2018.11.30 (Fri) market

暗号資産市場の価格-流通量に基づくHerfindahl-Hirschman指数等の諸分析(Nov 30, 2018版)

Written by mineCC

木枯らしが吹きすさび、冬の訪れを感じ始めた頃に突如訪れた暴落、皆様いかがお過ごしでしょうか。連日の暴落にはもはや「なるほど…なるほど…」以外の言葉が出てこなくなっております。先月の本連載執筆時は横ばい続きで記事のネタにも困るほどでしたが、今月は一転して急変動が生じたので、その様子を整理しましょう。ちなみに昨今本連載の分析対象を「暗号資産」と呼ぶ流れになっているので、本稿から当該表記を採用します。
(データは日本時間11/27取得)

11月下旬の暗号資産市況と寡占度(Herfindahl-Hirschman指数)

まず時価総額和とHerfindahl-Hirschman指数(HHI)を図1に示します。評価対象は時価総額$10k以上のトークンを含む暗号資産全体です。


図1:2016年6月1日以降の仮想通貨市場全体の時価総額和(上段)とHHI(下段)

8月中旬頃には年初から続いていた時価総額和の下落が落ち着き、2000億ドル前後での推移を11月まで続けていました。昨年の9月乃至11月頃に相当する水準です。赤破線で示しているトレンドラインは、先月に描いたものをそのまま示しています。どうでしょう。このトレンドラインを割ったところで大きく下げたように見えます。このトレンドは図2に示すように2012年頃からの支持線とおよそ一致しており、目安程度でしかないと思っていましたが、思いの外意識されていたのかも知れません。他の要因としてBCHのハードフォーク(HF)が挙げられています。図3はHF予定日であった日本時間11/15深夜零時前後のBTCUSDチャートです。15日の下げが「初弾」に言えるのでHFがきっかけを作ったと一部で言われているのかも知れませんが、その後19日まで安定していますし、個人的にはあくまで一因に過ぎないと捉えています。


図2:2011年以降のBTCUSDレートとそのトレンド(Bitstamp, 2018/11/20取得)


図3:BCHフォーク予定日11/15の00:00JST前後のBTCUSDレート(Bitstamp)

次に図1下段、HHIを見ましょう。10月以降3000近辺で推移し続けており、相場急落以降も3000乃至3200間に収まっています。前回も触れましたが、2017年には3000ラインを一つの「壁」としてHHIが変動しており、現在の市場参加者においてはこのラインがやはり偏りのないバランスの取れた均衡点なのでしょう。この後に検討しますが、HHIに大きな動きが無いということは、時価総額順位の変更はさておき、市場の寡占型に大きな変化がないと推察されます。


図4:暗号資産時価総額分布(当時$10K以上)

図4は時価総額分布を示しています。縦軸は時価総額、横軸は当該通貨の順位を表しています。昨年11月(緑線)、今年7月(青線)、10月(赤線)と比べれば、今月(黒線)の下げがいかに大きいか分かります。寡占型の変化は小さいと先に推察しましたが、分布曲線の傾きはスティープ化もフラット化もせず、推察の通り平行して下げています。図5は9月中旬(赤点)及び現在(緑点)の各資産における流通量と単価の分布を示しています。こちらを見ても全体的に類似の分布を維持したまま、緑は赤より下に分布を落としていることが分かります。


図5:流通量と単価の関係

図6でこの分布をコイン系とトークン系に分けてそれぞれの変化を探りましょう。点の色は図5と同じ対応関係で、左がコイン、右がトークンです。実線はBTCと同じ時価総額を、破線は時価総額100万ドルを示しています。なぜ100万ドルで引いているかというと、意外にも両者の分布中心をおよそ横切る形になっているためです。


図6:Coin系とToken系に分けた時価総額分布(当時$10K以上)

図6左、コイン系の分布においては時価総額和の中で高いウェイトを占める上位はしっかり下げており、印象としては分布の広がりが収まってきているように感じます。収束という点ではトークン系の分布も同様です。興味深いことに、トークン系はコインと異なり「上振れ」が小さいと言うよりほとんどありません。コインにはBTC含め、時価総額上位通貨が多数存在しているために分布が上、すなわち高単価側に広がっています。トークン系にはそれがありません。トークン系は時価総額の差が互いに小さく(コインと比して)、単価は供給量に強く依存しているようです。また今月に入って分布の広がりが一層小さくなったように見えます。サンプル数はいずれも800ほどで、見た目の印象を変えるような違いはありません。今回は示しませんが、コインとトークンで分けた時価総額分布曲線は、図6の分布からも分かるように、コイン系がスティープでトークン系がフラットになっています。

図7は時価総額100万ドル以上の資産について、一部ラベル付きで単価若しくは時価総額と流通量の関係を示しています。


図7:単価若しくは時価総額と流通量の関係(時価総額100万ドル以上)

上段は図6で示したものを再掲しているようなものなので説明は不要でしょう。流通量の多い通貨の単価は低流通量通貨より下がる、という単純な傾向がみれます。極端に外れるのは難しいですが、ここをどれだけ上抜け出来るか楽しみにされている方も多いでしょう。下段では昨今の時価総額順位争いの様が分かります。独走態勢のBTCを追う2番手にはXRPが、クビ差でETHが3番手といったところでしょう。BCHはフォークしてしまったので、BCH(いわゆるABC)とBSVに分かれています。フォークのために少し後退した結果か、4番手争いはBCH、BSV、LTC、EOS、XLMで激しい争い。その下5番手はDASH、XMR、MIOTA、XEM、ADA、TRXと個性派揃い。ここまでで見えるトークンはUSDTとBNBのみです。ICO熱も冷め、多くのプロジェクトは進捗なしかあっても遅く、規制当局の動向にも不安があるので、後続がここから上抜けしてくるのはなかなか難しいでしょう。

この記事を書いている間に相場が少し戻りました。しかし単なるデッド・キャット・バウンスということもあり得るので、まだまだ安心は出来ません。年末は価格が盛り上がりやすいといってもあと残り僅か。今年最後の総括稿では再び長期トレンド(図1上段の赤破線)に戻した喜びをしたためられると良いのですが。


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