2018.03.22 (Thu) news

分散型取引所(DEX)の現況 2018年3月版【後編】

Written by indiv_0110

Indiv(@indiv_0110)は、個人のエンパワーメントの文脈でBitcoinやEthereumに興味を持ち、それらの仕組みを調査している。ブログでは主にEthereumに関する情報を共有する。

前半に引き続き、DEXの現況を見ていこう。

DEXの概況

EtherDelta

現時点でも一定の取引があるDEXとしては老舗と言える。約定時に開発者に支払われる手数料の他に、デポジットやオーダーの処理にガス代が掛かるのがネックだ。こちらのページで確認できる通り、多くのトランザクションがEtherDeltaのコントラクトから生成されている。プロダクト開発と提供を先行させ、サービス提供の過程で報酬を得るサービスとして一定の評価を得たが、その後ICOの実施を発表した。

Gnosis Dutch Exchange – Gnosis

分散予測市場プロジェクト「Gnosis」が開発中のDEXで、その名の通りDutch方式を採用している。ダッチオークションとは競り下げ式オークションのことで、売却価格が徐々に下げ られていき、最初の買い手が現れた時点で競りが終了するオークションをいう。馴染みがないが、戦略的には第一価格オークションと同じになる(馴染み深い競り上げ式オークションは第二価格オークションと同じ)。

※第一価格オークション(または一位価格オークション)は、最も高い額を入札した者が落札し、自身が入札した額を支払う。第二価格オークション(または二位価格オークション)は、最も高い額を入札した者が落札するが、二番目に高い入札額を支払う。

Hodl Hodl

マルチシグのエスクローアドレスを用いた、法定通貨とビットコイン/ライトコインのトレードを提供するサービスだ。マルチシグでは売り手とHodl Hodlとで2つの鍵が発行され、エスクローアドレスにデポジットされたトークンを移動するためには、売り手とHodl Hodlが管理する2つの鍵が必要となる。買い手と売り手を直接繋げ、法定通貨ペアを扱うという点で特色があるが、エスクローアドレスの管理者に対するトラストは残る。

IDEX

ハイブリッド型取引所。ユーザーのファンドをIDEXコントラクトに保存し、オーダーのマッチングやトレード反映のためのトランザクション生成等などをIDEXのサーバーで行う仕組みだ。知名度は低いが、Coinmarketcapの取引高ランキングでは71位で、比較的有名なParadex(103位)、Radar Relay(113位)よりも高い取引高を維持している。

Kyber Network | instant Exchange | No Fees

取引所ではなく、分散型の販売所。すでにメインネットで稼働している。KyberNetworkとしては流動性を供給するReserve Entityの確保が重要で、Reserve Entityにはスプレッドによる利益の確保が認められている。Reserve Entityの利益と、KyberNetworkに支払う手数料(KYCトークン)が提示スプレッドに反映されてなおユーザーを惹き付けられるかが課題となる。とはいえ、この問題は0x Protocolでも同様だ。

Oasis DEX

DAIやMKR等のMakerDAOに関連するトークンと、WETH(Wrapped Ether)を交換するためのDEX。現在アルファ版でテスト稼働している。DAIとWETHのペアがメインで使用されている。

raidEX - The decentralized exchange

Ethereum版ライトニングネットワーク「Raiden Network」の技術を利用したDEX。取引がオフチェーンで処理されるため、高速で安価なトレーディング環境の提供が可能だとされているが、Raiden Networkの稼働が前提になるためローンチには時間を要するだろう。

Waves Platform

WavesによるDEXで、Bitcoin NGを利用した独自のチェーンの上に構築されている点に特徴がある。WavesがICO実施時にホワイトペーパーを公開した時点では、その内容の不十分さから開発体制に懸念が持たれたが、現時点に至るまで比較的着実に開発されている。ゲートウェイを用いたドルやユーロのペッグトークンも利用可能だ。

0x Protocol

DEXではなく、DEXを作るためのプロトコルだ。Radar Relay, Paradex, Ethfinex等が0xを用いて構築されている。リレイヤーはオーダーブックの管理人で、売買手数料を徴収することができ、それがリレイヤー活動のインセンティブになっている。知名度の割に取引高はまだ高くないが、上述のリレイヤー以外にも様々なプロジェクトが0xプロトコルを用いている。

終わりに

2018年のDEXは従来の取引所としての用途に加えて、DAppsのバックグラウンドで動き、利用者が意識しない領域で動くようなものが出てくるだろう。トークン交換をDEXを通じてシームレスに行うことができれば、DAppsの運営者は不必要な在庫を持たずに済む。通貨型トークンの交換のみならず、ゲームアイテムやユーティリティトークンの交換を支えるモジュールとしてのDEXの発展も要注目だ。


前半


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