2018.04.09 (Mon) market

仮想通貨市場の価格-流通量に基づくHerfindahl-Hirschman指数等の諸分析(Apr 9, 2018版)

Written by mineCC

初めまして、mineCC(@ETHxCC)と申します。これまではmediumに投稿していましたが、ご縁があって今回からBTCNさんで本テーマに関する記事を執筆することになりました。

初めましてではない方々(特にTwitter界隈メン)、ご無沙汰しております。本業が忙しくて全然更新出来ていませんでした。まぁ、年明けに限らずいつも忙しいんですけどね。Twitterしてるからといって暇じゃないんですよ?みなさんも確定申告が終わり(疲れた)、Coincheckの件も一段落し、あとは各国の納税時期が過ぎるのを待っているところでしょうか。ソロスが界隈に参戦する報もあり、界隈が再び盛り上がりそうで楽しみですね。

4月の仮想通貨市況と寡占度(Herfindahl-Hirschman指数)

さて、例によってまずは時価総額和とHerfindahl-Hirschman指数(HHI)を眺めましょう。復習ですが、HHIは市場における「寡占度」を測る指数です。「各企業の市場占有率の2乗を加算して算出する(by 野村證券)」もので、時価総額$10k以上の通貨を対象とし、仮想通貨市場に当てはめたものを示します(図1)。念の為断っておきますと、「数値軸を対数にするなんてごまかしだ」という論調を価格論議等で示す方が時折現れますが、ダイナミックに動く値の変化率を捉えるには対数軸が適当です。

図1:2017年以降の暗号通貨市場全体の時価総額和(上段)とHHI(下段)

時価総額和について、前回2月中旬時点ではまだ黒破線で示した2017年以降の上昇トレンドにギリギリで乗っていました。「このトレンドはなんとか維持するか、あわよくば赤線のトレンドラインまで戻したりして…」などと当時は思っていましたが、3月初旬にあっさりと黒破線ラインを割り込みました。従って、残念ながら現在はAll-Time-Highである1/7頃からの下降トレンド(緑破線)に乗る流れにあると言えます。HHIについては、一旦1500台まで下げたものの2300-2400弱の領域まで漸増を続けています。時価総額分布については後に示すので、そこで改めて議論します。

図2:2013年以降の暗号通貨市場全体の時価総額和(上段)とHHI(下段)

次に、時価総額和とHHIの観測期間を2013年まで広げてみましょう(図2)。データソースの事情により中途半端な所から始まっていますがご容赦ください。2017年以降、時価総額和の増加率が明らかに上がっていますね。

図には示しませんが微分値で検証しても明らかです。このように俯瞰すると、2015-2016年の期間で算定するトレンドライン(赤破線)を基準にみて現在の時価総額和の増加は顕著な上方乖離であり、同トレンドに回帰するのであれば2018Q3末には10^11 USD程度まで下げても違和感はありません。現在の水準からするとおよそマイナス60%の水準です。

ただし、これはBTCが仮想通貨の中でほぼ独占的地位を占めていた期間、すなわちHHIが7000-8000という極めて高いレンジにある期間を基準にしたケースです。

Metcalfe則をベースにBTCウォレットやユーザー数で「バブル性」を議論する論文も最近話題になりましたが(参考文献:https://arxiv.org/abs/1803.05663)、今はBTC以外の多くの通貨にも目が向けられており、BTCドミナントだった時期の様子を現在に適用するのは不適当だと思います。従って私感としては、草が総じて焼き払われるような世紀末シナリオを除き、マイナス60%水準まで下げる蓋然性は低いと思っています。

図3は時価総額の順位分布です。縦軸は時価総額、横軸は当該通貨の順位を表しています。濃い青線が今回追加した4/4時点のデータです。

図3:暗号通貨時価総額分布(当時$10K以上)

一目で分かるのは、上位を占める主要通貨の時価総額が総じて下げていることでしょう。各通貨の特徴云々という次元の話ではなく「総じて」です。ただし、超低位通貨(およそ500位以下)の分布があまり変わっておらず、彼らがここまで健闘している点は驚きです。良く表現するならば、夢と希望に溢れる投資家(投機家?)が多いのでしょう。先に言及したHHIの漸増傾向は、この超低位通貨の踏ん張りも寄与しています。時価総額としてはかなり低いために博打の臭いがプンプンしますが、見方を変えれば市場参加者の興味が多様な通貨に向いている証左でもあるため、一概に悪い兆候とは断言できません。

次の図4は12/24/2018および2/17/2018の時価総額分布との相関を示しています。これはあくまで解釈のために図3の分布を組み合わせ、時価総額の変動を別視点から描写するものに過ぎません。縦軸は過去時点の当該順位の時価総額、横軸は4/4/2018時点の当該順位時価総額を表しています。過去と現在の分布が全く同じであれば、すべての点は対角破線上にプロットされます。過去の比較時点に比べて当該順位の時価総額が増えていれば破線右下の領域に、反対に時価総額が下がっていれば左上の領域にプロットされます。要するに、時価総額の大きいところにいる点が右側の領域に突っ込んでくれば、HODLerやロンガー各位はウハウハになるのです。

図4:4/4/2018の時価総額分布と過去の時価総額分布の関係(当時$10K以上)

さて、まず青点で示している2/17との相関を見てみましょう。ほとんどの点が左上の領域に入っていますね。すなわち総じて時価総額が2/17に比べて下がっているのです。ところが12/24/2017に対してみると、現在で時価総額$20Mを割ってくる辺りで右下の領域に点が入ってきます。これは当時に比べて低位通貨の時価総額が増していることを意味します。2018Q1で草人気(?)が高まったんですね。

図5にはATHだった1/7時点と併せて、価格対流通量の関係を示します。

図5:4/4/2018および1/7/2018時点のUSD価格と市場流通量(~現発行量)の関係

縦軸と横軸はそれぞれ価格と流通量を示しており、左図は現在、右図は1/7のデータに基づく散布図となっています。わずかですが赤点は全体的に青点より「上側」に分布しています。同じ様な分布で違いを認識し難いのは、流通量と価格の関係が既に硬直化していて、流通量に強く依存する価格変動が生じていない事を表しています。供給量のことをあまり気にかけていないのか、とんでもない希望価格を宣言されている方が仮想通貨界隈にはいらっしゃいますが、これをみれば対象通貨の価格上限がどの辺りになるかおよそ察しがつくはずです。

結言

以上、年末年始の時価総額和ATHからこれまでの市場様態変化について、時価総額を軸に検討しました。私は各通貨の特性云々で価格が大きく左右されるとは思っておらず、今はまだ通貨の特性等を抜きにしてマクロに界隈の様態を分析・把握することが肝要だと思います。

最近は暗くて重苦しい話題が界隈に降り注ぎ続けていましたが、明るい話題もあります。4月末以降、税金関係が一段落した後に界隈が活気づくと良いですね。


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