いと言われ、1900年以降、米ドルの購買力は98.2%減少しましたが、金は3%しか減少していません。

インフレが起きれば株式や金のような資産は、価格が上昇する一方で通貨のような交換媒体としては不向きです。

ビットコインは、供給量が有限であるため金のように価値の貯蔵手段という性質を持ち、さらにインターネットを通じて世界のどこへでも送金することができる機能を備えています。これから起こるインフレにヘッジしたデジタルゴールドという新たな資産クラスが、ビットコインという仮想通貨なのです。


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